ジェットエンジンのパーツは、何でも「タービンブレード」・「コンプレッサーブレード」と呼ばれることが多いのですが、実際は役目も形状も違います。
今回は、ちょっとしたコツで簡単に見分けられる内容を紹介します。
ブレードの見分け方 4つの方法
①:根元を見る
・ブレードの見分け方で一番簡単な方法が根元を見ること。ディスクに取り付ける部分の形が、鳩の尾の形をしたダブテールやピンジョイントだとコンプレッサーブレード。
クリスマスツリーのような形状(ファーツリー型)だとタービンブレード。
コンプレッサーブレード(ダブテール形)
典型的な鳩の尾の形をしたダブテール(CF6/CFM56 高圧後段)
よく見かけるタイプのダブテール(JT9高圧段・CF6 /CFM56 高圧前段)
ダブテールの変形型(RRやV2500の高圧段でよく見かけるタイプ)
コンプレッサーブレード(ピンジョイント)
最近はあまり見かけないタイプ(JT8D ファン2段目や高圧段の一部、CF34-3/-8のファンブレード)
タービンブレード(ファーツリー型)
最近のツリー型は2~3段タイプが多い(PW系・GE/CFM系など)
RR系のツリーは4段以上になっている場合が多い
②:色を比較
・根元で違いが分かりにくい場合は、ブレードの色でも見分けられる。
コンプレッサーブレードの場合は、チタン合金(ファン~圧縮機前段)とニッケル耐熱合金(高圧最終段付近)や古いものだとステンレスなど複数の材質が使われているが、比較的低温で燃焼ガスの影響も受けないので見た目が綺麗な場合が多い。
対して、タービンブレードの場合は焼け焦げていたり、全体的に熱損によるダメージやザラザラしている場合が多い。
オブジェ加工されているタービンの場合は、洗浄によって鼠色の綺麗な状態になっていたり、鏡面加工で少し黒っぽいプラチナのような輝きをしている例外バージョンもある。
コンプレッサーブレード(チタン合金)
全体的にシルバーまたは艶のある鼠色といった感じ。
コンプレッサーブレード(ニッケル耐熱合金)
圧縮機後段は圧縮熱で高温になり焼けてはいますが、500℃前後と比較的低温のためダメージは少なくツルツルとした感じが多い。
タービンブレード
高温の燃焼ガスによる焼けや付着物などが多く手触りもザラザラしている
タービンブレード(オブジェ加工 洗浄品)
コンプレッサーブレードのような鼠色だが、根元や形状・重さが全く違う
③:形状で比較
・根元や色でほとんど見分けることができますが、翼の形状を比較することでも判断が可能。
コンプレッサーブレードの場合はかなり薄い翼が採用されており、タービンブレードの場合は内部空冷などが必要なことから比較的厚い翼が採用されています。
コンプレッサーブレード
タービンブレード
翼内部の空冷により厚翼となっているタービンブレード
④:重さで比較
・主にチタン合金が使用されているコンプレッサーブレードと、ニッケル耐熱合金が使用されているタービンブレードの重さを比較すると、見た目のサイズは同じでも手に持った時の重さが全く違います。
サイズが全く違うブレードだが、右のタービンブレードほうが18グラムも重い
左:チタン合金 コンプレッサーブレード(41グラム)
右:ニッケル耐熱合金 タービンブレード(59グラム)
①~④でほとんど見分けは可能
・今回紹介した4つの方法で、ほとんどのブレードが分類できます。
しかし、一部の古いエンジンやコンコルド オリンパス593などの場合、コンプレッサーブレードにファーツリーという組み合わせもありますが、①~④を組み合わせることで見分けは可能だと思います。
もう一つ、特殊な例としては最近の低圧タービンブレードは材質の進化などによって、簡易的なダブテール型の根元になっている物もあります。この場合は、先端にシュラウドが付いているのでこれによってタービンブレードと判断することができます。
【こちらも参考になります】
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