6,000万円という記録的な落札額となった航空ジャンク部品が存在した!
・国内の航空ジャンク市では、数十万円クラスの廃棄パーツはかなり高額な部類に入る。しかし、海外では異次元のオークションが開催されていました。
誰もが予想しなかった驚異の落札額を叩き出したのは、超音速旅客機コンコルドの退役(2003年)を記念したオークションでのできごと。
パリのChristie’s(クリスティーズ)ではエールフランス(AF)のコンコルド部品。ロンドンでは、Bonhams(ボナムズ)によってブリティシュ エアウェイズ(BA)の部品オークションが開催されました。
今回は、この2か所で開催されたオークションの落札額TOP 7をランキング形式で紹介。そんな記録的な落札額となった会場はどこだったのか。
航空資料館
ブリティシュ エアウェイズ(BA)
・2003年12月1日、Bonhams(ボナムズ)によってロンドンで開催されたブリティシュ エアウェイズ(BA)のコンコルド部品チャリティーオークション。イギリス国内だけでなく日本を含む世界中のコレクターが参加した。
目標額の£500,000(日本円で約7千万円)はあっという間に上回り、£750,000(日本円で約1億円)の販売額となった。
※£1→140円で換算。
第1位:マッハ計(Mach meter)
The Machmeter that recorded Concorde fastest flight from New York to London : 2hrs 52mins 59secs, on 7th Feb 1996. pic.twitter.com/aLPYsmiZjv
— María 🧚♀️🧳✈️ (@flybyday63) February 22, 2014
・コックピットの計器は多くのコレクターに人気の部品だが、中でもMACH 2.0以上まで測定できるコンコルドのマッハ計は通常の旅客機には無い特殊な計器として人気が高く第1位の落札額となった。
落札価格:約458万円
第2位:テールコーン
user:EdChem, Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で
・テールコーンは飛行機の尾部にある尖がった大型の機体部品。このような物もコレクターの間では人気の高いジャンル。実際に飛行した部品をいつでも自由に触れたいというコレクターの欲求は世界共通なのかもしれない。
音速の2倍という速度で巡航飛行の際、空気との摩擦熱によりノーズコーンは摂氏125℃、テールコーンでも90℃を少し下回る程度の温度まで熱くなる。
落札価格:約458万円
第3位:キャプテンのシート
Christian Kath, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
・国内の航空ジャンク市でもDC-10のキャプテンシートが数十万円で販売される場合もあるが、コンコルドの機長席はレア中のレアアイテムとして第3位にランクイン。
落札価格:約426万円
第4位:ノーズ ピトー管
Pjc51, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
・コンコルドの特徴的なノーズの先端に取り付けられているピトー管。この部品は、気流の動圧と静圧を同時に感知することができ速度計と高度計にデータを提供している。長さ69㎝と、通常の旅客機(B747の場合:約30㎝)と比べてかなり長い。着氷防止としてヒーターが内蔵されている。
落札価格:約311万円
第5位:1/100 スケールモデル
・長さ62㎝、翼幅26㎝のディスプレイスタンド付きのレジン製1/100 モデルプレーン。BAの『ユニオンフラッグ』カラー。
落札価格:約278万円
第6位:姿勢指示器(ADI)
Photographer: Reddy & Garcia, Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で
・飛行中の機体の姿勢を示す計器。パイロットとって最重要な情報を提供するため、ほとんどの機種が正面に配置されている。
落札価格:約230万円
第7位:パッセンジャーシート
Daniel Schwen / Wikimedia Commons, CC BY-SA 3.0, ウィキメディア・コモンズ経由で
・キャプテンシートと同様に人気が高いのが客室のパッセンジャーシート。リビングや書斎でシートに座り、お気に入りの機体との思い出を楽しむ。ANAでもB747-400退役時に客室シートの販売があった。価格は747にちなんで74万7千円というプライスだった。
落札価格:約164万円
※ランキングTOP 7の落札価格はBonhamsにて
エールフランス(AF)
