・航空自衛隊 F-4EJ ファントム戦闘機に搭載されていたJ79‐GE(IHI)‐17 エンジンのスクラップ部品を再利用したコンプレッサーブレード・キーホルダーを紹介します。
このようなジェットエンジンの廃棄パーツ・キーホルダーは、全国各地の自衛隊基地で開催される航空祭の売店で時々販売されている場合があります。
航空自衛隊 F-4EJ ファントム戦闘機
・アメリカ海軍の艦載機として1958年に初飛行したF-4戦闘機。
エンジンには、超音速ジェット戦闘機 F-104 スターファイターにも搭載されていたアメリカGE製 J79-GE-3Aが二基装備されている。
J79は、アフターバーナー付きターボジェットエンジンで、最大推力 6,715 kgf(A/B時)という強力なパワーを秘めていた。当時最新鋭のこのエンジンを2基装備したことで、マッハ2.2での高速飛行や亜音速域での機動性・様々な兵装の搭載能力・十分な航続距離など多彩な性能を確保することができた。
航空自衛隊には、日本向けに改良されたF-4EJ【ファントムⅡ】が採用され、1971年から配備された。導入された機数は154機。
F-4EJには、IHIでライセンス生産されたJ79-GE(IHI)-17エンジン(最大推力 8,080 kgf)が二基搭載されている。
J79-GE (IHI)-17 エンジン
・F-4EJ ファントムⅡの優れた機動性を実現するために必要な強力なエンジンは、F-104 スターファイターにも使用されていた信頼と実績のあるJ79エンジンを改良したJ79-GE-17が二基搭載された。
最大推力 5,404 kgf(アフターバーナー作動時 8,100 kgf)という凄まじいパワーを発生するが、エンジンの重量は1,748 ㎏と軽量に作られている。
この強力なエンジンを2基搭載したF-4EJ ファントムⅡ、必要な場合は最大速度マッハ2.2まで達することが可能だという。また、亜音速域での空中戦における機動性、様々な兵装の搭載能力・十分な航続距離を確保する燃料増槽なども、その強力なパワーによって実現できたといわれている。
航空自衛隊のF-4EJには、IHI(石川島播磨重工業)でライセンス生産されたJ79-IHI-17が搭載されている。
現在、活躍中のF-15J/DJのエンジンスペックと比較した表がこちら。
J79-IHI-17 | F100-PW-220E | |
形式 | ターボジェット エンジン |
低バイパス比 ターボファン・エンジン |
最大推力 | 5,404 kgf | 6,500 kgf |
アフターバーナー時 | 8,100 kgf | 10,570 kgf |
燃料コントロール | アナログ制御 | デジタル制御 |
構成 | ||
圧縮機 | 軸流17段 | ファン3段・圧縮機10段 |
タービン | 3段 | 高圧2段・低圧2段 |
全長 | 5.3 m | 4.85 m |
直径 | 1.0 m | 1.18 m |
エンジン重量 | 1,748 ㎏ | 1,476 ㎏ |
圧縮機 12段目 ブレード
・基地祭などで販売されている『本多工芸』の【F-4EJ エンジンブレードコンプレッサー】は、J79-IHI-17 エンジンの圧縮機ブレードをキーホルダーに加工した商品。
※J79の圧縮機は全17段で構成されています。
キーホルダーは様々な種類がラインナップされていますが、紹介のブレードは12段目のブレードとなっています。
J79エンジン 圧縮機ブレードの材質
左:F100 7段目 重量11.5 g 右:J79 12段目 重量22.0 g
・F100エンジンの場合、圧縮機(前~中段まで)がチタン合金・後段にはニッケル耐熱合金が使用されています。一方、J79には強靭性と耐熱・耐蝕性に優れたステンレス鋼が使用されています。
ステンレス鋼といっても多種多様な種類があり、一般的な家庭用品には主に非磁性のオーステナイト系が使われていますが、J79の圧縮機動翼には磁性があるマルテンサイト系ステンレス鋼が使われています。
ブレードの重量に関しても、似たようなサイズのF100とJ79を比較した場合、下記のとおり2倍程の差があります。
J79-IHI-17 | F100-IHI-100 | |
圧縮機ブレード | 12段目 | 高圧7段目 |
材質 | マルテンサイト系 ステンレス鋼 |
チタン合金 |
合金名 | 13Cr鋼 ※1 | Ti-6Al-2Sn-4Zr-6Mo |
ブレードサイズ | 56mm X 25mm | 60mm x 23mm |
重量 | 21.0 グラム | 11.5 グラム |
搭載機種 | F-4 ファントムⅡ | F-15 イーグル |
(※1 参考資料:航空エンジン部品の表面処理について)
また、画像のようにブレードが磁石につくなどの特徴もあります。
F-4EJ コンプレッサーブレード画像
J79 エンジン
J79-IHI-17
Compressor Blade Stg12
入手方法
・今回紹介したF-4EJ ファントムⅡ J79エンジンブレードのキーホルダーや、F-15 ブレードキーホルダーは、全国各地で開催される基地祭の出店で時々販売されている場合があります。
しかし、毎回必ず販売されるわけではない限定品なので、見つけたらその場で即購入するというスタンスがおすすめです。
他にはネット通販やオークションサイトで販売されていることもあります。