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B747-400 高圧タービンブレード|CF6-80C2 エンジン

ボーイング B747-400に搭載されていた、GE CF6-80C2 エンジンの高圧1段目のタービンブレード(HPT1)を紹介します。

このエンジンは、B767-300(GEエンジン搭載機)と共通仕様となっています。

 

CF6-80C2 高圧タービンブレード 1段目

Boeing 747-400

General Electric
CF6-80C2

High Pressure Turbine Blade Stg1 (HPT1)

  

◆スワイプもしくはドラッグで画像を自由に回転できます。

  • エンジン型式:GE CF6-80C2
  • 開発年:1988年
  • 材質:ニッケル基耐熱超合金
    初期型 Rene 80H、中期 Rene DSR 142、後期 Rene N5
  • 結晶構造:一方向性凝固(DS)後に単結晶(SC)
  • 冷却方式:コンベクション+インピンジメント+フィルム
  • 搭載機種:B747-400、B767-300、A330、A300-600R、A310、MD-11
  • 備考:CF6-80C2シリーズは、21世紀の旅客機にも使用できるエンジンとして開発された。高推力・低燃費・信頼性・頑丈性などが認められ、ベストセラーエンジンとなり多くの機種で採用されている。初期の-80エンジンではしばらくの間、-50E・-80Aで実績のあったDS材のブレードが使用されていたが、後に単結晶ブレードが採用され、より長寿命でハイパフォーマンスエンジンとなった。コーティング技術もPtを主体とした金属コートから、画像のようなセラミックコートへと進化している。

 

※自動取得しているため、内容が違う場合があります。

CF6-80C2 タービンブレードの詳細

・CF6-80C2エンジンの燃費や性能を決める心臓部。高圧1段目のタービンブレードは、長さ10.5㎝・重さ250グラムの小さなブレード。

離陸時には、この1枚が500~700馬力を発生させる。

 

・表面の白色コーティングは、ブレードを熱から守るセラミックコーティング(TBC)と呼ばれるものです。

新品時は白色のコーティングだが、高温環境での使用により焼けている。B747-400よりも高出力設定のB767-300やA330では、さらに焼けが激しいものと思われる。

 

・0.5mm程の極小さな冷却孔から空気を噴出し、表面を高熱から保護している。冷却している箇所としてない箇所の焼け具合が全く違う。

・規則正しく並んだ数十個もの冷却孔。この小さな冷却孔が火山灰や大気の塵、砂塵により詰ると、設計値以上の高温となりブレード破断につながる恐れがある。

 

【飛行機と火山灰】ジェットエンジン内部のわずか0.5㎜の穴が墜落か生還かを左右する

タービンブレードの材質と組成

・1985年に開発された CF6-80C2は、今なお現役で活躍しているベストセラーエンジン。しかし、外観は変わらずも内部の部品は少しずつ手が加えられ改良が続いている。

特に、燃費や性能を左右する高圧タービンブレードは、初期型と現在とでは材質やデザインが微妙に変更されている。

一例として、初期・中期・後期の材質と組成について紹介します。

 

初期:Rene80H (一方向凝固)

・初期のCF6-80C2エンジンには、CF6-50で長期間使用され信頼性が確立されていたRene 80を改良した Rene 80H (第1世代 一方向凝固材料)という材質が使用されていた。

 

ニッケル基超合金の化学組成(単位は重量%)

 

中期:Rene 142 (一方向凝固)

・Rene 80Hの高温クリープ特性を高めるために、合金中のTiを廃止。そのかわりにTa(タンタル)とRe(レニウム)を追加した、第2世代 DS合金 Rene142が高圧タービンブレードに使用された。

※紹介画像のブレードも中期:Rene142使用の高圧1段目タービン。

 

ニッケル基超合金の化学組成(単位は重量%)

 

後期:Rene N5 (単結晶)

・2000年以降は、他のエンジンでも単結晶合金が主流となった。-80C2も後期型は、耐熱性や高温クリープ特性がさらに改善された単結晶(SC材)が使用されるようになった。

