ボーイング767は離陸時、1秒間に5.4リットルの燃料を燃やして空中へと上がります。※1,2
・飛行機の燃費といえば、一般的に「1時間に何トン」という単位がよく使われていますが、正直あまり凄さがよくわかりません。
そこで今回は、イメージしやすい「500㎖ ペットボトル」で表現。
1秒間にどれくらいの燃料を燃やしているのか紹介します。
1秒間に5.4リットル(500㎖ ペットボトル約11本分)の燃料を連続的に燃やして大空へと飛び立つ 767型機※3
もくじ
飛行フェーズによって大きく変わる燃費
飛行機はどれくらいの燃料を使って飛んでいるのか?
国内線でお馴染みのBOEING 767-300(エンジン:CF6-80C2搭載機)の参考資料をもとに身近な数値に変換。
【離陸時】B767-300の燃費
・B767-300(エンジン:CF6-80C2搭載機)は、離陸時に最大52,500 lbf(26,300 kgf)という凄まじい推力を発生する。
その時、エンジン内の燃焼室では1秒間に 2.7リットルの燃料が連続的に噴射されている。※1,2
両エンジン(2基)を合計すると1秒間に5.4リットルという量になる。
(離陸フェーズが終了する約1分間の間に、合計 324リットルの燃料が消費される。)
空中へ飛び立つためには大量の燃料が必要。その量は1秒間に5.4リットル、60秒後には324リットルも消費する。 ※1,2,3
【巡航中】B767-300の燃費
飛行機にとって本来の性能を発揮する巡航状態。
上空 10,000mを時速 800㎞で滑るように飛行する巡航は、飛行フェーズの中でも最も長い時間を占めることから、この状態で燃費が最大になるよう設計されている。
その時に消費する燃料は、エンジン1基に対して1秒間に0.85リットル。※1,2
両エンジン(2基)を合計すると1秒間に1.7リットルという量になる
(わずかな量にも感じられるが、1時間後には 6,120リットルにもなる)
静かに機に追従するエンジン。乗客が機内でくつろぐ間も1秒間に1.7リットルの燃料を消費。1時間後には6,120リットルにもなる。※1,2,3
【地上走行中】B767-300の燃費
・滑走路までの移動や、着陸後にスポットまで走行するフェーズでは、エンジンはアイドリングと呼ばれる最低限の回転数で運転している。
その間、エンジンは地上走行に必要な推力だけでなく、機内の電力・空調・油圧も同時に供給している。
アイドリング時に消費する燃料は、エンジン1基に対して1秒間に0.13リットル。※1
両エンジン(2基)を合計すると1秒間に0.26リットルという量になる
(少ないようにも感じられるが、20分間地上でウロウロするだけで 312リットルにもなる)
アイドリングでも1秒間に0.26リットルの燃料を消費する。少ないようにも感じるが10分間では156リットルにもなる。※1,2,3
燃費といえばいつも車と飛行機の対決だが…
・ジェット機は燃料を大量に使う印象が強い乗り物ですが、自動車と比較するとそこまで悪い移動方法ではありません。
巡航中の飛行機(中型ジェット機)は1時間あたり約 6,120リットルという大量の燃料を消費しますが、その対価として乗客 270名を距離にして 800㎞も移動させます。
もしも、この旅客機と同じ270名を乗用車で800㎞の距離を移動させようとするとどうなるでしょうか。
68台の乗用車と10時間の連続走行が必要
それでも、1時間に6,120リットルの燃料を消費する旅客機は環境にも悪いように感じますが、乗客の人数で割ると意外な数値が見えてきます。
6,120リットルを乗客270名で割ると、一人当たり約 23リットル。
たったこれだけの燃料で1時間後には800㎞先まで移動でき、車で10時間のところを1/10の1時間に短縮する。
1980年代に初飛行した中型機 767でこの性能。現代の旅客機はさらに燃費は改善され一人当たりの消費量も減少しています。
BOEING 767-300 スペック
BOEING 767シリーズ 主要スペック |
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型式 | 767-300 | 767-300ER | 767-300BCF |
全長 | 54.9 m | 54.9 m | 54.9 m |
全幅 | 47.6 m | 47.6 m | 47.6 m |
全高 | 15.9 m | 15.9 m | 15.9 m |
最大離陸重量 | 131.0 t | 184.6 t | 147.8 t |
巡航速度 | 880 km/h | 880 km/h | 880 km/h |
航続距離 | 3,370 km | 10,500 km | 5,700 km |
搭載エンジン | CF6-80C2B2F | CF6-80C2B6F | CF6-80C2B6F |
エンジン推力 | 23,500 kg X 2 | 27,900 kg X 2 | 27,900 kg X 2 |
エンジン概要 | |
型式 | GE CF6-80C2 シリーズ |
最大推力 | 57,160 lbf ~ 60,030 lbf |
ファン直径 | 2.36 m |
ファンブレード長 | 0.78 m |
ブレード枚数 | 38枚 |
ブレード材質 | チタン合金(Ti-6Al-4V) |
バイパス比 | 5.0-5.3 |
全圧力比 | 29.2ー31.3 |
燃料消費率 TSFC | 0.319~0.329 (lb/hr/lbf) ※1 |
搭載機種 | Boeing 747-400、767、MD-11、A300、C-2 |
※1 燃料消費量は、飛行重量・飛行高度・巡航速度・天候など様々な条件で変化します。
※2 消費燃料は国際標準大気時の運転状態 (N1:101.2% Thrust:52,400 lbf TSFC:0.329)に基づき算出された値を1秒間に使用する燃料の量に変換しています。当然ですが、実際の運航とは誤差が発生します。
※3 画像や説明は特定の航空会社を指すものではありません。
記事の内容はイメージしやすい表現方法を使用している関係上、実運航時(満席・空席・近距離・長距離・天候・飛行高度等)の数値とはかけ離れている場合があります。趣味の範囲での参考値としてご利用ください。