ジェットエンジンのファンブレードとタービンブレードの違い:ヤフオク 航空ジャンク市

・航空ジャンク市やヤフオクで人気の飛行機のスクラップ廃棄部品。その中でもジェットエンジンの部品は、滅多に手に入らない珍しい動力系のパーツとして人気急上昇中のアイテム。

この記事では、今まで誰も教えてくれなかった禁断のジェットエンジンのジャンク部品を見分ける方法と相場価格について紹介します。

 

ジェットエンジンの構造

・ジェットエンジンは大きく分けて4つの部分で構成されています。

(ここではジャンク説明でのエンジン構造なので、正確な説明はWikiを参考にしてください)

ジェットエンジンの主な構成部品
  1. ファン:推進力の7~8割を発生させる部分
  2. コンプレッサー:吸込んだ空気を圧縮する部分
  3. 燃焼室:燃料を燃やして熱エネルギーと取出す部分
  4. タービン:燃焼ガスから力を受けてファンやコンプレッサーを駆動する

ジェットエンジンのパーツを5つに分類する

・航空ジャンク市やオークションで販売されている場合、なんでも『タービンブレード』『ジェットブレード』『ファンブレード』などと一緒くたに販売されていることがありますが、実は形状も役目も全く違います。

ここでは、それぞれの名称とパーツの特徴を紹介します。見分けるポイントにもなります!

※軍用機の放出品はほぼ無いので、ここでは民間機のジャンクパーツの見分けを主としています。

ファンブレード

・機種不明のブレードが販売された時、全長が30cmを超えた辺りからファンブレードの可能性が高くなります。

特徴は中央付近にスナバーと呼ばれる突起物があり、推力クラスとブレード全長に法則性がある。ワイドコードファンと呼ばれるスナバーなしもあるが、ジャンク市で登場することは極稀(10年に一度程度)にしかない。

販売価格帯は1万円~30万円程と幅が広い、希少な大型部品とあって平均価格も10万円前後と高額。

2019年現在の状況なら5万円以下で見つけることができればお宝品。

JT8D-17:ファンブレード(全長35cm)

CFM56-3:ファンブレード(全長50cm)

 

エンジンタイプとブレード長の法則性

ファンブレード全長(目安)エンジンタイプと機種
35cmJT8D (B727,B737-200,C-1)
41cmJT3D (DC8、B707)
42cmJT8D-200(MD-81、MD-87)
50cmCFM56-3 (B737-400、B737-500)
55cm(ワイドコード)CFM56-7 (B737NG)
60cmCFM56-5(A320/A321)
60cm(ワイドコード)V2500 (A320)
64cmCFM56-5C (A340)
71cmCF6-50
73cmJT9D (B747クラシック)
78cmCF6-80C2
78cmPW4056
80cmRB211-22/-524
85cmCF6-80E1 (A330)
100cm以上(ワイドコードのみ)PW4077、PW4090、Trent700~1000
120cmGE90-94B
125cmGE90-115B
備考:全長が30cm以下のブレードは、軍用機やビジネスジェットなど幅広く、さらに高圧コンプレッサーの1段目という場合もあり判別はかなり専門的で難しい場合が多い。(参考例:F100ファン 25cm程度、TFE731ファン 17cm、CF6 高圧圧縮機1段目 20cm)

時々見かけるのがCF6の高圧1段目圧縮機ブレード。 20㎝と小さいながらスナバーもあるため、軍用機のファンブレードと間違える場合があるのでご注意ください。

(表の数値や価値は参考程度とご理解ください)

 

ジェットエンジンマニアにおすすめの本

まだ読んだことがない人はぜひチェック!!

【飛行機の本 #60】ジェット&ガスタービンエンジン その技術と変遷

 

コンプレッサーブレード(圧縮機)

・吸込んだ空気を20~40気圧と高圧にする役目の部品がコンプレッサーブレード。航空ジャンク市や空の日イベントの定番ブレード。

特徴は空気を圧縮することが目的なので、サイズが入口から出口に向かって小さくなること。イメージとしては手のひらサイズから始まり親指より小さくなるといった感じ。

・販売価格帯は300円~1万円程と幅が広い。2019年現在のジャンク関連ではJT8D、JT9DやF100、ターボシャフトエンジンのブレードが3,000円以内で出回ることが多い。

コンプレッサーブレードの魔力

・コンプレッサーは多段(9~14段)で構成されており、1枚でもブレードを購入すると、全段のブレードが欲しくなる部品として有名。コンプリートするために20年以上も航空ジャンク市を訪れ収集しているマニアもいる。

