・過去にはANAの公式ショップでB777-200エンジンのタービンブレードをスライスして仕上げたキーホルダーが販売されていました。
スライス加工されたこの部品は、P&W PW4074エンジンの主要動力部品(高圧1段目 タービンブレード)で、ANA B777-200 JA8967の右エンジンとして13,614時間の飛行を支えた部品です。
今回は、2005年に販売されていた懐かしい商品を紹介します。
B777-200 JA8967 タービンブレード キーホルダー
・身近な旅客機の部品を身につけて楽しめるアクセサリー。『絶対に落ちないお守り』として人気の飛行機の廃棄パーツを再利用した商品は、過去に何度か販売されていたことがあります。
覚えている範囲としては、1995年頃にテレビで紹介されたことで大ブームとなり、各種イベントや機内販売品の人気商品となっていました。
その後、1999年・2005年・2014年・2015年と何度かブームの波がありました。
・販売初期の頃はB747SRやL1011のエンジンパーツ加工品、2005年は今回紹介しているB777のキーホルダー、2014年・2015年は当サイトの記事でも紹介している(747-400のタービンオブジェ)(B777-300ERのタービンオブジェ)などです。
2014年以降の商品は、残念ながら簡素化されてしまいましたが、2005年までは『CERTIFICATION TAG』と呼ばれる証明書が付属、航空ファンの心を掴む演出も充実していました。
※経年劣化で紙焼けしていますが、このような雰囲気のカードです。
CERTIFICATION TAG | |
REM. A/C TYPE | BOEING 777-200 |
REM.A/C | JA8967 |
REM.DATE | 2003/06/04 |
POS.No | #2 Engine |
ENG.TYPE | P&W PW4074 (PW4000-112シリーズ) |
PARTS | HPT STG1 BLADE |
USED HOUR | 13,614.44 hr |
※REMは”REMOVE”、A/Cは”AIRCRAFT”の略
緻密な冷却構造|高圧タービンブレード内部
・見た目は金属の塊にしか見えないタービンブレードですが、内部は複雑なトンネル構造となっています。
高温・高圧ガスに晒されるタービンブレードには、スーパーアロイと呼ばれるニッケルを基材とする耐熱超合金が使用されていますが、離陸時の燃焼ガスはブレードの溶融温度を超えるほどの環境。
その凄まじい環境の中でも確実に作動させるために、内部に冷却空気を流してブレードを冷却しています。
一見、単純なトンネルに見える空洞ですが製造には極めて精密で高度な技術を要するといわれています。
ロスト・ワックス鋳造法
・特に高温の燃焼ガスに晒される高圧1段目のタービンブレードには、その時代最高の材料と高度な製造技術が使われています。
先ほどの冷却空気のトンネル内部を製作する方法として、ロストワックス鋳造法が使用されています。
詳細は別のタービンブレード紹介でする予定なので重要な点だけ簡略化して説明します。
(必要な方はWikiなどで検索してみてください。)
ロストワックス鋳造法で要となるのがセラミックコアと呼ばれる型で、タービン翼内部の冷却空気通路形状を如何に高精度に作れるかにかかっています。
その許容誤差は、正味寸法の0.05 ㎜以内とされているほど。タービンブレードは精密中の精密品とさえいわれている。
・高圧1段目タービンブレードに関しては、1枚当たりの新品価格がB737クラスで60万円、B777クラスで200万円ともいわれている。そのブレードが円周上に80枚ほど取り付けられている。
外観からは想像できないほど内部は複雑極まりない高精度な部品で構成されている現代の巨大なエンジン。
その部品1つ1つが正確で確実に作動することで、230トンの巨体を双発エンジンで軽々と宙に浮かすことが可能となる。
現在の入手事情(タービンブレード・アクセサリー)
・このようなジェットエンジン アクセサリーが販売されていた時期が、1995年・1999年・2005年・2014年と限定的に流通していたため、現在の入手状況は中古市場のみとなっています。
オークションサイトやフリマサイトなどを根気よく探していると出会える可能性があります。
相場的には、全日空のB747 タービンネクタイピン(¥6,000前後)、タービンブレードキーホルダー(¥8,000前後)、タービンチョーカー(¥7,500前後)といったところです。
航空資料館
◆タービンアクセサリーに興味のある方はこの記事も参考になります