ジェットエンジンの創成期から現代まで、多彩なエンジンが『いつ・どのような経緯で開発・どんな機体に搭載・技術的特徴・性能』についてコンパクトにまとめられた歴史書です。
民間ジェット機から戦闘機、ヘリコプター、ターボプロップまで、世界で開発された様々なエンジンの解説が魅力です。
航空資料館
【本書の内容】
第1章:ジェットエンジンの基本原理と分類
・航空エンジンの種類や作動原理、ガスタービンエンジンの分類について解説。
第2章:世界各国におけるジェットエンジンの出現
・世界各国におけるジェットエンジンの創成期や背景について紹介。日本初のジェットエンジン・ネ20については特に詳しく解説されている。
第3章:第二次世界大戦以降のジェットエンジンの急速な発達
・第二次世界大戦以降に開発された戦闘機エンジン(J47・J57・J79)の解説。民間機初となるジェット機 コメットの紹介。大型ターボプロップやターボシャフトエンジンについて。
第4章:ターボファンエンジンの出現(低バイパス比)
・ターボファンエンジンについての概要。創成期におけるターボファンエンジンの種類など。
第5章:高バイパス比ターボファンエンジンの出現
・超大型輸送機 C-5 ギャラクシーに搭載されたTF39、747 ジャンボジェット機を成功へ導いたJT9D、トライスターで実用化されたロールスロイスの3軸式 ターボファンエンジン RB211について解説。
第6章:戦闘機もターボファン化
・空中戦では、超音速による高速性能よりも亜音速域での機動性が重視される現代の戦闘機。アフターバーナー付き低バイパスターボファンの概要。
解説エンジンは、TF-30・F100・F110・F404他、RR アドーアやRB199、スネクマM53など。
第7章:新分野への挑戦
・垂直離着陸機(VTOL)用ペガサスエンジン、マッハ3への挑戦(J58)、超音速旅客機コンコルド(オリンパス593)、XB-70(J93エンジン)、バルカン XH558の復活など。
第8章:第4世代エンジンへの発展
・低燃費、環境に優しい高出力の民間機用ターボファンエンジンについての概要。
- GE:CF6-80C2
- P&W:PW4000
- CFMI:CFM56
- IAE:V2500
- GE:GE90/GEnx
- RR:Trentシリーズ(500~XWBまで)
- エンジンアライアンス:GP7200
- GE:CF34
・先進的な軍用機エンジンの概要。
- F404/RM12
- F414
- F119
- F135
- F136
- M88
- EJ200
- TP400-D6
- オスプレイ用エンジン AE1107-1
- F3-IHI-30
についての概要
第9章:環境に優しいエンジンを目指して
・飛行機の音、飛行機の煙について。環境破壊の心配。
第10章:環境に強く、信頼性の高いエンジン
・設計開発の進歩、エンジン内の二次空気についての概要。バードストライクや火山灰、昨今問題となっているエンジン内の部品破壊について。
第11章:将来動向
・より低燃費への傾向が強まるエンジン。これからのエンジンは改良か新規開発かについて。ギアードターボファンについての概要、オープンローター、カウンターローテンションなどについて触れる。
【どんな人におすすめ?】
・ジェットエンジンはどのような経緯で開発されたのか、創成期~現代の低燃費・高出力エンジンまで体系的に歴史を知りたい方におすすめ。
コンパクトな本の中に、各種エンジンがカタログのように凝縮された素晴らしい本です。
エンジンの仕組みや原理、構成部品(ファンブレードやタービンブレード)についてはページ都合上、あまり扱われていません。
技術的な知識も必要という方、下記の本も併せて揃えることをおススメします。
特におススメの1冊
・技術的解説・仕組み・構成部品、歴史など(民間機~軍用機まで)全てがまとめられているパーフェクトな一冊です。
ジェット&ガスタービンエンジン その技術と変遷(飛行機の本 #60)構成部品が知りたいメカマニア向け
・ファンブレードやタービンブレードがどのような形状なのか?RRから発行されたこの本は、カラー図解で詳細な研究がじっくりできる。
The Jet Engine:ザ・ジェットエンジン(飛行機の本 #61)最新技術や原理などを詳しく知りたい
・エンジン内部で起きている現象や作動原理、タービンブレードの材質やコーティングなどの最新技術について少し触れてみたいという方におすすめ。
ジェットエンジンの仕組み:吉中 司 著【飛行機の本 #13】
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