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【B767-300ER】PW4000-94シリーズ ファンブレード(B747-400 共通エンジン)

PW4000 ファンブレード

・ボーイング B767-300ERに搭載されていた PW4000-94シリーズ(B747-400 共通エンジン) のファンブレードについて紹介します。

 

航空資料館

PW4000-94シリーズは、B747-400・B767・MD-11・A300-600R・KC-46A・ドリームリフターなど多彩な機種に搭載されており、-94シリーズのファンブレードは共通仕様となっています。

 

PW4000系列のエンジンは、ファン径(推力の大きさ)によって3タイプあります。

  • B747-400/B767 その他:PW4000-94シリーズ
  • A330用:PW4000-100シリーズ
  • B777用:PW4000-112シリーズ

PW4000-94(PW4060)エンジンについて

B767-300ER

Pratt & Whitney PW4060 Engine

FAN BLADE

PW4000-94‗ファンブレード

エンジン概要
型式 P&W PW4000-94 シリーズ
最大推力 50,000~62,000 lbf
(モデルによって異なる)
・B747-400(PW4056):56,000 lbf

・B767-300(PW4060):60,000 lbf
・KC-46A(PW4062):62,000 lbf
ファン直径 94インチ(2.39 m)
ファンブレード長  0.78 m
ブレード枚数 38枚
ブレード材質 チタン合金(Ti-6Al-4V)
ソリッドタイプ
バイパス比 4.8-5.1
全体圧力比 27.5ー32.3
搭載機種 Boeing 747-400、B767、MD-11、A300-600R、KC-46A

Delta B747-400(N661US) (4197510306)Kentaro Iemoto from Tokyo, Japan, CC BY-SA 2.0, ウィキメディア・コモンズ経由で

PW4000-94シリーズは1984年4月に試験運転に成功。このエンジンは、当時B747クラシックに搭載されていたP&W JT9D(JT9D-7R4)の後継機・換装用として1989年の運用開始を目標に開発が進められた。

 

この新世代ターボファン・エンジンは、JT9Dと比較して部品数を50%削減、寿命と信頼性の向上、燃費改善、整備や修理などあらゆる工程をJT9Dと共通化、環境性能や経済性・騒音など21世紀の新時代に対応したエンジンとして設計された。

 

技術面については、ファンブレードの再設計による空力の最適化、コア部(高圧圧縮機)の回転数をJT9Dより25%増速することで全体圧力比を10%増加、燃費や整備コストの要となる高圧タービンに3次元翼型を適用し、当時最新の単結晶材(第一世代 単結晶材 PWA1480)を採用するなど数多くの新技術が投入された。

 

極めて高性能なエンジンコアは、少しの改造で様々な推力に対応可能。ファンの大きさを変えることで、B747-400・B767・B777・MD-11・A330・A300-600Rなど多彩な機種に搭載できる。

 

-94シリーズの派生型として、ファンサイズを大型化したA330用の-100シリーズ、中空ワイドコードファンを採用したB777用の-112シリーズがラインナップされている。

 

PW4000は3タイプある

PW4000シリーズは(50,000 lbf~90,000 lbf)と幅広い推力に対応している。その心臓部となるコア(-94と-100シリーズ)は、整備や修理方法・製造に関して従来型のJT9D-7R4と可能な限り共通化が図られている。

 

しかし、B777用の-112シリーズ(PW4074・PW4077・PW4084・PW4090)に関しては、ファン(中空ワイドコード)高圧タービン(第二世代 単結晶材 PWA1484)圧縮機、低圧タービンの段数追加など、全く別物のエンジンといってもよいほど大きな改良が加えられている。

 

PW4000シリーズ最大の推力を発生するB777-300用のPW4090エンジン(PW4000-112)