これにより高温・高地、砂埃の多い環境でもブレードの寿命が延び、整備コストが低減された。

※現在の同型エンジンでは、ほぼ全ての型式がこの材質と思われる。

 

ニッケル基超合金の化学組成(単位は重量%)

GE CF6-80C2 エンジンについて

エンジン概要
型式 GE CF6-80C2B1F
最大推力 26.3 t
ファン直径 2.36m
ファンブレード数 38枚
バイパス比 5.15
全圧力比 29.9
搭載機種 Boeing 747-400、767-300ER、A310、MD-11

・1985年に開発されたアメリカGE製のCF6-80C2は、推力25~30トン級の高出力・低燃費のハイパフォーマンスエンジン。高効率で整備性もよく推力設定も柔軟に変えることができることから多くの航空機に採用されている。

 

代表的な機種をあげると、ボーイングB747-400、B767-300、エアバスA310、A330、ダグラス MD-11、軍用機だとC-5M スーパーギャラクシー、C-2など多種多様な機体に搭載されている。

まとめ:巨大なパワーを発生させる小さな部品

・この長さ約11cm、重さ250グラムの手のひらサイズの小さなタービンブレード。小柄ながら最大出力時には1枚当り500~700馬力の力を発生させるといわれており、1段のディスクに約80枚程度取り付けられています。

離陸時には、融点以上の高温ガスに晒されると同時に、高回転に伴う遠心力による引っ張りはブレード1枚当たり15トンを超えるといわれています。

このような過酷な環境の中、最大離陸重量400トンのB747-400 ジャンボジェット機を軽々と持上げ、10,000 時間以上という長時間の寿命を実現する耐熱超合金を使用したタービンブレード。

高圧タービンブレードには、その時代の最先端技術と人類の英知が詰め込まれています。そんな魅力を持つB747-400の退役記念オブジェの紹介でした。

B767-300も同様のCF6-80C2エンジンなので、今回の記事内容と共通しています。

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8 COMMENTS

山崎俊彦

いつもお世話になっております。授業の一貫として、この記事の本文をプロジェクターで映して生徒に紹介したいと考えております。以前、承諾をお願いした際に連絡不要でご自由にという回答を頂戴しましたが、一応挨拶は必要と思いコメント致しました。

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ハミングバード

国際線だけでなく国内線でも活躍していた747ー400のパーツ。当方も最近、知人が手放すという話があり縁あってこの退役セットを入手することができました。定価の5倍ということで折り合いがつき譲り受けました。高額でしたが、迷いはありません。購入する価値は十分にありました。伝説の巨鳥、一度しか乗れませんでしたが今でもパーツを耳にあてるとあの時の轟音が甦ります。航空ファンなら持つべきアイテムの一つでしょう。長々と失礼しました。

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CF6勉強中

コメント失礼します。
今回、縁あってこちらのサイトと同じ形の中古タービンブレードを入手することができました。
型式不明でしたが、何度もサイトの画像を確認させていただき購入に至りました。
当方の物品はコートなしですが大変気に入っています。
また新しいブレードの紹介記事を楽しみにしています。

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Runway05

B6のCF6エンジン音がが大好きで追い続けている初心者です。まだ学生なので部品などは買えませんが、いつかこのようなブレードを手にいれたいです。

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maytech

針であけたような緻密な穴ってたいせつなんですね。火山灰がなぜ危険なのかわかったような気がしました。それにしてもスゴい、いったいおいくらするのでしょうか?

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センチュリーⅡ

机の中に転がっていた機種不明のタービンブレードが、この 記事のものと同じでびっくりしました。頂いたときは戦闘機の物だと思っていましたが、まさかCF6とは思いませんでそた。おかげさまで長年の謎が解けスッキリした気分です。僕の物はこちらのものよりダメージが大きいのでたぶん767だと思います。小さい頃から大好きな飛行機なので、767のエンジン部品として大切にしたいと思います。

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