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1枚100万円【空飛ぶ宝石】と皮肉られるほど高価な単結晶タービンブレード(2022/4 特2)

飛行機部品図鑑

金属の宝石とも例えられているジェットエンジン内部で使われている精密鋳造部品。そのお値段はなんと1枚 100万円にもなる。

 

B787_赤いライン

・金属加工において鋳造という技術は、紀元前 3,500年ごろ今からおよそ 5,000年以上も前から使われていた最も歴史の古い技術とされている。

鋳造とは、火によって金属を溶かして型に流し込むことで複雑な形状を作る方法。古代ギリシャでは、ブロンズ像やコインなどが鋳造技術によって作られていた。

 

Roman denarius in silver (Maximinus)-transparenten:Image:Maximinus denarius.jpg, Public domain,

現代のジェットエンジンの部品に使われている鋳造技術は、金属材料の組織を原子レベルで精密にコントロールしている。

通常、溶けた金属を型に流し込み冷やし固めるだけでは結晶粒界が色々な方向にできるため、応力がかかると割れやすいという欠点がある。

しかし、金属の凝固を特殊な方法で制御する技術が開発された。

その種類としては、力のかかる方向に対して垂直方向の結晶粒界を除去した一方向凝固(DS:Directional Solidification)、結晶粒界が全くない単結晶(SC:Single Crystal)などがある。

結晶粒界が全くない単結晶翼は、クリープ寿命が一世代前の鋳造ブレードと比較して約2倍になったともいわれている。

見た目は何の変哲もない形のタービンブレードだが、現代工学最高の鋳物技術が使われている。

 

Trent700わずか2枚で普通乗用車が1台買えるほど高価な高圧タービン動翼。1つのディスクには約80枚植え込まれている、単純に8,000万円。

超合金と呼ばれる理由ここにあり

Tachi Sword - NagamitsuKakidai, CC BY-SA 4.0, ウィキメディア・コモンズ

・一般的な金属材料として有名な「

強度や硬度に優れるため様々な工業機械や日本刀にも使われる材質だが、高温環境となると性能はあまり良くない。

融点の40%程度から強度が急速に低下するため、実用上使える限界は 450~500℃とされている。

 

一方、現代のジェットエンジンのタービン動翼には、基材となるニッケルに様々なレアメタルを(重量に対して数%ずつ)添加した、ニッケル基耐熱超合金が使用されている。

このニッケル耐熱合金は、融点の85%まで強度が維持できる。

それは、赤熱状態でも長時間強度を維持できるという画期的な素材。特に高圧タービン翼に使われる最新のニッケル合金は、耐熱温度 1,150℃と鋼の限界を軽く2倍も超える性能を有している。

そのことから、超合金(Super Alloy)とも呼ばれている。

 

無機質な金属だが、内部は中空、精度は超一級品

Turbine blade wax pieceOlivier Cleynen, CC BY-SA 3.0,

・最新のニッケル合金に高度な空冷技術を組み合わせることで、現代の高圧タービン動翼は 1,500~1,700℃という自身が融けるような燃焼ガス受けても動作することができる。

ブレード内部を空冷するためのトンネルや、中空構造はロストワックス鋳造法を使うことによって成形が可能。

この技術の歴史も古く、古代ギリシャの「リアーチェのブロンズ像」にも使用されたとされている。

 

Bronzi Di Riace Statua A+B 1Bronzi_Di_Riace_Statua_A+B.jpg: User:AlMarederivative work: Hic et nunc, CC BY-SA 2.5, via Wikimedia Commons

・無機質なタービン翼にはブロンズ像のような芸術性はないが、緻密さと工学上の最高技術が投入されている。

内部空冷トンネルを成型するのに必要な高精度なセラミックコアは、寸法精度 50ミクロン以内という難しい加工が要求される。

また、ロストワックス鋳造には20以上のプロセスが必要な上、適切な歩留りも要求される。

 

この内部のトンネルを成型するには、精度50ミクロン以内の高精度なセラミックコアが必要。許容誤差を超えたものは当然廃棄されるため製造歩留まりに直結する。

 

翼内部を空冷した空気は、無数の小さな穴から排出される。この穴は前縁や翼面にも開けられており、寸法や形状・数が緻密に計算されている。もちろん、普通のドリル穿孔では無理。

・特にエンジン自体の性能や燃費・運航コストを直接左右する高圧タービンブレードには、その時代最高の材料と加工技術が使われている。

高圧タービン翼 1枚の平均価格は 100万円
(小型エンジンで 60万、大型エンジンでは 200万円)

この高額な高圧タービン翼が一枚のディスクに 約 80枚程度植え込まれている。値段にすると合計 8,000万円にもなる。

しかし、その見返りとして 10,000時間(距離にすると 800万km)以上のフライトを提供する。

ターボファン・エンジンには、前方の大きなファンから最後方の低圧タービンまで、1枚 2000万(Trent XWBのファン)~1枚 3万円(コンプレッサーブレード)と様々な価格の羽根が合計約 1,500枚程度も使われている。

これらのブレード類を全て計算すると、とんでもない数字になることは容易に想像がつく。

その中でも、特にメンテナンスコストを圧迫するのが今回紹介した高圧タービン翼。

あまりに高額な消耗品ということで、業界では「王冠(Crown)の付いた宝石」とさえ皮肉られることもある。

 

消耗部品としては特に値段が高いことで有名な王冠付きの高圧タービンブレード

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