・航空ジャンク界の王者といえばコックピット関連部品。このジャンクは奪い合い弱肉強食の世界。必要な予算も王者級。
セスナから大型旅客機まで実に様々な計器・スイッチパネルが販売されている。今回の記事では、その一部について紹介します。
もくじ
セスナからジェット機まで
・コックピット関連部品だけでもジャンルが分かれます。セスナやヘリコプターの計器収集をメインとする人、ジェット旅客機を専門に集める人、オブジェが目的なので機種は問わずという人まで様々。
実際の航空ジャンク市ではこのような物が販売されています。
航空ジャンク市準備中です。3月10日(土)10:00~17:00、3月11日(日)10:00~16:00 是非ご来館ください。 #航空ジャンク市 #航空科学博物館 pic.twitter.com/eQXKATVgj2
— 航空科学博物館 (@aeromuseum3416) March 8, 2018
機種は色でも識別する
・高い金額で購入するからには、機種不明のジャンク計器が一体どのような飛行機に搭載されていたのか気になるものです。
実は、計器のカバーなど塗装されている色で、ある程度機種を絞ることができます。
例えば、ボーイング系の旅客機でも B737とB777はコックピットの色が全く異なります。これと同じようにエアバスや他の機種も同様に特徴があるので、注意深く【コックピットのカラー】を観察するとすぐに見分けることが可能です。
・Boeing777のコックピット
・Boeing737のコックピット
Photographer: Nick Bartolotta (en:User:NickBartolotta) [CC BY-SA 3.0 (http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/)]
・判別が難しい【黒色】の計器
絶対ではありませんが、黒の計器は『セスナ機かヘリコプター』というのがこれまでのジャンク市での定番です。例外的に、YS-11やDHC-6(ツインオッター)などのターボプロップ機の黒色計器もあります。
ブルー系のパネルとなっているYS-11 コックピットですが計器自体は黒色が基本色
黒色計器は数値の最大値に注目する
・黒色の計器がセスナかターボプロップ機なのか見分ける方法。それは、数値の最大値に注目することです。
速度計を例にすると、大型ジェット旅客機は最大450 kt(ノット)、それに対してレシプロ・プロペラ機は最大180 ktと数値が極端に違います。
また、昇降計(VSI)の場合も、ジェット機だと最大6,000ft/min、レシプロ・プロペラ機は最大 2,000ft/minなど数値に差があります。
Boeing 767の昇降計(VSI)最大値は毎分6,000ft/minとなっている
シンプルな計器・複合計器
・ジェット旅客機に使われている計器の多くは、1つの計器に複数の機能がまとめられているのがポイント。
例えば、RMI(ラジオ磁気指示計)という航法計器には、
・磁気方位を示すコンパスカード
・2つのVOR局の磁方位を示す指針
・2つのDME局までの距離を示す表示
・機能異常時のフラグ
これらの機能が1つの計器にまとめられています。
Boeing 747クラシックのRMI
姿勢指示計や他の計器に関しても、いくつかの機能が複合されていたり、モード表示・警告表示がまとめられているのが旅客機の特徴です。
一方、セスナ機やヘリコプターなどはシンプルな構成となっているのが見分ける際のポイントです。
見分けやすい物から買ってみる
Photographer: Reddy & Garcia, Public domain, via Wikimedia Commons
・初めてコックピット関連品を購入する場合は、誰が見ても飛行機らしいと思う代表的な計器やスイッチパネルを購入するという方法もあります。
旅客機の場合は特有の省略文字がある
B767-300:データロードセレクタースイッチ
・例えば、画像のようなデータロード・セレクターというスイッチパネルの表示を見ると、【ACARS(エーカーズ)・FMC(フライト・マネージメント・システム)・ACMS(エアクラフト・メンテナンス・システム)】などの旅客機特有の文字が記載されている場合があります。
エンジン回転計
・エンジンの回転数を示す計器も見分けが簡単なので、最初に購入する計器の一つにおすすめです。
例えば、レシプロ・プロペラ機とタービン旅客機の違いはこちら
- 回転数の単位がRPMとなっている
- 最大回転数が2000~2500rpm
- 計器本体が大きめ
- 回転数の単位がパーセント(%)表示
- N1(ファン)やN2(コア)の文字が記載されている
- 計器本体は小さい(エンジンが複数のため)
※この説明は、ジャンク品購入時だけの見分け方です。
旅客機の特殊な機器(CDU、INS入力パネル)
・大型旅客機のスイッチパネルは数少ない希少なアイテムなので、予算の範囲内であればおすすめの航空ジャンク品です。
最近の販売傾向としては、B747クラシックのINS(航法慣性装置)入力装置、PMS(パフォーマンス・マネジメント・システム)入力装置などが販売されています。
また、滅多にない激レアアイテムとして、B737に搭載されていたCDU(コントロール・ディスプレイ・ユニット)の販売もありました。
まとめ:ジェット機/レシプロ・プロペラ機
・航空ジャンク市では、ジェット機とレシプロ・プロペラ機の部品が混在して販売されています。
どのような計器やスイッチパネルを購入するのか、会場へ行く前にある程度決めておくことがポイント。
【6】旅客機の客室窓