ATIS(飛行場情報放送)とは、離着陸する航空機に対して、空港の気象状況や使用滑走路などを連続送信している無線局で大きな空港などに設置されています。
空港に行く前にATISで使用滑走路を確認することで効率よく飛行機撮影ができます。
ATISは空港の状況や天候を放送
ATISは音声合成装置による機械音声で空港状況をエンドレスで送信しています。
通常は30分毎に更新されますが、天候の急変やランウェイクローズなどが発生した場合は内容を更新してパイロットへ情報提供しています。
ATISの自動放送はある程度フォーマットが決まっていますが、空港によっては微妙に違う場合があります。
羽田だと滑走路が4本なのでランウェイに関する内容が多くなったり、滑走路が1本の空港でも周辺の気象状況が悪ければ雲に関する内容が増えます。
また、米軍基地だと肉声をテープに録音し繰り返し再生する場合もあります。
天気を文字で表現する
普段、天気予報といえば天気図や晴れ曇りなど誰にでもわかりやすいイラストや図を多用して、テレビやインターネットで紹介しています。
しかし、パイロットが使用する航空用の天気状況は文字や数値による電文で提供されています。これは余計な思い込みや判断ミスをしないよう事実だけを正確な数値で伝えるためです。
ATISの実例と内容解説
下記の例は、福岡空港のATISという設定で解説しています。
空港によっては順序やフォーマットが微妙に違う場合もありますが、最初は滑走路(Runway)に関する内容が聴き取れれば問題ありません。
Fukuoka Airport Infomation “B” 2200Z ILS Runway 34 Approach Using Runway 34 Departure Frequency 119.7 Wind 020 degrees 10 knot Visibility 20 km FEW 1,500 feet cumulus Temperature 14 Dewpoint 9 QNH 29.85 inches Advice You Have Infomation “B”
① Fukuoka Airport ② Infomation “B” ③ 2200Z ④ ILS Runway 34 Approach Using Runway 34 ⑤ Departure Frequency 119.7 ⑥ Wind 020 degrees 10 knot ⑦ Visibility 20 km ⑧ FEW 1,500 feet cumulus ⑨ Temperature 14 Dewpoint 9 ⑩ QNH 29.85 inches ⑪ Advice You Have Infomation “B”
① Fukuoka Airport(福岡空港)
② Infomation “B”:情報の識別符号 A~Zまで情報が変わるごとに切り替わる
(A:アルファ B:ブラボー C:チャーリーとフォネティックコードで発音される)
③ 2200Z:観測時間:協定世界時、日本時間は+9時間を足す
④ ILS Runway 34 Approach Using Runway 34 (使用滑走路は34番、着陸も34番を使用)
⑤ Departure Frequency 119.7 (離陸後に交信する周波数)
⑥ Wind 020 degrees 10 knot (風向風速:020度から10ノットの風)
⑦ Visibility 20 km(視程:20km)
⑧ FEW 1,500 feet cumulus(空港上空の雲の様子:1500フィートに積雲が2/8 )
⑨ Temperature 14 Dewpoint 9 (気温:14℃ 露点温度:9℃)
⑩ QNH 29.85 inches (高度計規正値:29.85 水銀柱インチ)
⑪ Advice You Have Infomation “B”(ATIS “B”(ブラボー)の情報)
※雲の種類や雲量に関しては別記事で紹介する予定です。
全国空港 ATIS周波数
ATISの放送は空港によって、24時間または運用中のみなど実施時間が違います。また、ATISがない空港は直接管制官から伝えられる場合があります。
ATIS周波数リスト(モードはAM)
空港・飛行場 | 周波数(MHz) | 空港・飛行場 | 周波数(MHz) |
新千歳 | 128.6 | 徳島 | 246.8 |
函館 | 126.6 | 高知 | 126.45 |
三沢 | 128.4 / 315.35 | 松山 | 126.65 |
八戸 | 245.8 | 広島 | 127.25 |
仙台 | 126.45 | 岩国 | 128.4 / 283.0 |
新潟 | 128.45 | 小月 | 245.8 |
成田国際 | 128.25 | 福岡 | 127.2 |
羽田空港 | 128.8 | 大分 | 127.8 |
横田 | 128.4 / 281.0 | 熊本 | 128.8 |
厚木 | 246.8 | 長崎 | 126.85 |
座間 | 126.3 | 宮崎 | 126.8 |
キャンプ富士 | 126.3 | 鹿児島 | 127.05 |
中部国際 | 127.075 | 鹿屋 | 246.8 |
大阪国際 | 128.6 | 嘉手納 | 124.2 / 280.5 |
神戸 | 128.075 | 普天間 | 230.3 |
関西国際 | 127.85 | 那覇 | 127.8 / 293.0 |
高松 | 127.45 | 新石垣 | 128.675 |
※ATIS周波数 AIM-J 2017を参照
飛行機撮影に役立つATISの活用
風は一日中同じ方角から吹くわけではなく、時間とともに風向・風速は変化します。
ランウェイエンドでアプローチ機を撮影している場合、徐々に風向が変化しているのに気づかず、お目当ての飛行機が降りる時間にランウェイチェンジとなり撮影できないという可能性もあります。
撮影の合間にATISを確認することで、風向の変化を早めに察知できランウェイチェンジの可能性が高ければ早めに移動できます。
ランウェイエンドから反対のエンドまでは以外に遠く、車でも15分以上かかる場合もあります。
飛行機は基本的に風に向かって離着陸をしています。滑走路が1本の空港(ランウェイエンド)で到着機を撮影している場合、風向きが反対になると離着陸が反対となり、到着機を撮影していた場所は離陸機の撮影ポイントとなります。
まとめ:これでエアバンド入門編は終了です
【エアバンド初心者講座】 第1話から第10話までお疲れ様でした。
このエアバンド入門の話は、初心者がエアバンドを聴く際に最低限必要な内容を紹介できないかと考え簡潔にまとめたものです。
また、これから始めたいと考えている方にもエアバンドという趣味の楽しさを伝えたいという気持ちがありました。
エアバンドは撮影のツールにもなりますが、遥かかなたの上空を飛ぶ飛行機を追いかけるという楽しさもあります。