画像:コレクターチャンネル(JT9D HPCブレード 6段目~15段目まで)

段数で材質が変わる

空気は圧縮するにつれ高温となるので段数に応じて材質も変わります。入口から数段目までは軽くて強度のあるチタン合金が多く使われ、400℃前後と高温となる最終段付近では鉄基耐熱合金(A-286やステンレス)、ニッケル基耐熱合金(インコネルやインコロイ)が使用されている。

コンプレッサーブレードの形状と特徴

JT8D:低圧4段目(C-4) コンプレッサーブレード (チタン合金)

CF6 高圧4段目 コンプレッサーブレード (チタン合金)

JT9D 高圧11段目(C-15)コンプレッサー(ニッケル基耐熱合金 インコロイ)

根元のダブテールがコンプレッサーの特徴

 

メーカーによって違う考え方
・古い資料のコラムで読んだ興味深い話を一つ。JT9シリーズの高圧圧縮機は軽量化のためギリギリまでチタン合金を使っている(最終2段のみ耐熱合金)。それに対してCF6は中段以降から耐熱合金に切り替えている。保守的に考えると強度的に耐熱合金が有利だが重いという欠点がある。

 

コンプレッサーブレードの見分け方
エンジン型式別にコンプレッサーブレードを紹介

【航空ジャンク⑨】コンプレッサーブレードの図鑑!

高圧タービンブレード

・超合金(スーパーアロイ)という響きでロマンを感じる方も多いという。タービンブレードはエンジンの中でも最も過酷な環境で動作する部品。性能や燃費を決める重要なパーツ、心臓部ともいえるだろう。

その時代、最高の材質、技術、設計の部品とされる。

タービンブレードは高圧圧縮機を駆動する高圧側と、ファン・低圧圧縮機を駆動する低圧側に分けられる。

離陸時の燃焼ガスの最高温度はブレード材料の融点を超える。さらに1万回転以上という高回転により、1枚 250グラムのブレードには15トンという巨大な遠心力がかかる。クレジットカード程度の大きさのタービンブレード1枚が500馬力以上の力を発生する。このような過酷な環境で1万時間以上、働き続ける高圧タービンブレードの1段目は航空ファンの間で特に人気が高い。

気になる販売価格帯だが、0.5万円~3万円程。大人気部品だが高騰することは滅多にない。大袈裟な表現だがその辺のダイヤモンドよりも流通数が少なく値段を争う数すらないのが現状。

稀に中古市場に登場するが、人気があるのは大型民間機の高圧1段目のみ。2段目からは下記の画像でもわかるようにシンプルな形状となり魅力としては下がる傾向にある。

このジャンル(廃品タービンブレード)で興味深いのは、エンジンの年代にあまり左右されないということ。JT9DやCF6だろうが、最新のGE90でも高圧1段目(HPT1)なら1~2万円という相場で収まる。

民間機大型エンジンから外れれば、即1,000円という値崩れする世界。

 

常識外れで取引されるタービンとは

3万円を超えることは滅多にないジャンク タービンブレード。ただし、超音速旅客機コンコルドで使用されたオリンパス593エンジンに限っては別物。高圧・低圧タービンに関係なく10万円からのスタートが常識。

高圧タービンブレードの形状と特徴

CF6-50C 高圧1段目 タービンブレード(表面に無数の冷却孔がある)

CF6-80C2 高圧2段目タービン(1段目に比べシンプルな形状)

JT8D 高圧1段目 タービンブレード(1970年代のシンプルな形状)

高圧タービンの特徴は根元がファーツリー(モミの木状)になっている

興味がある方は、このような記事も参考になります。

【航空エンジン発達の歴史Ⅱ】GEタービンブレード DC-10~B747~B777(1974~2004)

低圧タービンブレード

・ここ数年、航空関係のイベントで見かけることが多くなったのが低圧側のタービンブレード。

高圧側が1万回転以上で作動するのに対して、低圧側は5000回転以下でファンを回す必要があることから回転数は低い。それに伴い遠心力も小さくなるので形状がシンプルになる傾向がある。

燃焼ガスの温度も高圧側に比べて、低圧側はだいぶ低くなるので無冷却となり薄く細長いブレードとなっている。

4~6段で構成されるシンプルな低圧側タービンブレードは、どの段でも似たような形状でサイズだけが10~30cm程度に変化する。

・販売価格帯は3,000円~5,000円を中心に見かける場合が多いが、この値段でも厳しいだろう。先ほどと類似するが、やはり航空ファンは高圧側タービンに魅力を感じる傾向にある。タービンという名で価値が上がるわけではない。

