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【空飛ぶ発電所】飛行機の発電能力 お家何軒分?|到着後すぐにエンジンを止めない理由とは

空飛ぶ発電所ともいわれる現代の旅客機。実際どれくらいの発電能力があるのか?一般家庭およそ何軒分というイメージしやすい数値で紹介します。

他にも、到着した飛行機が「すぐにエンジンを停止しない理由」も併せて解説。

 

①:ジェットエンジンの発電能力

飛行機の推進力となる主エンジンには発電機が装備されており、エンジンが回っていれば地上でも空中でも常に機体へ電気を供給することができます。

例えば、ボーイング 767-300の場合だと、発電容量 90kVAの発電機が各エンジンに1台ずつ装備されています。767-300は双発機なので、両方のエンジンで発電できる電力は合計180kVA実際は電力ロス等により172kVA程度)の電気を機内に供給することが可能です。

飛行に必要な電力は、1つの発電機(90kVA)で十分賄える量となっています。この場合、ギャレーやエンターテイメントシステムなどは自動的に切り離される(使用不可)場合もあります。

 

90kVAは一般家庭何軒分?
航空機用と一般家庭用は電圧や周波数も違いますが、目安として一般家庭何軒分を賄える量なのかというと、90kVAは約30軒の家の電気を賄えます。B767-300だと2台のエンジンで合計180kVAとなるので、一般家庭 約60軒分の電気を発電していることになります。

※一般的に発電機の容量(出力)は、電圧× 電流(VA)で表示されます。

 

到着した飛行機の様子を眺めていると、主エンジンはすぐに停止します。しかし、機内は停電することもなく、乗客は降機し貨物室では作業が進めています。

地上では、どのように電力を確保しているのか。

 

飛行機の発電能力(エンジンのみ)まとめ

航空機の発電容量(エンジンのみ)
型式 発電容量 エンジン数 トータル発電量 一般家庭換算
B737-800 90 kVA 2 180 kVA 60軒分
B747-400 90 kVA 4 360 kVA 120軒分
B767-300 90 kVA 2 180 kVA 60軒分
B777 120 kVA 2 240 kVA 80軒分
B787 250 kVA×2 2 1,000 kVA 333軒分
A320 90 kVA 2 180 kVA 60軒分
A330 115 kVA 2 230 kVA 76軒分
A350 150 kVA×2 2 600 kVA 200軒分
A380 150 kVA 4 600 kVA 200軒分

※発電容量はエンジンのみ、APUやRATは除いています。

※数値はカタログ値です。実際はフィーダー部分の電力ロス等で100%の使用はできません。767の場合、カタログ値180kVAでも実際は172kVA程です。

※一般家庭換算はあくまで目安です。一般家庭の使用量は標準的な 3kVAにしています。航空機用と家庭用では電圧や周波数が違います。発電容量をイメージしやすい例えとして数値化しています。

②:APU(補助動力装置)

出発準備など、駐機中でも電気が必要な場合はどうするのか?主エンジンを回すという方法は(騒音、燃料費、環境問題、作業者への危険など)現実的ではありません。

そこで考え出されたのが、駐機中の機体に必要な電力や圧縮空気(空調やエンジンスタート)を供給できる、APU(補助動力装置)と呼ばれる小型のガスタービン・エンジンです。

一般的な搭載場所は、垂直尾翼の後方お尻の部分です。(APUが作動している時は、この辺りから排気ガスを確認できます。)

 

こちらは、LCCの機材で人気のエアバス A320のAPU↓

・小さなエンジンとはいえ、上の画像はA320用のAPU(APS3200)で軸出力は536馬力(B747用は約1,100馬力)もあります。これは、小型機やヘリコプターに搭載されるエンジン並みのパワーがあります。

しかし、最近は騒音や環境問題などを考慮して、APUの使用は出発15分前~エンジンスタートまでといった限られた時間だけ運転する傾向にあります。

※折り返しまでの時間が短い場合や離島などでは、到着~出発まで全てAPUのみで運用する場合もあります。

 

B777 APUの燃費
・APUの燃費はどれくらいなのか?B777に搭載されているハネウェル GTCP 331-500の場合、1時間あたり330~410リットル(電気や空調使用によって変化)の燃料消費といわれています。

③:GPU(地上電源)

・地上支援機材が不要なAPUは便利な反面、小型のガスタービン・エンジンを使用することから、環境や騒音が問題となっています。

その解決策として使用されているのが、地上設置型の航空機用電源装置です。

これは、一般商用電源(440V/50・60Hz)を航空機用電源(115V 400Hz)に変換して機体へ供給するという電源装置です。

この装置は、空港の各搭乗口にあるボーディングブリッジの根元付近に設置されているので、気になる方は確認してみてください。

航空機が到着すると、すぐに地上電源が機体に接続されます。この電源装置によって、エンジンを止めても停電することなく機内に必要な電力を得ることができます。

GPU(Ground Power Unit:地上動力設備)のメリットは騒音や環境に優しく、二酸化炭素の排出量がAPU使用時の1/10以下ということから、国内の主要空港(羽田・成田・千歳・中部・関空・伊丹・神戸・福岡・那覇)で利用されています。

 

なぜ、エンジン停止まで時間がかかるのか?
・飛行機がスポットに到着しても、なかなかエンジンが停止しないという経験はありませんか?それは、GPUを機体に接続し電源を切り替える(主エンジン→地上電源)まで主エンジンを回す必要があるからです。

・地上電源にはこのような設置型の固定式GPUの他に、航空機整備の時などに利用する移動式GPU車(荷台に搭載されたディーゼルエンジンによって発電機を駆動するタイプ)があります。

APU作動時の見分け方

・航空機のAPUが作動中なのか停止中なのか簡単に見分ける方法があります。

ほとんどの旅客機のAPUは小さなガスタービン・エンジンで、作動中は大量の空気を必要とします。その為、APU作動時は遠くからでも確認できるほど大きな空気取り入れ口が開いています。

Airbus A350-900 APU

Boeing 767 APU

Boeing 787 APU

Boeing 737 APU

・B737のAPU空気取入れ口(機体番号の上部分)の開閉は見分けができないので、APUからの排気ガスが陽炎のようになっていると運転中と判断したほうが簡単です。

 

旅客機のジェットエンジン始動(スタート)は空気の力!?

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