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【錆びない超合金】B747-400のタービンブレード キーホルダー

・『錆びない・黒ずまない・一度磨くと輝き続ける』プラチナなどの貴金属ではなくチタンとも違う。そのような超合金と呼ばれる金属が世の中には存在します。アクセサリー好きや金属フェチな方は興味が湧きませんか。

そのスーパーアロイが何なのかというと、B747-400(ジャンボジェット)を軽々と空中へ舞い上げるジェットエンジンに使用されている特殊な部品、タービンブレードと呼ばれるものです。

廃棄された状態では真っ黒で汚れていますが、一度磨くだけでプラチナのように輝き錆びることなくその状態を保保つことができる。そんな廃棄パーツを再利用して加工されたアクセサリーが、今回紹介するタービンブレード・キーホルダーです。

 

外観はシンプルな翼の形状ですが、その内部断面はとても神秘的な形状をしています。ただ美しいというわけではなく、緻密な設計と製造技術の融合体が織りなす工業製品。しっかりとした理由があります。

 

B747-400 CF6-80C2エンジンの部品を加工した超合金のキーホルダー

タービンブレードとは

・タービンブレードの役目については過去の記事で何度か紹介しているので、ここでは簡単に説明します。

ジェットエンジンは一般的に飛行機の心臓部とも例えられますが、そのエンジン内部の最も過酷な環境で黙々と一所懸命働いている部品があります。

タービンブレードと呼ばれるその部品は、離陸時には自分自身が融ける温度以上の燃焼ガスに晒されると同時に、毎分1万回転で回ることでブレード1枚にはバス2台分の重量に匹敵する凄まじい遠心力が作用します。

このような過酷な環境でも、1万時間以上(成田ーニューヨーク間 太平洋横断なら800回以上)安全なフライトを支え続けています。

特に高圧1段目タービンは、そのエンジンの性能や燃費にも影響する重要パーツといわれ、メーカーはエンジン開発の際に全力で投資する部品とさえ言われています。

一見、ただの金属の塊にしか見えない汚れた廃棄部品ですが、実は知れば知るほど奥深くその魅力に惹きつけられる物なのです。

 

このような部品です↓

B747-400 高圧タービンブレード|CF6-80C2 エンジン

磨けば貴金属にも匹敵する美しさ

・メッキ加工のような輝きを放つキーホルダーですが、メッキではなく金属地金その物の色で、一度磨くと錆とは無縁でほぼこの状態を維持するというスーパーアロイ(耐熱超合金)です。

1万時間以上のフライトを無事に終えて取り外された廃棄ブレードは、焼けや傷など頑張った証でいっぱい。その表面を丁寧に丁寧に磨くと、驚くほど美しい金属の地金が現れます。

そのニッケル基耐熱超合金の持つ白色は、例えるならプラチナに近い色に発色します。また、鏡面研磨されたブレード表面は光を鋭く反射するのも特徴。

 

廃棄されたブレードはこのように焼けた状態(参考画像:RB211-524G2)

 

神秘的な断面形状の役目

・外観はただの金属の塊にしか見えないタービンブレードですが、内部は中空で緻密な冷却構造をしています。

ここまで形状を複雑にする理由は、燃焼ガスでブレード自身が融けずに正常運転をするため。現代のタービンブレードは、溶融温度より400℃以上も高い高温ガスに晒されて運転しています。

どれほど高度な冷却が必要かという一例を紹介します。

 

もし氷でタービンブレードを作ることができるなら、この技術はブレードが凍結した状態を無期限に維持できる。家庭用オーブンの最高温度で’調理’したとしても。

ザ・ジェットエンジン p132より

The Jet Engine:ザ・ジェットエンジン(飛行機の本 #61)

・エンジンの種類にもよりますが、タービン冷却は燃焼前の圧縮された空気(600℃前後)をブレード底部に導き、内部の複雑なトンネルを通過させながらブレードを冷却します。

内部冷却後、約850℃に達する冷却空気はそのまま放出するか、翼表面にある無数の小さな孔からシャワー状に放出しエアカーテンのようなフィルム状の空気の膜でブレードを保護する役目に使用されます。

 

B777-300ERの高圧タービンブレード|GE90-115B エンジン

タービンブレード・キーホルダーの入手方法

・このような廃棄部品を活用したアクセサリーが流行ったのは過去に何度かあり、1995年~1999年、2005年、2014年頃でした。1999年当時は通販だけでなく機内販売もされていたほど。

今でも需要は十分あるのに販売されない理由は、製作に手間とコストがかかるから。もし2020年現在の今の状況でこの製品を製造すると販売価格は2万円くらいにはなると思われます。それくらい作業に手間がかかります。

なぜ手間がかかるのか?

まず、取り外されて焼け汚れたタービンブレードを薬品や酸で洗浄、商品のサイズに合わせてカットするスライス加工、鏡面研磨、そしてキーホルダーやネクタイピンに加工する。機械ではできない手作業での工数が多いのでおのずと値段は上がります。

一時期、この鏡面加工をメッキで代替えしてコストを抑えるという手法で販売されていたネクタイピンもあります。(記憶が曖昧ですが、この低コスト ネクタイピンは¥7,500くらいだったと思います。)

現状は中古市場のみ

・タービンブレード アクセサリーを購入したい場合、現状どのような方法があるかというと、フリマサイトやオークションサイトなど中古市場を狙うのが近道かと思います。

中古といっても未使用の物が多く、大事に保管されている場合が多いので、20年前の品でも綺麗な部類で販売されています。

先ほど説明したとおりタービンブレード自体も、日常生活では錆とは無縁の超合金なので特に気にする必要はありません。

相場は時代によって変動しますが、¥3,000~¥15,000の範囲内に収まるかと思います。

中古市場での出会いは縁のようなものなので、見つけた時は躊躇せず購入することをおススメします。買いたい人が多いジャンルなので値引きを待つと逃がします。

 

一言アドバイスタービンブレード・アクセサリーは身近な宝石より流通数が少ない

 

Q&A 錆びない合金が錆びた?

・タービンブレード ネクタイピンを使用している方から質問がありました。了解をいただいたので、その内容を一部抜粋して紹介します。

 

何度か使用して保管。久しぶり使おうと確認したらタービンに青錆が発生。ニッケル超合金って錆びるの?
タービンブレード・アクセサリには、鏡面研磨された物とメッキ品の2種類が存在します。メッキ品は使用中の汗や手垢をそのままにして保管すると青錆が発生する場合があります。鏡面研磨品はそのような青錆は発生しません。

メッキ品の青錆は目の細かいサンドペーパーで水を流しながら軽く磨くと落とすこともできますが、傷が入りやすいので慎重に試してみてください。爪でこするとメッキ面が剥がれるので注意が必要です。私も保管中に青錆させてしまいましたがこの方法で対処しました。

まとめ:気長に待って手に入れる

・今すぐ欲しいその気持ちよくわかります。しかし、中古市場だけが頼みの綱なのでどうしても時間がかかるアイテムなのが現状。

私も『欲しい!』と思った時から入手までに15年くらいかかりました。

流通数が極端に少ないレアアイテムですが、必ず手放す人が現れるのがフリマサイトやオークションサイト。毎日のチェックを欠かさず気長に待てば手に入る可能性が高くなるかと思います。

今回はGE CF6-80C2のキーホルダーを紹介しました。CF6-50に比べて翼断面の形状がより洗練されています。

CF6-50の断面は、下記のネクタイピンの記事で紹介しています。こちらはメッキ品です。

 

【技術を芸術に替えた品】ANA B747SR CF6エンジン ネクタイピン

 

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