【飛行機のエアコンはフロンガス不要なぜ?】

【飛行機の本 #60】ジェット&ガスタービンエンジン その技術と変遷

誰にでもある『人には教えたくない良書』は航空本にも存在する。航空ファンがこれを手にすれば、ジェットエンジンの知識についてはほぼ無敵状態になるだろう。

1997年発行の本書だが【令和元年】その存在を知らなかった人にとっては目から鱗が落ちるかもしれない。

今でも現役のPW4000、V2500、CF6シリーズにF100など有名なジェットエンジンについての技術知識や断面図などが豊富に散りばめられている。このような良書が22年前に既に発行され一部の航空ファンの間で人気絶版だった。

機会を逃せば非常に入手困難で値が上がる本だが、最近なぜか中古市場で出回るようになり価格も定価以下で買えるようなので紹介することにしました。

ジェットエンジンが三度の飯より好きな方”は読む価値必見の内容です。

60冊目の本は、著者:ビル・ガンストン 氏(訳:高井 岩男 氏)の【ジェット&ガスタービン・エンジン その技術と変遷】を紹介します。

ジェット ガスタービンエンジン その技術と変遷

本の内容は?

・この本は全315ページの内、第1部(ジェットエンジンの技術解説)、第2部(ジェットエンジンの歴史)について分けて構成されています。

第1部(技術解説)では、基本サイクルから始まり、ファン、圧縮機、燃焼室、タービン、アフターバーナー、材料(単結晶タービン、空冷方法)、制御(始動、燃料制御)などについて極力数値を使わず図面などを多用してわかりやすく詳細に解説している。

航空ファンなら誰もが知っている民間・軍用エンジンを題材にして、これらの技術的解説をしているのが魅力。特に補足情報(写真)が全く補足ではないのが面白い。ファンブレードの大きさを比較するために、B777用のPW4084エンジン、A330のPW4168、B747のPW4000のブレードをおじさんが持っている写真など好きな人は楽しめると思います。

様々なエンジンメンテナンスマニュアルから抜粋されたと思われる図面は、国内の書籍では見たことがないほどの量です。

・第2部では、エンジンの歴史的変遷というストーリーで、様々なエンジンが取り上げられ、これだけで一つの資料となるよう完結されています。

ジェットエンジンのパイオニアとして、ホイットルから第2次世界大戦、ラムジェット・原子力エンジン・1960年代のエンジン、ハリアーなどVTOLエンジン、軍用エンジン・民間エンジン、ターボプロップ及びプロップファン、ターボシャフトについて各章ごとに詳しくまとめられている。

開発された経緯、エンジン性能、派生型に関する内容に加え、そのエンジンの推力やファン直径など必要な情報がうまくリンクされています。

ここでも補足の雑学が全く補足になっていない。一例をあげると、エンジンの抽気によってハリアーの姿勢制御をするRCVについての補足『姿勢制御のため抽気した空気を翼端のノズルから噴出するが、その噴出ガスの力は150馬力を超え、噴出方向にいる人間を殺すほどである。』

1冊丸ごとこのような情報や図面・写真が散りばめられていて飽きがこない。

 

本の目次

  1. 原理:ロケットは真空中でも作動する?
  2. コンプレッサー:遠心圧縮機・軸流圧縮機
  3. 燃焼室:構成要素 / GE90とV2500の場合
  4. タービン:役割・性能改善の歩み
  5. ジェットパイプ:アフターバーナー、騒音、推力の方向制御
  6. プロペラとファン:変遷・究極的なものを求めて
  7. エンジンシステム:潤滑油、燃料、制御、ギアボックス
  8. 構造:製造プロセス、ファン・タービンブレード、燃焼室
  9. 装着:遷音速機、超音速機、ステルス機、ターボプロップ
  10. パイオニア:ホイットル、フォンオハイン、ハインケル
  11. 第2次世界大戦:開戦前後のイギリス、ドイツ、ソ連、アメリカ
  12. ロケット及びラムジェット:ラムジェット、パルスジェット
  13. 第2次大戦後から1960年代:水素・原子力エンジン、JT3~JT9の幕開け
  14. パワーリフト:VTOL、STOL、ハリアーエンジン
  15. 軍用エンジン:F100、F101、F404、F110、F118、F119、欧州
  16. 民間エンジン:JT8、CFM56 、V2500、オリンパス593、小型機用
  17. ターボプロップおよびプロップファン
  18. ヘリコプター:各種ターボシャフト、ロシアの大型エンジン

どんな人におすすめ?

