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B787 Trent 1000の先祖|RR RB211 タービンブレードのネクタイピン

今回は、エルテンとして親しまれた3発機。ロッキード L-1011 トライスターのエンジン RR RB211-22Bの高圧タービンブレードを加工したネクタイピンを紹介します。

ジェットエンジンの部品は【極限まで追求され美しい機能美を持つ】といわれている。その中でも特に美しい造形を持つのが、ファンブレードとタービンブレードと呼ばれる回転翼。

ロールスロイス RB211エンジンは、B787のRR Trent 1000のおじいちゃんにあたる存在。数々の素晴らしい実績をあげた世界的に有名なターボファンエンジン。

 

画像:ANA ロッキード L-1011 トライスター ポストカードより

 

現代でも通用する1979年のタービン技術

・ロールスロイス RB211は、ロッキード L-1011 トライスター用のエンジンとして1970年に開発がスタート。当時のタービンブレード空冷技術は、ブレードに数個の穴をあけた単純な構造だった。

この空冷構造だとブレードの耐熱温度は1,250℃。表面にフィルム冷却孔を多数あけても1,275℃程度が限界で、さらにガス温度を高めることは困難な状況だった。

1979年、ロールスロイスは複雑な内部冷却通路を持つ一方向性凝固による高圧タービンブレードを開発。表面にはフィルムクーリング孔をつけることで耐熱温度は1,320℃(最大1,385℃)まで上昇させることに成功。

この空冷方式や金属構造は、現代の旅客機エンジン(B747-400:CF6-80C2、B737:CFM56-3)と同様の構造となっている。

その過渡期のRB211 高圧タービンブレードの断面が画像のネクタイピン。

 

オリンパス593エンジン
超音速旅客機 コンコルドに使用されていたオリンパス593エンジンの高圧タービンでも単純な貫通穴タイプだった。

 

独特な空冷方式を持つRB211の高圧タービンブレード

・B747やB767、B777に使用される代表的なエンジン(PW4000、CF6、GE90)でもこのような内部空冷方式が採用されている。一般的なブレードの空冷は高圧コンプレッサーの最終段から抽気した冷却空気を使用。

しかし、RB211は高圧段と低圧段の2種類の冷却空気を取り込んでいる。画像のブレード断面にある『W』の形状した通路には低圧段の冷却空気、他の部分には高圧段の空気で冷却している。ブレード翼のサイズはわずか3.5cm、離陸時10,000rpmで回転するブレードに2種の冷却空気を取り入れるという技術が面白い。それも今から40年前…

この特殊な方法は、RB211-22、-524、-535(B747クラシック、B757、L-1011)まで、Trentエンジンからは他社と同様の高圧段のみ抽気を使用している。

 

タービンブレードの断面

・多くのエンジンが、高圧最終段から抽気した冷却空気のみでタービンブレード内部を冷却している。RB211のような2種類の抽気を使用する複雑な冷却機構はない。

B747-400:CF6-80C2エンジンのキーホルダー

B737:CFM56-3のZippoライター

まとめ:40年前の技術が現在まで受け継がれている

・1979年に開発されたRB211の複雑な内部空冷高圧タービンブレード。その技術は、現在のA380やB787に搭載されているTrent 900・1000のエンジンにも引き継がれている。

最新の大型ターボファンエンジンの高圧タービンブレードと比較しても遜色ない技術がRB211エンジンにはあった。

このようなタービンブレード・ネクタイピンは、一般的には流通していない入手困難なアイテムだが、オークションサイトや中古リサイクルショップで根気強く探していると、中古ネクタイピンや中古Zippo・キーホルダーなどと遭遇する可能性がある。

特にRB211エンジンの場合は、断面に『W』の冷却通路が特徴。気になる方はぜひ探してみてください。

 

参考にした本

ジェット&ガスタービンエンジン:ビル・ガンストン

ジェット&ガスタービンエンジン その技術と変遷(飛行機の本 #60)
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