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サーブ 35 Draken(ドラケン) タービンブレード Volvo Flygmotor RM6C

サーブJ35_ドラケン

「エリア88」で主人公 風間 真の乗機となり一躍有名となった サーブ35(1980年代カッコいい戦闘機部門トップ10に常にランクインの名機)

Austrian Saab J 35Ö Draken 351404 at Technik Museum Speyer Dec 2012Alf van Beem, CC0, via Wikimedia Commons

・スウェーデンのサーブ社によって開発され、1960年に初飛行したドラケンは美しい曲線で構成されたダブルデルタ翼が特徴のマルチロール戦闘機。

コックピットサイドから胴体中央へ延びる後退翼(ストレーキ)、そこから垂直尾翼方向へは角度が浅い三角翼(デルタ翼)を形成する。二段階の三角翼で構成されていることからダブルデルタ翼と呼ばれ、世界で初の採用となった。

ドラケンに装備された大型ストレーキは、低速時の大迎え角飛行時に大きな渦を発生することで主翼の失速を遅らせる目的がある。このストレーキの先駆けとなったドラケン、後に世界中で数多く採用され、現代の戦闘機では標準に近い装備となっている。

今回は伝説の名機 SAAB J35F(ドラケン)のエンジン、Volvo Flygmotor RM6C turbojet  (modified Rolls-Royce Avon Mk.300) の高圧タービンブレードを紹介します。

 

SAAB J35 Draken-1702 - Flickr - Ragnhild & Neil Crawford (tilted -90deg, cropped)Ragnhild&Neil Crawford from Sweden, CC BY-SA 2.0

※ SAAB35(Draken)の呼び名は、国内では「ドラケン」「ドラッケン」、ドイツ人の会話内では「ドラーケン」など諸説ありますが、ここでは一般的なドラケンにしています。

 

SAAB J35F スペック

SAAB J-35F Draken 0012Marcin Zieliński, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

・Crew: パイロット 1 名
・Length: 15.35 m
・Wingspan: 9.4 m
・Height: 3.89 m
・Wing area: 49.2 m2
・Empty weight: 8,250 kg
・Gross weight: 11,400 kg
・Max takeoff weight: 17,650 kg
・Powerplant: Volvo Flygmotor RM6C(ボルボ・フリグモーター製)
(ロールス・ロイス製 Avon 300のライセンス生産)
・Thrust : 56.89 kN(ドライ)、78.5 kN(アフターバーナー使用時)
・Maximum speed: 2,119 km/h(マッハ1.72)
・Service ceiling: 19,995 m (65,600 ft)
・Rate of climb: 10,500 m/min (34,450 ft/min)
・Takeoff roll: 650 m


SAAB35 ドラケンに関連する動画

 

(自動取得のため内容が違う場合があります)

Volvo Aero RM6C HPT Blade

Svenska Flygmotor Volvo RM 6B or C at the Teknikens och Sjöfartens hus, Science and Maritime House pic1Alf van Beem, CC0, via Wikimedia Commons

沿革

  • ノーハブフリューグモートルファブリーケル(Nohab Flygmotorfabriker AB )
  • スヴェンスカフリューグモートル(Svenska Flygmotor AB )
  • ボルボフリューグモートル(Volvo Flygmotor )
  • ボルボエアロ(Volvo Aero)
  • GKNエアロスペース(GKN Aerospace)現社名

 

・サーブ J35(ドラケン)に搭載されている Volvo Aero製 RM6C エンジンは、英 Rolls Royce社の初となる軸流式圧縮機を用いたAvon(ターボジェットエンジン)の改良型。

Avonの堅実な設計は、推力や燃費性能だけでなく信頼性も抜群に高かったことから 1950年から1974年の間に約11,000基が製造された。

そのRR Avonの推力増強型 Mk.300を改良し、スウェーデンのエンジンメーカー スヴェンスカフリューグモートル(Svenska Flygmotor AB )によって、RM6シリーズがライセンス生産された。

 

サーブ35_ドラケン

・高圧タービンブレードの冷却方式は、1960年代主流だったブレードの底面から翼端へ貫通穴を何本か開けて燃焼前の圧縮空気によって冷却する方式が採用されていた。

コンベクション方式と呼ばれるこの空冷方法は、ブレードの底面から冷却空気を導入して空気の対流によって翼内を冷却、その後に翼端から排出する。

 

エイボン_mk.300_rm6c二枚一組で構成されるRM6CのHPT、左がタイプA、右がタイプBという表現で部品番号が管理されている。

①:翼凹面側からみたブレード全体。左がAタイプ、右がBタイプ。

②:翼凹面側の根元ツリー部の詳細。同じブレードでありながら空冷孔のデザインが全く異なる。

③:翼凸面側からみたブレード全体。左がAタイプ、右がBタイプ。

④:翼凸面側の根元ツリー部の詳細。左がAタイプ、右がBタイプ。

・この高圧タービンブレードの興味深い特徴の一つに、2枚で一組という点がある。細かく観察すると同じよう見えるブレードでも根元の空冷用の孔の場所や数が違う。

部品番号でも〇〇〇A、〇〇〇Bというように分かれており二枚一組でディスクに取り付けられる。

 

サーブ_ドラケン翼先端のシュラウドはシンプル形状。効率優先のデザインにすると重量増加となり、当時の材質では遠心力の増大による懸念から軽量化が優先された。

 

こちらは1995年のA330用 Trent700のシュラウド。材料技術の進化から燃費効率を優先した多少重いシュラウドを装備しても根元のツリーで強大な遠心力に耐えられるようになった。

ロールスロイス製エンジンの特徴でもある、高圧タービンの先端シュラウドは1950年代のAvonにも既にあった。(Avon Mk.300の派生型となるRM6Cにも同様にある)

現代のTrentシリーズのように複雑な構造ではなくシンプルなシュラウド形状は、当時の金属材料技術としては可能な限り薄く軽量さが優先されたことが理由。しかし、シンプルではあるが燃焼ガスの漏洩を防ぐうえで効果が高く、ライバルエンジンに比べて数%も効率が良いとされていた。

 

高圧タービン動翼の材質は、初期のAvonシリーズには Nimonic 80が使用されていたが、派生型とともにNimonic系列の進化型へ変更された。


Volvo Flygmotor RM 6CMKFI, Public domain, via Wikimedia Commons

・今回は歴史的名機、スウェーデン製のマルチロール戦闘機 サーブ J35(ドラケン)のタービンブレード(Volvo Flygmotor RM6C Engine)について紹介しました。

非常に入手が難しいとされるこの数少ない名機のエンジン部品の紹介にあたっては、国内屈指のHPTコレクターと世界的有名なHPT収集家、お二方の協力と部品提供によって実現しました。

お二方は共にメディアには一切出ませんので名は伏せますが、この場を借りてお礼申し上げます。

~ Vielen Dank für Ihre Zusammenarbeit. ~

サーブ35_ドラケン


 

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