航空関係の洋書は、マニアックな図面や写真が多くあって面白い。
航空関係の洋書は様々あり、初心者の方は最初の1冊目にどんな物を選べば良いのか迷うことも多いと思います。
そういう管理人も初心者の頃は、タイトルと表紙画像だけで判断して失敗ばかりでした。
そこで、実際に購入した本の中から、気軽に楽しめてイラストや図面が多いマニアックな洋書を10冊選んでみました。
航空関連の洋書選びで悩んでいる方は参考にしてみてください。
Boeing 777-300(JA8944)
もくじ
はじめに:洋書を読むメリットとは?
わざわざ面倒な英語の本を読む理由・・・
それは国内の書籍に比べて図面や写真などの情報量の差が圧倒的に違うからです。
英語が苦手な場合でも、自分の好きな分野なら専門用語はある程度知っているという基礎体力があるので、全てが理解できなくても意外と内容はわかるものです。
例えば、英語が得意で100%読めるという人でも、航空専門用語のCDU・FMC・Alloy2024なんて書かれていたら理解に苦しむと思います。
さらに極端に言えば、専門用語+数字だけを文中から探して読むだけでも、かなりの情報収集ができます。
①:Boeing 787|開発~初飛行まで(システム概要など)
著者の Guy Norris & Mark Wagnerは、 海外の航空ファンの間ではマニアックな作品を書くことで有名。
B787の開発初期、まだ 7E7 と呼ばれていたころから密着取材し、製造から初飛行まで詳細に解説。また、ボーイングの工場内の写真なども数多く紹介されています。
787のシステム関係やエンジンについても詳しく説明されているのがポイント
- B787開発・設計段階から初飛行まで
- カーボンファイバー・エンジン・電気など新しいシステムも紹介
- 機体の組立てなど工場内の写真が豊富
②:ABC Boeing 777|手軽な入門ペーパーバック
わずか 18X10cm(全95ページ)という小さな本ですが、入門者なら驚愕するほどの内容。
国内の書籍で、ここまでB777についてまとめられた本は見たことがありません。
開発・初飛行・飛行テスト・777のシリーズ解説などの項目は一般的な本と似ていますが、システム関連の”ノーズからテール”という章がこの本のおすすめポイント。
この章では、B777のシステム(FBW・AIMS・油圧・電気・主翼・ランディングギア・エンジンなど)の概略が紹介されています。しかし、これがただの解説ではありません。
胴体や主翼に使われている材質が、アルミ合金 7055-T77、2524-T3なんて一体誰得?というコアな情報など、メカマニアの方にも満足できる一冊だと思います。
薄くて小さな単行本サイズですが、初めて航空関連の洋書を買う場合にはおすすめの一冊。
※出版年の関係で、B777-300ERや-200LRはありません。
- 入門用に最適(内容はかなり深いのに読みやすい)
- これ1冊でB777に関しては隣のマニアよりも詳しくなれるかも
- システム関係が豊富、メカ好きにおすすめ
③:Boeing 747|圧倒的な情報量、メカ好きはこれ!
飛行機のメカ好きなら、このシリーズは結構楽しめます!
この本の面白いところは、普段目にすることができない場所の豊富な写真や、マニュアルから引用されたと思われる詳細な図面など、B747のシステムについて詳しく知りたいという方におすすめ。
コックピットの計器も細かく説明しながら、後半では実際に747-400のフライトの様子をパイロット目線で時系列に紹介したり、747クラシックのフライトエンジニア目線による解説もあります。また、整備士編ではタイヤ交換の作業を写真付き紹介。
- 何を買うか迷ったらとりあえずコレ!