ファンブレードの画像

ファンブレードは形状変更や空力の最適化が施され、初期のJT9Dは46枚、最終型のJT9D-7R4は40枚、PW4000-94/-100は38枚となっている。

ブレードの振動防止に必要なスナバ―も空気抵抗となる。初期のJT9Dでは厚翼タイプだったが、PW4000-94/-100では超音速型の鋭く薄型のスナバ―が採用された。

ブレード枚数を削減するために、スナバ―より上部(全体の1/3)をワイドコード化

空力設計の最適化が行われたファンブレードは、これまでにないほど強い曲線を描く捻じれた形状となっている

重量 5.6㎏のファンブレード。離陸時には50トン以上の遠心力が根元に作用する。その荷重に耐えるために大きく太いダブテールが採用されている。

ブレード後方から:根元付近の翼幅は狭く、先端付近では幅広のワイドコードとなっている

PW4000ファンブレード

ファンブレードのサイズと重量

・ファンブレードのサイズは下記のとおりです。

エンジン型式 Pratt & Whitney
PW4000-94 (PW4060)
ブレードタイプ スナバー付き・ファンブレード
材質 チタン合金(Ti-6Al-4V)
全長 780 mm
全幅 240 mm
重量 5,600 g (5.6 ㎏)

※若干の測定誤差があります。

JT9DとPW4000の比較

・BOEING 747-100に搭載されていた『P&W JT9D-7A』、B747-400・B767-300ERの『PW4000-94』を比較。

 

B747-100:JT9D-7A ファンブレード(1970年代)

PW4000-94‗ファンブレードPW4000-94シリーズ ファンブレード(1989年以降~)

エンジン シリーズ JT9Dシリーズ PW4000-94 シリーズ
エンジン型式 JT9D-7A PW4000
最大推力 47,800 lbf (21.7 t) 60,000 lbf (27.2t)
ファン回転数(100% N1) 3,750 rpm 4,012 rpm
コア回転数(100% N2) 8,000 rpm 10,450 rpm
ファン直径 2.34 m 2.33 m
ファンブレード枚数 46枚 38枚
ブレードタイプ スナバー付き・ファンブレード スナバー付き・ファンブレード
材質 チタン合金(Ti-6Al-4V) チタン合金(Ti-6Al-4V)
ファンブレード単体のサイズ・重量
全長 760 mm 780 mm
全幅 200 mm 240 mm
重量(ブレード1枚) 3,600 g 5,600 g
搭載機種 B747-100 B767-300ER

※若干の測定誤差があります。

鹿児島空港 SORA STAGE(ソラ ステージ)

・鹿児島空港にある航空展示室『SORA STAGE(ソラ ステージ)』には、JAL B747-300で使用された P&W JT9Dシリーズ最終型(JT9D-7R4G2)エンジンのファンブレードが展示されています。

直径 約2.37mの巨大な展示物は圧巻です。また、1枚単体での展示もあります。

JT9D-7R4シリーズのファンブレードは全部で40枚。PW4000-94シリーズは38枚となっています。

鹿児島空港 ソラステージ:B747-300 JT9D-7R4G2エンジンのファンブレード

PW4000-94の前バージョンとなるJT9Dシリーズ最終型(JT9D-7R4)のファンブレード。全体的に直線的な面影が若干残っている。

B747-300:JT9D-7R4G2 ファンブレード ハートスパン・シュラウド

 

PW4000-94シリーズ スペックと概要|B747-400・767、A300、MD-11

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4 COMMENTS

匿名

777の就役が95年からだそうですが、ファンブレードが破断したエンジンの稼働時間を知りたいですね
16年の大韓航空
20年のJAL
21年のユナイテッド
全てエンジン内の金属部品の破損です

1+
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マニアな航空資料館

JTSBの重大インシデント情報によると、JALのJA8978に関しては(破断した左側エンジンのファンブレードの総使用時間は、43,060時間、総飛行回数は、33,518回)とあります。
1日4~6フライトの稼働と考えると、相当な年数が経過しているようにも思いますが私には何とも言えません。
他のエアラインは調査中です。

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