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飛行機の燃費・エアバス A320が1分間に使う燃料は?なぜエンジンは2タイプあるの?

①:LCCで活躍中のA320という飛行機は、1分間にどれくらいの燃料を使うのか?

②:なぜエアバス A320には、V2500エンジンとCFM56エンジンの両方が使われているのか?

この2つの疑問について、ジェットエンジンの燃費を比較する時に使うSFC(燃料消費率)という数値を使って調べてみました。

その答えからは意外な結果が見えてきました。

 

エアバス A320とは

最近、急激に数を増やしているヨーロッパ製のエアバス A320という飛行機。

座席数は166席から180席の中距離ジェット機で、ボーイング B737と比較されることが多い機体です。

LCC(ローコストキャリア)と呼ばれるジェットスターやピーチといった航空会社の登場で、国内各地の空港で頻繁に見かけるようになりました。

この機体の特徴の一つに、航空各社がエンジンメーカ(CFMインターナショナルとIAE )を選択できるというのがあります。

国内では、ANA・ピーチ・スターフライヤーがCFM56 エンジンを使用。ジェットスターがIAE V2500 エンジンを使用しています。

 

TSFCでエンジンの燃費を比較する

TSFC (lb/hr/lb)という単位は、1ポンドの推力を1時間発生させるのに何ポンドの燃料を使うか表すものです。

※SFC(燃料消費率)と呼ばれる場合もあります。

この数値から何がわかるかというと、離陸時や巡航時の燃料消費量の目安を知ることができるということ。

また、単位変換してエンジンの数を掛けると、その飛行機が1時間当り何リットルの燃料を消費しているのかもわかる便利な数値です。

両エンジンの燃費を比較するTSFCを調べた結果がこちら。

 

メーカー CFMI

(CFMインターナショナル)

IAE

(インターナショナルエアロエンジン)

型式 CFM56-5 V2500-A5
離陸推力 (lbf) 25,000 25,000
TSFC (lb/hr/lb) 0.33 0.35
離陸1分当りの消費量 78 リットル 83 リットル
巡航推力 (lbf) 5,280 5,185
TSFC (lb/hr/lb) 0.596 0.574
巡航1分当りの消費量 30 リットル 28 リットル
搭載機種 A320 A320
国内のエアライン ANA・ピーチ・SFJ ジェットスター

※SFCという数値は、飛行高度や巡航速度など様々な条件で微妙に変化します。

 

この数値だけで見ると興味深い結果が出ました。

・離陸時の燃費 :V2500>CFM56(CFM56が優秀)

 

・巡航時の燃費:CFM56>V2500(V2500が優秀)

・1時間程度の短距離・多頻度運航(離陸・上昇時優先)ならCFM56

・2時間以上の中距離路線(巡航優先)ならV2500

TSFCの数値だけで見ると、国際線のフライト(中距離路線)にはV2500が効率的で、国内線の短距離フライトにはCFM56が向いているという結果でした。

 

エアバス A320の燃費を身近なリットルに変換

普段の生活ではあまり馴染みのないポンド単位、ここでは身近な量でわかるようにリットル単位に変換して表にまとめました。

この表からは、A320という飛行機が1時間・1分間・1秒あたり、これだけの燃料を使うのかと感覚的に知ることができます。

 

A320の燃料消費量(カタログ値)
国内のエアライン ANA・ピーチ・SFJ ジェットスター
エンジン型式 CFM56-5 V2500-A5
エンジン搭載数 2基 2基
離陸時
離陸推力(lb) 推力 25,000 lb 推力 25,000 lb
燃費(1時間) 9,360リットル 9,960リットル
燃費(1分間) 156 リットル 166 リットル
燃費(1秒間) 2.6 リットル 2.8 リットル
巡航飛行時
巡航推力 (lb) 推力 5,280 lb 推力 5,185 lb
燃費(1時間) 3,600 リットル 3,360 リットル
燃費(1分間) 60 リットル 56 リットル
燃費(1秒間) 1 リットル 0.9 リットル
     

※カタログ値なので、飛行重量・巡航高度・速度・天候・機体のコンディションによって数値は変化します。

離陸時は、1秒間に500mlペットボトル5本、巡航中は1秒間に1リットルくらい燃料を使う。

 

エンジンの形の違い

V2500 エンジン

アシアナ A320(V2500)

CFM56 エンジン

ピーチ A320(CFM56)

 

まとめ

エアバス A320は、巡航飛行中 1秒間に1リットルの燃料を燃やして飛行している。

一般的に車と比較されることが多い飛行機の燃費ですが、実際はそこまで悪くありません。

車でよく使われる 1リッターあたり何km走るのかというと、A320型機は約 222メートル飛行できます。(747型機は75~100メートルなので、だいぶ燃費は改善されました。)

大量の燃料を使う見返りとして、満席(180人)の乗客を1時間後には800km先の場所まで輸送が可能。

これが車だと45台必要で、1台あたり燃料を80リットル使うと仮定すれば3,600リットルのガソリンが必要となり、A320の燃費とほとんど変わりません。


もう一つのテーマ、「なぜA320型機にはエンジンが2種類が存在しているのか。」

短距離はCFM56が優れ、2時間以上の中距離はV2500 が燃費効率がいい。だから使い分けているというのが、燃費を比較して見えてきました。

もちろん、ここまでの話はあくまで航空ファンが飛行機を楽しむという内容です。

実際は、導入コスト・メンテナンスコスト・飛行条件・運航条件・高空性能・高高度着火性能・加速性能など様々なパラメーターがあり、どちらのエンジンが優れているのか一長一短で決めることは難しいとされ、エアライン各社はエンジン選択に相当の苦労をすると言われています。

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