- 豊富なカラー写真と図面は見るだけでも価値あり
- B747のメカ好きなら間違いなし
④:AIRCRAFT SYSTEMS|豊富なマニュアル図面やイラストが満載
航空機のマニュアルから抜粋された図面やイラストを例題に『大型ジェット旅客機のシステム』について解説
航空機の電気や油圧・操縦系統・与圧・APUなど様々なシステムの基礎が学べる参考書です。ほぼ全ページに、詳細なイラストや図面が掲載されている豪華な本は、勉強用だけでなくマニアの向けの資料としても重宝します。
旅客機のシステムについて何でも知りたいという方は、きっと満足できると思います
【解説レビュー】Transport Category Aircraft Systems
- 航空機のシステム図面が好きな方
- 大型ジェット機のシステムについて学びたい
- 安く買うなら第2版がおすすめ
⑤:世界で唯一の超音速旅客機 コンコルド
Haynesマニュアルシリーズには、世界で唯一の超音速旅客機として運航していたコンコルドもラインナップされています。
音速の2倍で飛行するためには、どのような装置が必要なのかを詳しく説明。
通常の民間機にはないアフターバーナーを始め、エンジン吸気口の重要性など、こちらも”747オーナーズマニュアル シリーズ”と同様、油圧・電気・操縦装置・エンジンなど全て細かく解説。
いつもの”目線シリーズ”もちゃんとあります。
パイロットやフライトエンジニア視点で、時系列にフライトの様子を説明しながら何と誌面で音速を超えちゃいます。
- 怪鳥コンコルドの開発・テスト飛行などを貴重な資料で紹介
- 豊富なマニュアル図面とカラー写真
- エンジンスタートの方法まで詳細に教えます
⑥:航空力学|国内とはちょっと違う海外の授業を体験
空力ってなんて楽しいんだ!そんな気分になる本です。
航空力学の授業というと、理論と計算・グラフと睨めっこすることばかり。何とも退屈な授業だったと思っている人も多いはず!管理人もそうでした。
しかし、この解説書を読むと驚きというか軽くショックを受けるかもしれません。スタートから、いきなりF-16戦闘機が登場します。
翼端渦については、F-14の写真で見せますという感じでもうなんでもありの世界。国内の教科書にそんなのはないですよね。
ちなみにウイングレットの説明には NASAの実験用KC-135Aという・・・
- イラストや写真を多用してわかりやすく航空力学を解説
- 例題写真は民間・軍用・オスプレイからトラックまで何でもあり
- 航空入門用なので計算式はほとんど無し
⑦:読書で体験 B787のコックピット オペレーション
最新機 B787のコックピット内で、キャプテンから詳細な説明を受けながらフライトの様子が楽しめる。
この本は、”成田発ーロサンゼルス行き”のパイロットに密着取材。キャプテンの解説を著者が時系列にまとめたものです。
出発準備(燃料プラン)~エンジンスタート~離陸~上昇~巡航~降下~着陸~エンジンストップまで、計器類のカラー写真を使って細かく解説。
- A380のパイロットである著者が専門的に解説
- B787のオペレーションの様子がこれ一冊で楽しめる。
- 降下中に予想外の不具合発生(詳細は本文でお楽しみください)
⑧:ボーイング機の透視図面|モデル40~B777まで
Cutawayとは・・・飛行機の内部が見えるように切り取った透視図面です。
1枚の機体図面に100~200個程度の番号を振り、その部品・名称が何であるかという説明。例えば、45番は油圧ポンプ、134番はフラップ駆動モーター、54番は構造用メインフレームなどという感じです。
登場する機体は、1925年の郵便用複葉機 MODEL40から始まり 707~777までほとんどのボーイング機が網羅されています。
民間機だけでなく、B-29、B-52、V-22オスプレイやKC-135など軍用機好きも楽しめます。
(出版年の関係でB787・MD11・F-15などはありません)
- ボーイング機の透視図面がまとめられた専門書
- 模型や自作ラジコンの製作資料にも最適
- 真剣に見すぎると搭乗する機体が透けて見えるかも…
⑨:ジェットエンジンの基礎を学ぶならコレ!
【航空工学講座 7 タービンエンジン】などで、基礎的な内容を理解して物足りなくなった方におススメの一冊。
原理などの重要な内容は図面だけに1ページ半も使い、概略説明については2~3ページ毎にグラフや図を入れて解説といった感じの内容です。
国内の専門書のように余計なことは載せないという雰囲気は微塵もなく、遊び心のある不要な情報も色々あります。
例えば、燃料ポンプの駆動に80馬力必要だとか、空気取入れ口の説明にSR-71やF-14、F-16を例にしたりと様々。
- イラストや写真が豊富
- 数式は極力使わないように解説
- 遊び心満載で眺めるだけでも楽しい一冊
⑩:ジェットエンジンのマニアックすぎる資料
ジェットエンジンについて、もっとマニアックに知りたい方におすすめ。
ワイドコードファンブレードの拡散接合、タービンブレードの単結晶・・・この言葉で”何っ!”と気になった方はこの本です。
前半は、ジェット推進の原理から構成部品・材料・製造技術など解説。後半は、ジェットエンジンの変遷としてホイットルから始まり、民間用・軍用・VTOL・ターボプロップなど幅広く紹介。
この本は、全体的に概略説明というコンセプトです。しかし、内容はこれまでの次元を超える面白さがあります。
【レビュー解説】Jet and Turbine aero engine
- とにかくジェットエンジンが大好き!
- エンジンの変遷、構成部品について知りたい。
- PW4000、GE90、F100の断面図など豊富な資料が満載。
さいごに
図面やイラストが多く、気軽に読める航空関係の洋書を10冊まとめて紹介しました。
何か気になる本は見つかりましたか?最初は敬遠しがちな洋書ですが、一冊買ってその魅力にはまると買うのが止まらなくなるという変な魔力があります。
国内の本とは情報量が違こともまた魅力の一つです。