飛行機に乗っていると、大きく右旋回したり何度も軽く左右に旋回するといった経験があるかと思います。これらの指示も全て航空無線でやりとりしています。
エアバンドで旋回指示が聴き取れると、最終の進入コースに入った着陸機、空港周辺が混雑している様子などがわかるようになります。
【エアバンド初心者を脱出する10の話】
第8回目は【右旋回・左旋回の数字をマスターしよう】についてです。
飛行機はどこ向きに飛んでいる?
航空無線の世界では方位を(東西南北)ではなく、分度器のような(0°、90°、180°、270°)といった数値で表現することを【エアバンド入門 #5:滑走路の番号と方位を理解しよう】で紹介しました。
南西方向は方位225°といった数値表現には慣れましたか?
まだ理解できないという方は【エアバンド入門 #5】も参考にしながらこれからの話にお付き合いください。
【復習】:方位を数値で表現
飛行機がコンパスの中心にあるとイメージしてください
・360度(0度)方向に飛行している場合は北向き
・方位180度だと南向きに飛行
・方位090度だと東向きに飛行
(実際は、方位042や152など1度単位で細かく方位を決めて飛行しています)
(例えば:315度の方角に飛行なら北西向きに飛んでいるとなります。)
右なのか左なのか?旋回に使う指示とは
例えば、方位045(北東)方向に飛行していた飛行機がなんらかの要因(機材故障・悪天候・空域の混雑など)で、方位270(西向き)に管制塔から旋回指示があったとします。
その指示を受けたパイロットは、北東に飛行していた機体を反対の西向きに旋回させますがこの指示だけでは、左旋回しながら方位270を目指すのか、右旋回しながら270なのかがわかりません。
混雑している空域なら左旋回と右旋回の違いで空中衝突の危険性すらあります。
過去には左・右旋回の間違いで山に激突した事故事例もありますので、確実に意思疎通する必要があります。
飛行方位・旋回指示の具体例
飛行方位を決める旋回指示について理解しましょう。
管制塔:『Japan Air 627, turn right heading 270』
(ジャパンエア627便 270度方向へ右旋回してください)
パイロット:『Right heading 270,Japan Air 627』
(ジャパンエア627便 270度方向へ右旋回します)
上昇や降下中はまとめて指示されることもあります。
管制塔:『All Nippon 575, turn right heading 340,climb and maintain flght level 370』
(オールニッポン575便 右旋回で方位340度、高度37,000ftまで上昇しなさい)
パイロット:『Right heading 340,climb and maintain flght level 370, All Nippon 575 』
(オールニッポン575便 右旋回で方位340度、高度37,000ftまで上昇します)
空港混雑や悪天候の時は頻繁に指示が出る
タワーやアプローチといったエアバンドの周波数を毎日聴いていると、交信がいつもとなんとなく違う雰囲気(頻度が多い)と感じる時があります。
特に、着陸機がコンタクトする『アプローチ』の周波数で同じ便に対して何度もヘディング○○○と旋回指示が出る場合は、周辺の空域が混雑していることが多々あります。
また、積乱雲やタービュランスなど悪天候の空域を避けるために細かな旋回指示が出る場合もあります。
・空域が混雑の時は管制官から先に針路を指示する。
・積乱雲など悪天候を避ける場合は、パイロットから先に針路をリクエストする場合が多い。
まとめ:エアバンド上達のコツ(飛行方位編)
交信時にRightやLeftがくれば次に数字○○○がくるだろうと予測することで、パッパッパッと3ケタの数字が受信機から聴こえてきても旋回だなと落ち着いて理解できるようになります。
旋回指示のリスニングに慣れると、目的の飛行機が最終の着陸コースに乗ったからカメラを準備しよう、空域が混雑しているので狙いの便は少し遅れるな!といったことが頭でイメージできるようになります。
【エアバンド初心者を脱出する10の話】
第9回目は【空にも速度制限があるスピード】についてです。