客室内にある隠された地下への入口、そこは貨物室ではない。
・旅客機の座席の足元には貨物室があるのは極普通の話。しかし、B777やB767のL1ドア付近には、地下への秘密の扉が存在するのをご存じだろうか。
その空間は貨物室ではありません。また、外へ出ることも可能だという。一体そこには何があるのか?
一般人には見ることのできない特別な空間、B777だけでなくA350やA340なども動画で併せて紹介します。
B767やB777のL1ドア付近には地下室への隠し扉がある
もくじ
謎の地下室の正体
L1ドアとは
・大型旅客機には、乗客が乗り降りするドアが左右対称に複数あります。例えば、ボーイング777-200型機には片側に4つあり、左右対称なので合計8つのドアがあります。
業務連絡の際にこれら複数のドアを、適当に「右側の前から2つ目のドアをクローズ」「左の後方から3つ目のドアから搭乗します」などと表現してしまうと、勘違いや聞き間違いなどのヒューマンエラーの原因となってしまいます。
もしも、これが緊急時に開けてはいけないドアをあけるなどミスをすると、致命的な結果となる可能性もあることから、旅客機のドアは共通の呼び名が与えられています。
進行方向に対して、左側のドアを「L側」右を「R側」、前方から「1・2・3・4」と数えます。
通常、乗客が乗り込みのは左側の最前方(B777の場合は2か所)となるので、「L1」と「L2」ドアから乗降するという表現をしています。
L1ドアに装着されているタラップ車
キャビンの下には何がある?
乗客の座席の下は貨物室となっています。主翼より前を前方貨物室、主翼より後ろを後方貨物室と呼び、コンテナ・乗客の荷物・預かったペットなどを搭載します。
今回の内容は貨物室の話ではなく、さらに最前方にある地下空間の話となります。
その秘密の入口は、意外なことに皆さんが普段利用しているL1ドアの近くにあります。どこにあるかわかりますか?
あまり気にせず踏んでいるカーペットに注目してみてください。注意深く見ると、四角く切り取られた部分があるはずです。(B767やB777の場合)
そのカーペットをめくると、地下への入口となるハッチがあります。
Tennen-Gas, CC BY-SA 3.0, ウィキメディア・コモンズ経由で
あくまで豆知識ですので、興味本位でカーペットをめくることはやめてください。最後に動画を紹介しますので、そちらをお楽しみください。
地下空間にあるのはE/Eベイ
・左前方(L1ドア付近)にあるそのハッチを開けると地下へ降りるハシゴがあります。そこは、客室よりもかなり強力に冷房が効いており、空調や様々な機器の冷却ファンの騒音で人間にとってはあまり快適ではありません。
E/E Bay(機種により呼び名は違う)と呼ばれるこの部屋は、正式にはElectronics and Equipment Bay(日本語だと電気室?)と呼ばれています。
ここには、飛行に必要な自動操縦装置、フライトシステム、航法装置、気象レーダー、各種無線機、電気・空調・油圧制御ステム、バッテリーなど飛行に必要なほぼ全てのシステム(通称:ブラックボックス)がここに集約されています。
飛行機の頭脳や神経系統、人間でいえば頭に相当する部分。装置が稼働中の時は大量の熱が発生するので、システムが正常に作動するよう、常時大量の冷却空気で空調が行われています。
動画
・ E/E Bayは、整備士やパイロットでなければ絶対に見ることのできない特別な部屋。その貴重な映像が動画で紹介されています。
B777はキャビンから入る方法。コックピットに入口があるA350。A340ではE/E Bayから地上へ降りる方法を解説するという3つの動画です。