『飛行機は台風の上を飛ぶのか?』そんな疑問を持ったことはありませんか。通常は避ける台風だが、条件さえ合えば飛び越えることも可能だという。
今回は、実際に台風の真上を通過したパイロットの話や、現在でも真上を通過するのかという内容です。
台風の頂上とは
NASA [Public domain], ウィキメディア・コモンズ経由で
・大量の水蒸気が上昇し積乱雲の塊となって反時計回りに渦を巻く台風。中心付近の強烈な上昇気流によって積乱雲は壁のようにそびえ立ち高度1万メートル付近まで上昇します。
大雨や雷・台風といった一般的な天気の変化は、地上0mから高度11,000mの対流圏で起こり、その上の高度11㎞~50㎞の成層圏では気象の擾乱は安定しているといわれています。
この対流圏と成層圏の境目が対流圏界面と呼ばれる領域で、一定の高度ではなく緯度によって6,000m~17,000mまで変化します。
台風の頂上はこの対流圏界面(Tropopause)までとされています。
me, Jannev [Public domain], ウィキメディア・コモンズ経由で
ジェット旅客機は天気の上を飛ぶ
・現代の大型旅客機のほとんどが、高度43,000ft(約12,900m)付近まで上昇し巡航飛行することが可能です。圏界面の上、成層圏を飛行する際は『天気の上を飛ぶ』という表現をするパイロットの方もいます。
対流圏界面は、赤道付近では最高17,000m~高緯度だと6,000mと緯度によって変化することから、飛行する場所によっては台風の真上を通過することも可能となります。
しかし、常識的に考えてそんなことは可能なのか?
実際にB747ジャンボジェットで真上を飛行したパイロットの話があるので紹介します。
B747で飛び越えた機長の話
『機長の700万マイルー翼は語る』田口美貴夫 著者の本の内容にあった、台風の真上という項目を紹介します。
本書にもありますが、台風は基本的には避けて飛ぶのが普通。ただ、予報の相違や状況によっては飛び越えることもあるという。
それができるのは、お客様の人数が非常に少なく、機体がきわめて軽い時に限られる。そういう場合は、かなり高いところまで上がっていけるからだ。四万数千フィートという超高空である。メートル法に換算すれば約一万三千メートル前後。富士山の四倍ぐらいの高さである。ここまで来れば、さすがに台風の影響はほとんどないが、揺れに対する心構えは怠りない。
『機長の700万マイルー翼は語る』から
昔話ではなく今も普通に飛んでいる!
・この話はB747クラシックなど古い時代の話だから可能だったのでは?
今の時代ではそんなことないだろうと思う人も多いと思いますが、意外と普通に台風の真上を通過する旅客機は多いようです。
紹介する動画は、2018年9月4日に日本に上陸した台風21号(チェービー)の真上を通過する航空機の様子を、フライトレーダー24の画面をタイムラプス撮影したものです。
※音楽が流れますので音量にご注意ください。
※ほとんどの航空機が台風を避ける中、一部の航空機はルートを変えることなく台風の真上を通過しています。
まとめ:条件さえ合えば真上を通過できる
・最近の旅客機は燃料を節約するために、可能な時は高高度を飛行します。そのルート上に台風があっても条件さえ合えば避けることなく真上を通過しています。
実際の搭乗中に『現在、当機は台風の真上を通過中です!』という案内がキャプテンからあるかといえば、それはないでしょう。
『機長の700万マイル』でもありましたが、台風の真上を通過してもお客様が不安にならないようあえて案内はしないそうです。
それでも台風の目を一度でいいから見てみたいと思う方は、機内Wifiを利用してフライトレーダー24で飛行中のルートを確認しながら窓の外を眺めていれば予想外に台風の目を撮影できる可能性があります。
機窓から見る雲に興味がある方は機内から眺める雲の種類に興味がある方は、こちらの記事も参考になります。

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