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JAL整備のお仕事 第3弾 「セルフロックナット」難易度高め 1時間で部品を調査|新品だと5千円の価値

JAL整備のお仕事

飛行機マニアが「セルフロックナット」を調査、1時間でここまで判明した。

・JALエンジニアリングから、本物の飛行機整備関連グッズが出てくるガチャポン「整備のお仕事」が羽田空港限定で発売された。

第1弾(2022年1月17日)、第2弾(2月10日)ともに数日で完売。

第3弾は3月25日に販売を開始したが、用意された450個はお昼には完売するという人気ぶり。

景品の内容は、「部品整理タグ」「コネクター」「CFRPキーホルダー」「ビット&スクリュー」「ストリーマー」「セルフロックナット」+シークレットの7種となっている。

今回は、見た目の色や形からエンジンの部品だとすぐにわかる「セルフロックナット」をゲット。

リーフレットにない情報を <Google検索> だけでどこまで調べられるか挑戦してみた。

 

【準備編】リーフレットから得られる情報

・まずは基本、付属のリーフレット(説明書)に記載されている内容を隅々まで読んで情報収集。

前回の第2弾「エンジンボルト」の全力調査の時には何も読まずに作業したので、無駄に機種やエンジン特定をしてしまい1時間も潰れました。今回はその教訓を活かしショートカットします。

 

① JAL 767-300ERと777のエンジン部品

那覇空港飛行機撮影

・景品の「セルフロックナット」は、767-300ER型機と777型機のどちらかのエンジン用ナットが入っているようです。

リーフレットの写真はたぶんGE90、実際の景品にはCF6-80C2のどちらか一種が入っています。

2つのエンジン型式をランダムに封入するあたり、前回よりも難易度が高めに設定されており特定の道のりが険しいことを物語っています。

大きさや形状から、今回当たったのはCF6と予想できるのでこれで進めていきます。

前に並んでいた人は、GE90タイプを当てたようですが「何だこれは?」と無関心。それ、シクレ並みに幸運だと思いますよ。

 

セルフロックナットにはB777(GE90タイプ)かB767(CF6タイプ) 2種類のどちらかが入っていた。

 

② エンジンのどこで使用されたのか?

・リーフレットを読み進めると、この部品は「ファンブレードとコンプレッサーの部分をつなぐナットとして使用」とあります。

誰が読んでも理解できるように、分かりやすく部品について説明されています。

この解説を、これからもっとマニア的に深堀して読み進めていきます。

 

ファン・ローター・ディスクと低圧スプールの締結

 

James L. Kolstad, Public domain, ウィキメディア・コモンズ CF6-6の図面を説明のため加筆(赤丸と青丸を追加)

・今回は、たまたまWikiにCF6-6の図面があったのでこれを使って解説します。

初期のDC-10に搭載されていた(CF6-6)は、B767型機(CF6-80C2)のおじいちゃんみたいなエンジンなので、ある程度共通の図面として使っても問題ないと思います。

まず、赤丸のファン・ローター・ディスク(低圧1段目)と青丸のスプール(低圧2~4段目 動翼)は、一体型ではなく分割式になっており、38本のボルトとナットで締結されています。そのナットが、今回の景品となった「セルフロックナット」と思われます。

下の図がその詳細(こちらもWiki)、赤丸部分はファン・ローター・ディスクと低圧スプール(低圧圧縮機 2~4段)の締結を示す断面図。

このようにボルトとナットで締結する箇所が、ファンの数と同じ38か所あります。

 

James L. Kolstad, Public domain, via Wikimedia Commons CF6-6の図面を説明のため加筆(赤丸を追加)

・航空機では、ボルトの緩み防止に「セーフティーワイヤー」が様々な箇所で使われていますが、この方法は複数のボルトがなければワイヤーをかけることができない。

ファン・ローター・ディスクと低圧スプールをつなぐような箇所には、隣り合うボルトがなく単独での締結のため別の方法による緩み防止が必要となる。

 

航空機のボルトやネジには、緩み止めとしてセーフティーワイヤーが施されている。

その方法の一つが「セルフロックナット」と呼ばれるもので、ねじ山の径を小さくすることでボルトの緩みを防いでいる。

このナットを正面から見ると、おにぎり型のように変形している。

 

【マニアの本領発揮】削られた部品番号(逆引きで割り出す)

・今回の景品も第2弾に続き、部品番号が削り取られています。

前回よりもハードルが高く設定されている気がしますが…それではマニアが全力で部品特定をしてみましょう。

部品番号がなくても割り出せる高度な識別方法がある。それが、パーツの特徴から部品番号を当てる“逆引き”という技。

名もなきセルフロックナットから、1時間以内に「パーツナンバー」「材質」「新品価格」を復活させます。

 

その前に「逆引き」とは?

