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【B747-200B】高圧1段目 タービンブレード|P&W JT9D-7Q エンジン

・ボーイング 747-200B に搭載されていたP&W JT9D-7Qエンジンは、初期のエンジンと比較して大幅に推力が増強され燃費や信頼性も格段に向上したエンジンだった。

現在でも通用する技術を身に纏って登場した当時最新の-7Qエンジン。その性能の要となった高圧1段目 タービンブレード(HPT1)を紹介します。

 

Northwest 747 Freighters Ted Stevens International AirportFrank K. from Anchorage, Alaska, USA / CC BY

JT9D-7Q 高圧タービンブレード 1段目

BOEING 747-200B

Pratt and Whitney JT9D-7Q

High Pressure Turbine Blade Stg1 (HPT1)

  • エンジン型式:P&W JT9D-7Q
  • ブレード開発年:1990年以降(確認中)
  • 材質:ニッケル基耐熱超合金 MAR-M200+Hf(PWA1422)
  • 結晶構造:一方向性凝固(DS材)
  • 冷却方式:コンベクション+インピンジメント+フィルム
  • 搭載機種:ボーイング B747-200B
  • 備考:現代の大型エンジンでは一般的となっている、ブレード形状・効率の良い翼型・冷却通路・フィルム冷却などの最新技術がふんだんに取り入れられている。後のPW4000シリーズもこの形状の発展型となっており、高圧1段目タービンの基本形ともいえるブレード。
別路線を歩んだJT9D-7Q
JT9D-7A タービン】画像と比較すると、JT9D-7Qのブレード形状はあきらかに違う。同じJT9Dシリーズでなぜ全く違うのか?時代は1970年代までさかのぼる。当時B747-100/-200Bに搭載されていたJT9D-7A(-7AW)では水噴射による推力増大を使用しても航続距離は8,000km程度。大都市間の高需要路線をノンストップで移動するには10,000kmを超える航続性能が必要とされていた。多くのエアラインの要望に答えるため、1979年に推力増強型のJT9D-7Qが誕生。この-7Qエンジンは、水噴射なしで推力を増強(20.9トン→24.0トン)することが可能となった。改良した点は、既存のファンブレードを2.5cm大型化・圧縮機を一段追加し高圧縮化・タービンブレードの材質と形状を変更したことで、燃費性能や整備コストが改善された。その結果、エンジン型式は同じ名称でも内部コアは-7Aタイプとは別の路線を歩むこととなった。

タービンブレードの画像

保証された離陸推力を発生させるために水噴射も併用されていた初期のJT9D-3(-3AW)エンジン。JT9D-7Qでは、水噴射なしで最大推力(24.0t)と4トン以上の推力増強を達成した。

長さ11㎝・重さ195グラムの小さなブレードが推力増強・燃費向上・信頼性の要となった。

 

・離陸時には最高温度 1,350℃に達する燃焼ガスに晒されると同時に、バス2台分ともいわれる遠心力が根元の取り付け部(ファーツリー)にかかる。

 

・-7Qの時点で高圧1段目タービンブレードの全体形状はほぼ完成形に近い物となった。現在でも使用されている(PW4000・PW2000・V2500)など多くのエンジンもベースはこの形状に近い。

もちろん、材質や鋳造時の結晶構造・コーティング技術・フィルム冷却孔などは大幅に進化しているが、数十年先まで使用でき派生型エンジンまで見越して設計されていた。

 

・タービンブレードは冷却しなければ、高温高圧の燃焼ガスによって溶融する場合もある。適切な量と圧力の空冷用圧縮空気を、ブレードの底部から取り込む必要がある。

 

・世界の空からほぼ姿を消しつつあるJT9Dエンジンだが、その設計思想や蓄積された技術はPW4000シリーズ・PW1100Gといった最新エンジンへ受け継がれている。

B747の原動力となったP&W JT9Dエンジン、その基本設計は1970年代まで遡る。

 

 

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