機体重量によって変化する離陸速度、767-300ERの場合は対地速度で時速 102km/hも差が出る。
・ボーイング 767-300ERは、国内線(飛行距離 2,000㎞以内)から国際線(最大11,000 ㎞)まで様々な場面で活躍する双発ジェット機。
初飛行は1986年(-300ER型)だが、燃費や経済性などトータル性能が高いことから、2022年現在でも数多く運用されている。
身近なジェット旅客機、767-300ERの気になる離陸速度を紹介します。
English: Aleksandr MarkinРусский: Александр Маркин, CC BY-SA 2.0,
重量で変わる離陸速度
・飛行機は、翼で発生する揚力によって空中へ浮くことができますが、その発生する揚力は、翼を流れる空気の速度によって変化する。
例えば、重量100トンの機体が時速 216 km/hで浮き上がる場合、機体重量が185トンになると時速 310㎞/hまで加速する必要がある。
767-300ERの場合、実際どれくらいのスピードで浮き上がるのか。
767-300ERの離陸速度
・全長 54.9 m、座席数 202~270席、翼幅 47.5m、翼面積 283.3㎡の巨大な翼を持つ 767-300ERはどれくらいのスピードで離陸するのか。
その時の飛行時間・乗客数・貨物によって、機体の重量は【最小 220.000 lb(99.8トン)~最大重量 408,000 lb(185.2 トン)】と 85トンも変化する。
767-300ER T/O SPEED | |||
離陸重量 | 離陸速度(単位:km/h) | 備考 | |
(単位:トン) | FLAP 5 | FLAP 15 | |
100 | 207 | 205 | |
110 | 229 | 218 | |
120 | 243 | 231 | |
130 | 255 | 242 | 国内線機材 最大離陸重量 |
140 | 266 | ー | |
150 | 278 | ー | |
160 | 283 | ー | |
170 | 294 | ー | |
185 | 309 | ー | 国際線機材 最大離陸重量 |
※離陸速度はあくまで目安の数字です。
※無風状態(対気速度=対地速度)と仮定した場合の速度です。実際は向かい風・追い風によって対地速度はわずかながら変化します。
【FLAP 5】
・標準的なフラップ設定値、国内線の場合は滑走路長が2,000m以上、滑走路路面状態 (DRY、WET)
【FLAP 15】
・低速で離陸が可能となるが加速性能が若干悪いため離陸出力の設定値を(DERATE2→DERATE1)へ高くする必要がある。国内線の場合は滑走路長が1,999m以下の空港、または滑走路路面状態が雪や氷の場合に使用。
また、機体重量が130トンを超える場合は使用できない。
【国内線機材】
・客席数 250~270席
・航続距離 3,000~3,370 ㎞
・最大離陸重量 130トン
【国際線機材】
・客席数 200席
・航続距離 10,460~11,000 ㎞
・最大離陸重量 180~185トン
・国内線機材は、着陸料や駐機料の関係で最大離陸重量を低く設定しています。気になる方はこちらが参考になります。