・前回の【第二弾 エンジンボルト】の時にも紹介した「逆引き」という技。なんだそれ?という人のために、同じ説明になりますが簡単に紹介します。

飛行機パーツマニアの間では、部品番号(パーツナンバー)からエンジンの型式や名称を調べる方法がもはや常識となっている。

オークションやフリマでは、出品者にパーツナンバーを質問してネットで検索する人も多くなった。これが商品説明と一致していれば素性は正しいと判断して購入する人が大半を占めている。

そのおかげで、「B787の圧縮機ブレードと偽って、古いB747のブレードを売る」という昔ながらの間違いはかなり減った。

しかしこの識別は便利な反面、大きな欠点もある。

正しい部品番号がわからなければ次に進めないのだ。

そんな時でも、パーツの特徴から部品番号を割り出せる高度な識別方法がある。それが、“逆引き”という技だ。

結構面倒で時間を要すので、普段はジャンク市で手に入れた謎のタービンブレードの材質調査や、型式特定など重要な情報を調べるときに使う技。

 

仮に部品番号が削られたジャンクブレードでも、逆引きを使えば部品番号だけでなく「T56-A-15」「Mar-M-247」などの情報がネット検索だけで得られる。

 

【調査】もちろん使うのは「Google 検索」だけ

  • 一般的な方法:部品番号→エンジン型式や名称を調べる
  • 逆引き:部品のある特徴→部品番号を割り出す

 

検索結果

・検索結果はこんな感じで、下記の “CF6-80C2” の箇所にナットの情報が表示されている。

「検索キーワード」や「部品番号」「サイト」の公開は少し支障があるので、別の機会にでも紹介する予定です。

 

判明したボルトの部品番号

**6*M***02(*T*7**-1*)

※都合により複数の文字や数字は伏せています。

 

材質や新品価格など

・部品番号がわかれば一気に検索を進めて、材質と新品価格まで調べてみます。

材質:AMS-5737

当サイトでも、A-286という合金名でたまに登場します。

 

新品価格

たぶん 5,000円くらい

※材質と価格の2項目は、偶然出てきたという副産物です。

 

【調査終了】1時間の成果がこちら

1時間前

付属のリーフレット情報のみ(機種不明・エンジン型式不明)

1時間後

JAL ガチャポン 「整備のお仕事」<第3弾>
景品名 ⑥ セルフロックナット
(CF6タイプ)
① 機体型式 ボーイング 767-300ER
② エンジン型式 CF6-80C2B7F
③ 取付箇所 ファン・ローター・ディスク
低圧スプール(2~4)接続部
④ 部品番号 **6*M***02
(*T*7**-1*)
⑤ 材質 AMS 5737
(A-286)
⑥ 新品価格 5,000円くらいかもしれない
⑦ 磁性 非磁性体
⑧ サイズ ダブルヘキサゴン
インチ

※表の内容はネット検索レベルの結果です。信頼度はわかりません。あくまで遊びという事をご理解ください。

さいごに:今回は難易度高めだった

・今回の第3弾、難易度がかなり高かったというのが正直な感想。

リーフレットの説明を読んでも、おまけの動画を見ても説明は「ファンブレードとコンプレッサーの部分をつなぐナットとして使用」というこれだけ。

普通、ケースをつなぐ部品なら「ファンケースやコアケース」という言葉が出るはずだが、あえて「ブレード」というキーワードがあったので、直感でファン・ディスクとLPCスプールを繋ぐが浮かんできた。

このスタートが誤っていたなら、ここまでの説明は全て間違いということで笑われるわけだが、とりあえず直感を信じて調査を継続してみた。

7割程度は当たっている自信はあるが、微妙な部分が一か所あるのでこれくらいで十分だろう。

実は途中で紹介しなかったが、締め付けトルクやボルト側の材質まで判明はしていた。しかし、残り3割の失敗に備えて止めた。(ちなみに、ボルト側の材質はインコネル系とだけお伝えしよう)

 

JAL整備のお仕事

それにしても、ナット1個で数時間も遊べるとは思わなかった。

「JAL」というブランドの揺り籠に揺られて、結局 2時間もナットと戯れてしまった。

たかがナット、その辺に落ちているナット、ジャンクイベントならまず買わない、ナット1個を1時間以上も観察するか?、正気じゃない。

ここまで人を惹きつける魅力はやはり、JALの機材として実際に空を飛んだ部品という信頼できる事実が、このような奇異な行動を起こさせたことに間違いない。

 

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