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【ターボファン・エンジンの仕組み】小指よりも小さくなるまで空気を圧縮する|B737-800型機

取り入れた空気を小指より小さく圧縮することでパワーが生み出される

B737-800型機は160席クラスのジェット旅客機として、国内の様々な空港で活躍している。

主翼の下に装備しているCFM56-7Bエンジンは、見かけは小柄だがとてもパワフル。最大離陸重量 約70トンの機体を数十秒で空中へと持ち上げる。

その凄まじい推進力は直径1.5mのファンによって生み出されるが、そのファンを駆動するためには取り入れた空気をギュっと「小指」サイズ以下まで圧縮し、燃料を燃焼させ加熱する必要がある。

 

ターボファン・エンジンの仕組み(CFM56-7B)

Turbofan3 Labelled英語版ウィキペディアのZephyrisさん, CC BY-SA 3.0, ウィキメディア・コモンズ経由で

・ターボファン・エンジンの原理は、空気取り入れ口(①)から入った大量の空気を、ファン(②)によって加速し後方へ排気することで推進力を得ている。

ファン(②)を通過した空気は、エンジン内部 ③~⑧(圧縮・燃焼・タービン駆動・排気)に入る流れと、そのままバイパスして噴出⑨する流れとに分かれます。

この二方向に分かれる流れの比がバイパス比と呼ばれ、B737-800(CFM56-7B)の場合は 5.0(エンジンコアへ2割、燃やさずにそのまま通過するバイパス流が8割)となっている。

全推力の内、ファンが後方へバイパスさせる空気流が8割の推進力を生み出し、残りの2割の空気を圧縮・燃焼させタービンを回すことで最前部の大型ファン(高圧圧縮機も含む)を駆動する。

この2割の少ない空気に大きな仕事をさせるには、取り込んだ空気を最終的に30倍以上まで圧縮、高温高圧となった圧縮空気を燃焼させ加熱することで、膨張するエネルギーを増大させタービンの駆動力として使用。なおも余ったエネルギーは、排気ノズル⑧で速度エネルギーに変換し噴射させ推力として利用している。

バイパス比の式

全吸入空気量=1次空気+2次空気

バイパス比=バイパス空気量(2次空気)/コア空気量(1次空気)

*1次空気:エンジンコアに流入し、圧縮・燃焼に使われる空気
2次空気:燃やさずにそのままファン排気としてエンジン外へ流すもの

例:CFM56-7B24

推力 24,000 lbf、全吸入空気量 354kg/s(ファン排気 297.8kg/s、コア空気量 56.19kg/s)

バイパス比=297.8 / 59.19 =5.29

バイパス比 約5.3

56㎝のファンと3㎝の圧縮機ブレード

・B737-800に搭載されているCFM56-7Bエンジンは、直径1.54mのファンによって空気を取り込む。

737-800:CFM56-7Bエンジン

・ファンは24枚で構成されており、その1枚の長さは56㎝となっている。

737-800:CFM56-7Bエンジン ファンブレード

上述したようにファンを通過した空気は、8割がそのままバイパス流として排気され、残りの2割がエンジン内部(コア)へ入る。

コアへ流れた気流は、ファンと同軸で回転する低圧圧縮機(LPC)で圧縮された後、高圧圧縮機(HPC)に入りさらに圧縮され圧力と温度が上昇する。

 

CFM56-7Bの高圧圧縮機(軸流式 9段タイプ)

B737-800に搭載されている CFM56-7Bの高圧圧縮機は軸流式の9段タイプ

・CFM56-7Bの高圧圧縮機は、軸流式9段タイプが採用されている。

最大出力時の高圧圧縮機は毎分約15,000rpmで回転し、高圧1段目に流入した空気は9段目通過後には大気圧の30倍以上まで圧縮される。

空気が圧縮されると温度が上がるため、ブレードの材質もチタン合金(#1~#3)・ニッケル基耐熱合金(#4~#9)と段の途中で変更している。

また、空気は圧力上昇とともに体積も小さくなる。最前部のファンから取り込まれた空気は、最終的に小指よりも小さなコンプレッサー・ブレードによって圧縮され燃焼室へ入る。

 

エンジン前面のファンブレード 1枚は60㎝だが、燃焼室に入る空気は最終的に小指よりも小さい(全長2.8㎝)のブレードにって圧縮される。

チリも積もれば圧力が上がる

B747-100:JT9D-3 高圧圧縮機(HPC)

・「チリも積もれば圧力が上がる」これは軸流圧縮機が空気を圧縮する際に例えられる言葉。

CFM56-7Bは(ファン1段+低圧3段+高圧9段)合計13段構成の羽根の列によって空気を圧縮している。

1段の高圧圧縮機は、上図のようにブレードを100枚程ディスクに取り付けて1つのリングを構成している。この翼列によって、空気は1段あたり1.3~1.5倍程度圧力上昇する。

1段1段の圧力上昇は小さいが、複数組み合わせることで最終的には高い圧力まで圧縮が可能となる。

737-800型機のCFM56-7Bエンジンは、全体圧力比が32と現在では標準的なタイプとなっている。大型エンジンになると、全体圧力比が45を超えるものも実用化されている。

取り込んだ空気を可能な限り高い圧力まで圧縮することがファンを駆動するパワーとなり、燃費効率の良い静かなエンジンとなる。

最新のエンジンでは、全体圧力比60を目指して開発が進められているタイプもある。

 

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