JT8Dのベースにもなった1950年代生まれのP&W J52 ターボジェットエンジン
P&W J52は、推力 10,000 lbf(4.5トン)クラスとして、1950年代後半にアメリカ海軍向けA-6(イントルーダー)・A-4(スカイホーク)用として開発されたエンジン。
1955年の初運転から62年が経過した2017年時点においても、A-4やEA-6Bの推進エンジンとして稼働している。
今回は、A-4(スカイホーク)で活躍したP&W J52-P-8 エンジンの低圧コンプレッサーブレード 3段目を紹介します。
A-4スカイホーク
USN, Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で
ダグラス A-4(スカイホーク)は、F-4ファントムⅡの半分のペイロード(兵装)が搭載可能で、製造コストは約1/4という軽量戦闘機として開発された。
初飛行は1954年6月。当初はJ65エンジンを搭載していたが、A-4E以降はP&W J52エンジンに換装。アメリカ海軍・海兵隊向けに開発された戦闘機だったが、後に様々な国に採用されている。1954年から1979年までの間に製造された機数は約2,960機に達した。
ベトナム戦争やフォークランド紛争、中東戦争などの任務に就いたが、2000年以降はアメリカを含めほとんどの国で退役している。
P&W J52エンジン
Flickr user Greg Goebel (original author)Olivier Cleynen (photo editing), CC BY-SA 2.0, ウィキメディア・コモンズ経由で
J57/JT3Aの推力低減 派生型として開発されたJ52は、 推力 10,000 lbf(4.5トン)級のターボジェットエンジンとして1955年に初運転した。
スカイホークやイントルーダーといった、1960~70年代に活躍した軽戦闘機用エンジンとして採用されたことで、製造数は5,000台を超える。初運転から62年が経過した2017年時点においても、一部のA-4やEA-6Bの推進エンジンとして稼働しているものもある。
軸流タイプのターボジェットエンジンとして設計されたJ52は、低圧圧縮機 5段・高圧圧縮機 7段・カンニュラ燃焼室・高圧1段 低圧1段のタービンで構成されている。
低圧圧縮機 1~3段目までは、ブレードの振動防止や異物突入時のダメージ軽減を目的に小さなスナバ―(突起物)が付いいる。
また、J52は民間用JT8D(B727/B737)のベースにもなっている。
J52-P-408 | J79-IHI-17 | F100-PW-220E | |
形式 | ターボジェット エンジン |
ターボジェット エンジン |
低バイパス比 ターボファン・エンジン |
最大推力 | 5,084 kgf | 5,404 kgf | 6,500 kgf |
アフターバーナー時 | なし | 8,100 kgf | 10,570 kgf |
燃料コントロール | アナログ制御 | アナログ制御 | デジタル制御 |
構成 | |||
圧縮機 | 低圧 5段 高圧 7段 |
軸流17段 | ファン3段 高圧圧縮機10段 |
タービン | 高圧 1段 低圧 1段 |
3段 | 高圧2段 低圧2段 |
全長 | 3.0 m | 5.3 m | 4.85 m |
直径 | 0.96 m | 1.0 m | 1.18 m |
エンジン重量 | 1,052 ㎏ | 1,748 ㎏ | 1,476 ㎏ |
J52 低圧圧縮機 3段目
P&W J52
J52-P-8
Compressor Blade Stg 3
オブジェ加工された展示用だったため、根元にスクラップ処置(穴あけ)が施されています。
今から66年前に設計されたスナバ―形状。現代の大型エンジン(B767など)のファンブレードにも似たような形状が採用されている。
ブレードサイズは14㎝ X 3.5㎝ 重さ60グラム
旅客機に装備されているターボファン・エンジン。現代はワイドコードへ移行しているが、旧式のターボファン(CF6シリーズ・CFM56-3・JT9D)には、今回紹介したJ52と同様のスナバ―がある。今から70年程前に設計された形状が現代まで受け継がれている。初期設計が大切という理由がここにもある。
B767/B747-400用 P&W PW4000エンジンのファンブレード(スナバ―形状)