低圧タービンブレードの形状と特徴

低圧タービンブレードの形状

先端にシュラウドを設けガスの漏洩を押さえ効率を上げる

コンプレッサーと同じダブテールが使われている。

ステーターベーン(静翼)

・『タービンブレード』という品名で一番気をつけるべき部品がこれ。ブレードは日本語で動翼と呼ばれ文字通り動く(回転)部品。それに対して静翼(ベーン)は静止している(動かない)部品。

ベーンは、気流の流れを整えたり、圧縮機ベーン(速度⇒圧力に変換)、タービンベーン(圧力⇒速度)に変換する部品。回転することはなくケースに固定されている。

タービンブレード』として販売されている場合は、役目・形状・構造も全て違うので注意が必要。ただ、机の上でオブジェにするなら安定性があるのでちょうど良い。

一部を除いて、シンプルなタービンベーンなら3,000円程度が妥当と思われる。

好みは回転系か非回転系か

・これに関しては完全に好みの問題だろう、気にしないという人が大半だ。しかし、高圧軸は最高1万回転を超える。その時の遠心力に耐える構造、翼先端では音速を超える。そのような回転系に魅力を感じ収集している航空ファンも多い。タービンブレードはこれに超高温という耐え難い温度が加わる。

一方、力強さを感じる回転系部品(ブレード)に対して、非回転系の部品(ベーン)は、エンジン部品を使ったオブジェ製作や、台座に乗せてアレンジしたいという人達に好まれることが多い。

材質(マテリアル)で選ぶ人達

・機種やエンジンの構成パーツ(ファンやタービンという名称)ではなく、材質や金属構造に興味があり収集しているという航空ファンも多い。

金属を専門にしている人や航空関係の学生の間で人気なのがチタン合金とニッケル基耐熱超合金(単結晶構造)。専門書で学んだことを実際に手にとって研究してみたいという人達も多い。

 

エンジン部品材質
ファンブレードチタン合金 (Ti-6Al-4V)
低圧コンプレッサーブレードチタン合金 (Ti-6Al-4V)
高圧コンプレッサーブレードチタン合金、ステンレス、耐熱合金
コンプレッサーベーンステンレス、鉄基耐熱合金
高圧タービンブレードニッケル基耐熱合金
低圧タービンブレードニッケル基耐熱合金
ノズルガイドベーンニッケル基耐熱合金
備考:

旅客機の一部を身に着ける:アクセサリー加工品

・旅客機の廃棄部品を加工したキーホルダーやネクタイピンは、絶対に『落ちないお守り』として人気があり多くの人に好まれています。

このような加工品は、タービンブレード アクセサリーやコンプレッサー キーホルダーという品名で販売されることがあります。

 

まとめ:パーツの役目や特徴がわかるとさらに楽しくなる

・ジェットエンジンに使用され大空を飛んだ部品にはロマンを感じます。どれくらい乗客を乗せ何万時間空を飛んでいたのか、考えただけでワクワクする。航空ジャンクにはそんな魅力があります。

なんとなくエンジンの廃棄パーツを購入するよりも、自分の目でそのパーツの役目や凄さがわかるとさらに魅力的で愛着のあるコレクションになるはずです。

この【ジェットエンジン ジャンク部品の見分け方】が多くの航空ファンに役立てば嬉しいです。もし、間違いご指摘があればコメント欄やお問い合わせから教えてください。

 

価格は個人の感想です

・この記事では各パーツの大まかな販売価格や相場もおまけ的に紹介しましたが、これは全て絶対的な値段ではありません。管理人が航空ジャンク市やオークションサイトを20年以上見てきた経験に基づき説明した内容です。物の価値というのは時代によって常に変化します。明日には変わっている可能性もあることをご理解ください。

 

興味を持っている方が多い記事買う人・売る人みんなが興味あるお金の話

【航空ジャンク品⑩】転売目的は目が曇る|元 古物商が教える転売とお金の話

補足:タモリ倶楽部(航空ジャンク市)

