大空は飛行機が自由にスピード制限なく飛べるのか?航空無線の交信内容で『Reduce speed 220kt』という意味は何なのか?
エアバンドで『アプローチ』の周波数を聴いているとよく耳にするスピード指示。この交信でスピード指示を頻繁に聴くと大空は想像以上に混雑していることがわかります。
【エアバンド初心者を脱出する10の話】
第9回目は【空にも速度制限があるスピードの話】についてです。
空にスピード取締りはない?
空には車のようなスピード違反取締りはありませんが、管制官のレーダー画面上には飛行機の位置だけでなく(速度・高度・飛行方位)もわかるようになっています。
速度超過で管制塔から注意という話は聞いたことがありませんが、だからといって限界までスピードを出すということはありません。
飛行機にはそれぞれ機種に応じて様々な制限速度がマニュアルで指示されています。構造限界速度や失速速度など運用中に超えてはいけない速度が細かく設定されパイロ ットはこれを厳密に守り飛行しています。
速度制限のある空域
空には速度制限がないのかというと答えは否。
着陸に向けて降下を開始し目的空港周辺に設定された進入管制区に入ると、高度10,000ft以下では速度250ktという制限があります。
この目的は、飛行機同士がお互いを視認しやすくなるという目的もありますが、他にも空域内にいる数多くの飛行機の速度を同じにすることで適切な間隔に管制できるメリットがあります。
スピード指示が頻繁に出る場合は周辺空域が混雑している
到着機が降下中に交信する『アプローチ』という周波数をエアバンドで聴いていると、時間帯によって『Reduce speed 220kt』など速度指示の交信が増える場合があります。
前回の【エアバンド入門 #8 】で紹介した頻繁に旋回指示がでる時と同様、周辺空域が混雑している場合があります。
(速度指示の単位はノット knotが使われています)
管制:『Japan Air 521, reduce speed 230kt』
(ジャパンエア 521便、速度を230ノットまで減速してください)
パイロット:『Reduce speed 230kt,Japan Air 521』
(ジャパンエア 521便、速度を230ノットまで減速します)
管制:『All Nippon 260, turn right heading 340,reduce speed 210kt』
(オールニッポン260便、右旋回し方位340度で飛行、速度を210ノットまで減速してください)
パイロット:『Right heading 340,reduce speed 210kt,All Nippon 260』
(オールニッポン260便、右旋回で針路は340度、速度を210ノットまで減速します)
機種により微妙に違う経済速度
・巡航飛行中の旅客機は全て同じ速度で飛んでいるようで実は微妙に違います。機種によって燃費の良い経済速度があります。
一般的にエアバス機はボーイング機よりも遅いといわれ10時間を越えるような長距離便だと15~20分も差がでるとか。また、機体が大きいほど巡航速度も速い傾向にあり、同じボーイング機でもB777がB737を追い越すということもよくあります。
まとめ
今回のエアバンド初心者講座 第9話までで、航空無線を楽しむために必要な最低限の交信(便名・離着陸・上昇・旋回・速度)を紹介しました。
エアバンド上達のコツは、何度も聴くことです。
特に空港で実際に飛行機を見ながらリアルな動きと無線交信が頭の中でリンクするとかなり早く上達します。
次でいよいよ最後となる第10話は、空港に行く前に聴くと便利なATIS(飛行場情報放送)で使用滑走路や天候がわかるについて紹介します。