民間機エンジン(GE90、CF6、JT9、PW4000、V2500、RB211、CFM56)、軍用機エンジン(F100、F110 、RB199、EJ200、D30)、ヘリコプター用エンジンなどについて、どんな情報でもいいので知りたい人、探している人

この本の魅力は何といっても身近なエンジンを題材にしているのがポイント!

普段、利用する旅客機のエンジン、豪快なパワーで機動飛行する戦闘機、垂直離着陸機などを題材にすることで、わかりやすく役に立つ資料としてまとめらている。

始めからじっくり読む熟読もよし、資料として辞書的に利用することもできる、本全体が全ての章で内容がうまくリンクしている。

日本語翻訳についてもこれ以上ない素晴らしい訳で読みやすい。

 

・ある協会のジェットエンジンの『真っ黒い本』といえば想像がつくかと思うが、豊富な写真を多用した素晴らしい専門書だけにおかしな翻訳が少しだけ台無しにしている。技術的な事項を理解する前に、日本語で何をいっているのか解読する必要があるという有名な本。(内容が素晴らしいので私の中の第2位ではあるが…)笑

話を戻すと『ジェット&ガスタービン・エンジン』翻訳本はとにかく素晴らしい良書であるが、一つ気になるのが1997年以降内容が改定されず続編が出ないこと。

原書『THE DEVELOPMENT OF JET AND TURBINE AERO ENGINES:BILL GUNSTONE』は、何度が改定され2008年の4版が最新。

この翻訳本は、1995年 第1版の翻訳本となっている。

違いについては、第1部の技術的解説は特に変わっていない、第2部の歴史的変遷に下記のエンジンが追加されている。(主なエンジンのみ抜粋)

  • CFM56-7Bシリーズ(B737用)
  • GP7200シリーズ(A380用)
  • F119
  • Trent 500、700
  • GE90-115B
  • CF34-10
  • F135・F120
  • GEnx
  • RR Trent 1000
  • HF118

これらのエンジンの概要、技術的特長、各種数値などが紹介されている。

もし、原書が気になるという方は下記の記事も参考になります。

 

言葉が気に入った!

ビル・ガンストン氏の著書は、335冊に及ぶ。その一部はあまりにも細部に至っているため発行禁止、原稿没収となったものもある。

おすすめ度?

ヒコぐま

飛行機ファンなら持っていて絶対に損をしない一冊!22年前から読んでいる中の人は、この本の存在を公開するか悩んだらしいよ(笑)

 

この本の評価
読みやすさ(初心者向き)
(5.0)
メカ的な面白さ
(5.0)
写真・図面の豊富さ
(5.0)
値段
(3.0)
入手性
(2.0)
総合評価
(5.0)

 

1+

4 COMMENTS

777-200LR好き

前から気になっていたので情報提供ありがとうございます。注文したので届くのが待ち遠しいです。

6+
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カネコ

将来、航空整備士を目指している者です。良書ということで少し高かったのですが思いきって買いました。説明の通り簡潔で分かりやすい表現に身近なエンジン例で解説と、教科書よりも読んでいて知識が身に付きました。機械構造だけでなく歴史も学べたのが良かった。This book is special of jet engines.Recommend for all users.

2+
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Shirsish1997

amaは高いのだけ売れ残っていたので、オクで購入しました。内容はこの記事の通りです。私はまだ学生です、これが教科書なら良かったと思うほど。ただ情報は少し古くなってますね。管理人さんが言うように英語版を読めばいいだけですが、希少本なのか中古で3万円以上とかありえない価格上昇で諦めました。

1+
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ゴン茶

運営さんのおすすめエンジン本ランキングを作ってください。勉強用ではなく趣味向けで。

0
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