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B747-200B【北米西海岸⇒日本】直行便は JT9D-7Q エンジンによって実現した|その心臓部がこれ

ボーイング747-エンジンパーツ

航続距離 8,150kmから10,460㎞へ、伝説の進化を遂げた JT9D-7Qエンジン

就航当初(1969年)の747-100の性能は、航続距離 7,500kmと「東京ーホノルル」間の直行も天候に左右されるほどだった。

その後、空力性を高めた新世代 747-200B(JT9D-7A)が開発されたが、それでも航続距離は 8,150km程と目標以下の性能不足に悩まされた。

 

Pan Am 747-100 N741PA at FRA (22016115628)G B_NZ, CC BY-SA 2.0,

その一つの要因がエンジンの出力不足だった。

アメリカ P&Wが開発した大型ターボファン・エンジン JT9Dエンジンには、従来のB707やDC-8に搭載されていたJT3Dエンジンと比較して「推力は2.5倍」「燃費は30%減」という前代未聞の設計目標が要求された。

これが実現しなければ、巨大なB747は舞台に上がることができない。

苦難の末に誕生したのが、推力19.7トンを発生する JT9D-3エンジンだった。

このエンジンによって営業運航は可能となったが、航続距離が 6,700 ㎞程と東京ーホノルル間の直行も天候に左右され、エンジン故障も多発した。

JT9Dの出力アップのために、P&Wは水噴射によって最大離陸推力を3.5%増強するシステムを搭載した JT9D-3A/-7AWを開発し一時的に対応。

その後は、高圧タービンに新合金を採用するなど抜本的な見直しが行われ、最終的に水噴射なしで推力 21.9トンを発生する JT9D-7Aエンジンとなったが、それでも目標推力には達していなかった。

 

Air Hong Kong B747-200 at MAN (15956138960)G B_NZ, CC BY-SA 2.0,

・様々な空力改善が施された新世代の747-200Bには、当初この改良型 JT9D-7Aタイプのエンジンが搭載されており、航続距離は8,150kmと目標の1万キロには満たない性能で就航開始した。

同時期、P&Wは水噴射なしで推力 23トンを発生する JT9D-7Qエンジンの開発に着手していた。

 

従来型 JT9D-7Aのファンブレード、全体的な形状は同じだが -7Qとは全長が 2㎝ほど違う

JT9D-7Aと-7Qの違い

  • ファン径が2.5インチ(約5㎝)大型化
  • 圧縮機を1段追加しコアフローを増加
  • 全体圧力比の上昇
  • 高圧タービンノズルの形状変更
  • 高圧タービンブレードの形状・材質変更

 

左:高圧段NGV及びHPT 1段目(JT9D-7A) 右:高圧段NGV及びHPT1段目(JT9D-7Q)

・画像のとおり、全くの別物エンジンといっても過言ではないほど部品形状が進化した。

これらの大幅な改良によって、コアエンジンは-7A系列と-7Q/59A系列は全く別の路線を歩むことになる。

 

B747-100(JT9D-7A)のNGVとHPT1段目

このJT9D-7Aの派生型が、後の747-300/767に搭載されたJT9Dシリーズ最終型(-7R4Gや-7R4D)となっている。

NGVやHPTの基本形状はそのままで、材質(一方向凝固合金→単結晶合金)や空冷構造が見直され改良されている。

 

B747(-7Q)やDC-10(-59A)のNGVとHPT1、後のPW2000及び4000系列はこの形を受け継いだ

・性能不足に悩まされた初期のB747-100(最大離陸重量 322トン)は、JT9D-7Qエンジンの登場によって最大離陸重量は40トンも引き上げられ 362トンとなり、航続距離は目標の1万キロを超える10,460㎞(747-200B)となった。

この性能アップは、偏西風の影響を受ける時期においても北米西海岸からフルペイロードの状態で東京へ直行可能となった。

また、当時の日本航空のロサンゼルスーリオデジャネイロ(ブラジル)線においても、マイアミで給油することなく直行が可能となり利便性が向上した。

1970年の就航当時は「ホノルルー東京間」においても天候に影響されたB747は、10年後の1980年には「東京ー北米西海岸線」も難なく直行できるほどパフォーマンスが向上した。

 

Boeing 747-246F-SCD, Japan Airlines - JAL Super Logistics AN0158864Konstantin von Wedelstaedt (GFDL 1.2 or GFDL 1.2),

 

・パンナムが描いていた夢でもあった「1万キロをノンストップで飛行できる航続距離」「乗客 350人の広いキャビン」「アッパーデッキの活用とエンターテイメント」その全てを実現したのが 747-200BでありJT9D-7Qエンジンであった。

 

Boeing 747-212B, Pan American World Airways - Pan Am AN0069848Ted Quackenbush (GFDL 1.2 or GFDL 1.2),

パンナム 747 飛行試験 Inflight200 1200
ノーブランド品
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