・2017年6月23日放送のタモリ倶楽部で航空ジャンク市の紹介がありました。航空ファンが選んだジャンク部品ランキングは下の結果です。

航空ファンが選んだジャンク品ランキング

2017年6月23日放送:タモリ倶楽部

  1. DC-10のパイロットシート
  2. ファンブレード・コンプレッサーブレード
  3. アンテナ
  4. フラップ
  5. 誘導案内灯
  6. ウインドウパネル
  7. コックピットパネル

※気になる方は検索してみるとすぐに出ると思います。

 

ジャンクパーツの画像について
紹介しているファンブレードやタービンブレードは全て使用済みスクラップ処理が施されたコレクション品を、エアライン公式ショップ・国内外の航空ジャンク市・海外の航空コレクター専門店から正規に購入したものです。
10+

10 Comments

B767を愛する野中隊長

CF6エンジンを誰よりも愛し研究している者です。貴サイトの内容大変参考になりました。1枚ずつ紹介するとなおよい。その際はぜひサイズも期待してます。

10+
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名無し

興味深い記事でした。持っている人は多いのに(自分もそうですが)検索してもなし。このような内容を紹介している人はなかなかいないですね!下の方と同じく個別紹介希望です。

7+
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旅客機大好きおじさん

ジェットエンジンの構造に興味を持つ者です。分かりやすく記述されていますが、間違いがあるようです。コンプレッサー及び、タービンブレードの形状は低圧ブレードは細長く、高圧ブレードは大気を高圧で圧縮するために短く四角に近くなります。記事の「コンプレッサーブレードの種類と形状」の項目の下の2種類のブレードの説明は、細長い方が高圧ブレードとなって、短い方が低圧ブレードと記述されています。旅客機用ジェットエンジンには中圧用コンプレッサーを持つものもありますが、一般的にはここの表記は逆にしておいた方がよろしいでしょう。ロールスロイス社が出版しているジェットエンジンの本もご参考下さい。

2+
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マニアな航空資料館

コメントありがとうございます。ご指摘の”「コンプレッサーブレードの種類と形状」の項目の下の2種類のブレードが逆”というのは、JT8Dの低圧とCF6の高圧という表記が逆ということで受け取りましたがよろしいでしょうか。仰るとおりLPC=細長い、HPC=短く四角という印象が広く一般的に広まっていますが、あえてこのような例外的な形状もあるということで紹介したブレードでした。順を追って説明したいと思いますので長くなりますがよろしければお付き合いください。

4+
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マニアな航空資料館

【Schematic JT8】でググっていただいてエンジン断面図を見ながら話を進めたいと思います。JT8はご存じのとおり低圧6段(ファン2段も含む)+高圧7段の圧縮機で構成されています。JT8は1段目ファンをC-1と呼び、高圧最終段圧縮機がC-13という名称となっております。JT8はコア側に入る低圧段C-3からすでに短く四角に近い形状のブレードとなっています。記事画像のブレードは前方ファンから数えて4番目(C-4)なので【低圧コンプレッサー】と表示しています。

6+
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マニアな航空資料館

次にCF6ですが、こちらも【Schematic CF6】を見ながら話を進めたいと思います。CF6の構成は(ファン1段+LPC4段+HPC14段)となっておりますが、注目していただきたいのは高圧1段目~14段までの断面図です。CF6のHPC1段目はブレード長が約20㎝X6㎝と細長いことから振動防止のため1段目のみスナバー(ファンブレードと同様の突起)が付いています。その特徴ある細長形状はHPC6段目あたりまで顕著に確認することができます。その後は一般的な短く四角のHPCとなっています。画像のコンプレッサーブレードは高圧4段目なのでこのような細長形状となっています。

5+
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マニアな航空資料館

今回の記事は、段数の表記やなぜこのような形状なのかについての長い説明をあえて省略していましたが、かえって誤解を招いてしまいました。表記を追記するか画像を一般的なブレードに差し替えるか検討しています。また何かご意見やアドバイス、改善できることがありましたら教えてください。

2+
daian1985

こんにちは、あるサイトで低圧タービンブレードのジャンクを購入するか悩んでいます。販売者に確認しても機種はわからない、ジャンク品ということでした。こちらのサイトにあった低圧タービンとそっくりですが機種説明がありません。主さんはあえて表示されてないようですが、ここの趣旨からすると身近な民間旅客機だと判断できました。もう少し値段が下がったら購入するつもりです。いつも参考になり助かってます。

4+
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ランウェイ24

某オクに747のブレードが売ってましたよ。自分も狙っているのですが今は懐が厳しくて迷っているところです。欲しいなら購入されてみては。別のものを1枚所有していますが結構いいですよ。ただたまに大きすぎて邪魔。

2+
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