『この金属なんですかねぇ~』ということから始まった今回の話。手元に届いたこの金属ブロックが一体何なのか調べたら航空用の有名な合金だったという話です。
金属分析器などそんな立派なものはないので、どうしたものかと知恵を絞ってみました。
金属の見分け方
・仕事や研究など金属関係に携わっている人は、見たり触れたり匂いを嗅いだりと五感を使ってある程度一般的な金属なら特定できるそうです。
まずはその簡易的な方法で絞ってみました。
磁性で見分ける
・磁石に付けば鉄、つかなければ非鉄金属(アルミ・亜鉛・鉛・ステンレスなど)ということで、この謎金属に磁石を近づけてみましたが付きませんでした。
とりあえず謎金属は非磁性金属。
※ステンレスはニッケルの配合量で磁性・非磁性と特性が変わります。
色で見分ける
・白色系の非磁性金属にはアルミ・ステンレス・鉛・ニッケル合金など様々。同じ銀白色に見えて微妙に違うという特徴で比較してみました。
この謎金属はアルミとは明らかに違う色をしているので除外できそうです、しかしアルミ合金という可能性もあるので保留。
鉛やニッケル合金とも微妙に違う感じがしました。
どちらかというとステンレスの色に似ているようで…少し違う。
重さで見分ける
・手にしたときの重みで比較してみると、アルミとは明らかに違う(重い)でもステンレスやニッケル合金よりは軽いかなという感じでした。
金属の密度で見分けてみた
・金属を密度 (g/cm3)で見分ける方法があるようなので、早速計測してみました。
体積
・たて X よこ X 高さ(cm)
4.76 X 3.5 X 2.7 =44.982 cm3
※正確な数値にするため実際はノギスで測定しました。
重さ
・手元にこれしかなかったので…信頼と健康の『タニタ クッキングスケール』
重さ=199グラム
密度
・199 / 44.982 = 4.424
謎金属の密度は 4.424 g/cm3
意外な結果がでてきました!
昔ならった金属の密度、たしかアルミは2.7で鉄やステンレスは8.0に近い数値だったはず。
金属の物性値表で調べててみた
・何となくわかってきたので、一気に気になっていた物性値表で調べてみました。
日本チタン協会:チタンの物性値から お借りしました。
この表から、先ほど算出した謎金属の密度4.424にほぼ近いものを見つけました。
【 α-β チタン合金 】
結果:航空用のあの有名な合金でした。
・ α-β チタン合金(Ti-6Al-4V) といえば、ジェットエンジンのファンブレードやコンプレッサー低圧段に使われる素材として有名な材料です。
これまでブロック状のチタン合金は持ったことがなかったので、重いかと聞かれたら重い・軽いかといわれたら軽い、アルミ合金かステンレスかと聞かれたら…全てが曖昧でした。
今回はたまたま精度のいい四角だったので、ほぼ物性表とピッタリな数値になりました。
誰特になるかわかりませんが結構使えそうなネタだったので紹介してみました。
不明な金属は、とりあえず精密な四角に切り出して⇒重さを量って⇒体積で割って⇒密度を求めて⇒物性値表で調べる。