・2003年11月15日、Christie’s(クリスティーズ)によってパリで開催されたエールフランス(AF)のコンコルド部品チャリティーオークション。約1,300人のコンコルドファンが参加。
予想価格を大幅に上回る品もいくつかあり、特に記録的な落札価格となった部品は世界中で注目の的となった。
※€1→143円で換算。
第1位:ノーズコーン
Wikicop33, CC BY-SA 4.0, ウィキメディア・コモンズ経由で
・コンコルドの顔ともいえるノーズコーン。この鼻先は€420,000という記録的な値段で落札された。空気の壁を切り裂きながら飛行する超音速旅客機、マッハ2という速度はライフルの弾丸よりも早い。
落札価格:約6,000万円
第2位:マッハ表示モニター
in cabin machmeter on Concorde #mach2 #concorde #supersonic pic.twitter.com/oPWj4wOrz8
— Michael Kagan (@mrmichaelkagan) October 8, 2018
・最新鋭の旅客機だと各座席に映画や機外風景を楽しめる個人用モニターが装備されているが、コンコルドの場合はこのモニターが機内エンターテインメントの一つだった。音の壁を超える瞬間や、マッハ2を超えた瞬間に記念撮影をする乗客も多かった。
落札価格:約1,140万円
第3位:エンジン排気ノズル
Alf van Beem, CC0, via Wikimedia Commons
・コンコルドの超音速飛行を可能にしたRR&SNECMA オリンパス593エンジン。この動力部分には大きく分けて3つの重要なシステムがある。
その内の一つはもちろんエンジン本体だが、超音速域でも適切な空気の取り込みを可能にするインテーク部、アフターバーナー作動時・逆噴射・通常時に最適な排気になるよう自動調整する可変ノズルの3つの重要なシステムがある。
その可変排気ノズルが販売されたことにも驚きだが、落札する飛行機マニアの存在にも驚愕。
落札価格:約830万円
第4位:バイザー操作スイッチ
Julien.scavini, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
・普通の旅客機には無いシステムの一つに、機首先端の鼻先が折れ曲がるドループノーズ機構がある。これは、パイロットの視界を確保するためのもので、離陸時には5度、着陸時には12.5度、ノーズ部分を下げることができる。その操作をするためのスイッチ。
落札価格:約360万円
第5位:コックピット計器類セット
・コックピットの計器を収集している航空ファンは世界的に多く、BAのオークション同様こちらのエールフランスのオークションでも注目のアイテムだった。
落札価格:約290万円
第6位:食器類48点セット
・食器類は全て銀製だったという話もあるコンコルドの機内食。わずか3時間という短いフライトで、フルコースの料理が提供された。ナイフやフォークなど食器類は国内の航空ジャンク市でも人気が高い。
落札価格:約170万円
第7位:客室窓パネル
・音速の2倍で飛行中、胴体の外板は空気との摩擦熱により90℃にも達した。その熱はハガキサイズの客室窓にも伝わる為、長時間触れることは困難だったという。乗客が接することができる部分ということもあり、購入希望者が殺到し予想外の落札額となった。
落札価格:約170万円
※ランキングTOP 7の落札価格はChristie’s及びUn ciel signe’ CONCORDE (DVD)にて
当サイトで紹介している低圧タービンの落札額は…
『ロットナンバー100:ブリティッシュエアウェイズ オリンパス593エンジン 低圧タービンブレード 長さ32㎝』と同じ形状のブレード
・コンコルドの原動力、ロールスロイス/スネクマ製 オリンパス593エンジン。その推進力や燃費など性能の要となる部品がタービンブレードと呼ばれる耐熱合金製の羽根。
エンジン運転中は常に高温高圧の燃焼ガスに晒されながら推力の源となる圧縮機を駆動している。2軸式のこのエンジンには、高圧側(高圧タービン)と低圧側(低圧タービン)の2種類のブレードがある。
ボナムスのオークションでは、『ロットナンバー100:ブリティッシュエアウェイズ オリンパス593エンジン 低圧タービンブレード 長さ32㎝』が販売された。
このブレード1枚の落札額は【23万円】だった。
航空ジャンク品としての一般的なタービンブレードの価値は、高温側になるほど価値は上がる傾向にある。このオークションでは高圧側のタービンブレードは無かったが、もし販売されていればさらに高値になっていただろうと考えられる。
Bonhams Lot No100 TURBINE BLADE