マクドネル・ダグラス MD-80シリーズ(MD-81/MD-87)に搭載されていたPratt and Whitney JT8D-200シリーズのファンブレードを紹介します。
JT8D-200シリーズは、B737-200に搭載されているJT8D-9の高圧コアを流用。ファン部分のみを新設計・大型化しバイパス比を高め推力を向上させたモデル。
-200シリーズは、MD-80シリーズ(MD-81/-82/-83/-87/-88)専用に開発されたエンジン。バリエーションは、設定推力に応じて(-209、-217、-219)の3タイプがある。
Alan Wilson, CC BY-SA 2.0, ウィキメディア・コモンズ経由で
JT8D-200 シリーズ ファンブレード
McDonnell Douglas
MD-81/-87
Pratt and Whitney JT8D-200 series
Fan Blade
エンジン概要 | |
型式 | P&W JT8D-200 series (-209,-217,-219) |
最大推力 | 8.2 t ~ 9.3 t |
ファン直径 | 1.25m |
ファンブレード長 | 0.42m |
ブレード枚数 | 27枚 |
ブレード材質 | チタン合金(Ti-6Al-4V) |
バイパス比 | 1.73~1.78 |
搭載機種 | McDonnell Douglas MD-80 series |
・P&W JT8Dは、1964年にBoeing727用として開発されたエンジン。推力は5.5トン~9.5トンと幅広く様々な機体(B737-200・DC-9・C-1など)に搭載されたベストセラーエンジン。
ターボジェットからターボファンへの移行期に開発されたこのエンジンは、構造上はターボファンだが低バイパス(バイパス比1.0)のため騒音が著しく酷く燃費も悪かった。しかし、信頼性が高いエンジンとしてベストセラーとなり、総運転時間は15億時間を超えたといわれている。
続くMD-80シリーズには、JT8D(-9~-17)を改良した-200シリーズが搭載された。このエンジンは、コア部分は共通のままファンのみを新規設計し大型化。これまでの2段ファンから1段ファンに変更。バイパス比を増大させ推力を向上させると同時に燃費と騒音も改善。リ・ファンエンジンとも呼ばれている。
Alan Radecki Akradecki, CC BY-SA 4.0, ウィキメディア・コモンズ経由で
JT8D-200 series ファンブレードの画像
ブレードサイズ:全長 約41㎝、最大幅 約14㎝
ファンブレードのサイズ
・ファンブレードのサイズは下記のとおりです。
ファンブレード サイズ:415㎜X145㎜
エンジン型式 | Pratt and Whitney JT8D-200 series |
ブレードタイプ | スナバー付き・ファンブレード |
材質 | チタン合金(Ti-6Al-4V) |
全長 | 415 mm |
全幅 | 145 mm |
重量 | 1,400 g |
※若干の測定誤差はご了承ください。
リ・ファンエンジンとは何か
・MD-80シリーズのエンジン開発では、旧タイプのJT8D(-9~-17)と比較して、推力を増大・燃費の向上・騒音低減が要求された。その開発では、当時斬新とされた新しい手法がとられた。
【リ・ファンエンジン】
エンジンメーカーにとって、新規に新しいエンジンを開発することは莫大な投資や納期・販売など様々なリスクがある。
そのリスクを抑える方法として考え出されたのが、信頼と実績を重ねてきたJT8D-9のコア部分を流用し、ファン部分のみを新規に設計するという(リ・ファンエンジン)という手法だった。
具体的な変更点としては、これまで2段構成だったファンを1段に変更。ファンブレードを大型化することでバイパス比を(1.0から1.74)まで増大。推力の向上・燃費改善・騒音低減という目標を達成した。
見た目の違いは全長が長くなった程度にしか見えないが、内部は大きく進化した画期的なエンジンとなった。
左:-200シリーズ(1段ファン) 右:JT8D旧タイプ(2段ファン)
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