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【旅客機のブレーキ】どれほど強力なのか|離陸中止は燃える勢いで全力制動し機体を止める

飛行機のブレーキ

200トンの巨体も着陸後わずか20秒で自転車並みの速度に

空中を飛んでいた飛行機が、優雅な姿で滑走路に「トンッ」と接地したかと思うと、すぐに3種のブレーキで急制動し滑走路内で無事に停止する。

その3種のブレーキとは「主翼にあるスポイラー」「エンジンの逆噴射」「車輪のブレーキ」

通常はこの3つをバランスよく使って、安全な範囲内で乗客の負担にならないマイルドなブレーキを行いますが、「車輪のブレーキ」だけでも機体は止めることが可能。

遠くから飛行機を眺めていると、小さなタイヤに小型のブレーキ。何となく頼りなさそうですが、実は凄まじい力を秘めています。

離陸中止時には、自身から火が噴き出し燃えるような高温でも機体を全力で止める」そんな安全のための最重要装置(ディスクブレーキ)の話です。

 

ディスクブレーキとは

W800 disk brakeCentovalli, CC BY-SA 3.0, ウィキメディア・コモンズ経由で

・ディスクブレーキを見たことはありますか。身近な乗り物だと、バイクの前輪ブレーキや自動車のブレーキなどです。

止める仕組みは、車輪と一緒に回転するディスクローターを、ブレーキパッドで挟み込むことで制動します。

利点としては、放熱性が良い・ブレーキの効きが低下しにくい・安定した制動力が得られるなど様々な点で効果が高いことから、多くの乗り物で利用されています。

自動車の場合

DiscbrakeComyu, CC BY-SA 3.0, ウィキメディア・コモンズ経由で

一般的な車やバイクは、画像のような単板のディスクローターをブレーキパッドで挟み込み、ピストンで押さえつけることで摩擦力が発生し停止させます。

旅客機の場合

最大離陸重量 30~400トンの旅客機の場合、ディスクを複数枚サンドイッチした多板式のディスクブレーキが装備されています。

一般的な構造は、ディスクローターが4~6枚あり、その円周状に配置した7個(B747・B777の場合)~12個のピストンを油圧(最大 3,000psi 約210 kgf/cm2)によって押さえつけることで、強力な摩擦力を発生させ機体を停止させます。

ほとんどの旅客機は主輪のみ(前輪にはない)、タイヤの数の分だけディスクブレーキが装備されています。

 

B747クラシック

・B747クラシックの場合、ディスクローターが鉄製のため1つのブレーキ重量が 100㎏以上と重く、主脚には16個の車輪があったことから、乗用車1台分の荷物を常に空中で運び続けていた。

地上ではなくてはならない最重要装備ではあるが、飛んでしまえば不要な荷物となるブレーキシステム。それを軽量化できないかと考え出されたのがカーボン(カーボンベースの複合材)・ブレーキでした。

カーボンブレーキは重量軽減と長寿命ということで、軍用機では1970年代から採用されており、超音速旅客機コンコルドにも装備されていました。しかし、当時は製造コストが高く、整備費用や予測不可能な摩耗など、様々な問題がありデメリットも多かったことから、旅客機では重量増加を承知で鉄製が採用されていた。

しかし、1980年代以降は燃料の高騰により低燃費な航空機が求められたことから、乗用車並みに重い主脚のブレーキシステムの軽量化が再び注目されるようになりました。

軽量なカーボンブレーキの採用は、エアラインが懸念していた維持費用に比べて燃費節約の効果が高く、製造コストや運用上の問題も減少したことから、B767以降の機体に次々と採用された。

 

B747-400には軽量で制動効果の高いカーボンブレーキが採用された。

特にB747-400場合、16個の車輪全てをカーボンブレーキに変更した効果は大きく、一説によると約1トンの軽量化に成功したという話もある。

軽量化というと凄さが伝わりにくいが、乗客に例えると約14人(70㎏/人)、荷物だと1トン、航続距離だと燃料1トン分の延長が可能となる。これが単にブレーキの交換だけで達成できたことが技術革新だった。

 

現在はほとんどすべての旅客機にカーボンブレーキが採用されている。

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どれくらいの制動力なのか

身近な乗り物と飛行機の制動距離(理論的な距離)を比較した数値がこちら。

 

①:時速60km/hで走行中の乗用車

27メートル
(空走距離は含まず)

②:時速270㎞/hで走行中の新幹線

約 3,900メートル

③:約250km/h前後で着陸するジェット旅客機

小型機:約 1,500メートル

大型機:約 2,000メートル

 

滑走路が2,000メートルのローカル空港でも運用可能なB767-300、その高性能な機体が真価を発揮すると最短 約1,000m程度(時間にして20秒)*2で自転車並みの速度まで制動が可能。

 

※1:道路や線路・滑走路の状態により異なります。あくまで理論的な数値です。
※2:着陸重量や天候など様々な要因で変化します。

最大重量時の離陸中止はブレーキから出火する場合も

・離陸滑走中にエンジン故障や火災・機体不具合・ウインドシアなど、離陸の続行が危険と判断された場合は離陸中止(RTO:Rejected takeoff)操作が行われます。

離陸を続行した方が安全なのか、滑走路内で停止した方が安全なのか決定するのがV1と呼ばれる速度ですが、今回の内容からは外れるので興味のある方はWikiなどを参考にしてください。

旅客機は開発時に、安全に関わる様々な認定試験を受けます。その中でも特に過酷なテストといわれているのがRTOテストです。

この試験は最悪の状況を想定して行われるので、最大離陸重量に近い機体をV1直前まで加速させたところで緊急停止させます。

 

B777-200やB777-300ERなど、大型旅客機がフル制動を行うとブレーキが過熱し出火しますが、5分間は消火せずに火災が広がらないかも試験項目に含まれています。

ブレーキの過熱や火災によって、タイヤの内圧が上がり破裂する危険性もありますが、ホイールに取り付けられているプレッシャー・リリーフバルブによってタイヤの圧力の逃がします。

おまけ:ブレーキの消耗量

画像のエアラインと内容は関係ありません

B737の場合、1回の着陸で平均 0.001インチ消耗するといわれています。

思ったより少ないと感じる方も多いと思いますが、着陸で使用するブレーキの消耗量は全体の25%程度という話もあります。

ある航空機の場合、ブレーキ全体の消耗量の内、25%が着陸、残り75%が地上走行(コールドブレーキ:50%、ホットブレーキ:25%)で消耗したという結果もあります。

※コールドブレーキ:スポットから離陸まで。ホットブレーキ:着陸後からスポットまで

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