ロッキード L-1011 「トライスター」に搭載されていた、RR RB211-22Bのファンブレードを紹介します。
過去にはANAの機材としても導入されていた3発ジェット旅客機。
3つのエンジンをオリオン座に見立てたその姿は、どの角度から見ても美しく多くの航空ファンを魅了した。
Spaceaero2, CC BY-SA 3.0, ウィキメディア・コモンズ経由で
RR RB211-22B エンジンについて
Lockheed L-1011 TriStar
Rolls Royce
RB211-22B
FAN BLADE
エンジン概要 | |
型式 | Rolls Royce RB211-22B |
最大推力 | 42,000 lbf (19,068 kgf) |
ファン形式 | スナバ―付 ファンブレード |
ファン直径 | 2.15 m(84.8 in) |
ファンブレード長 | 0.797 m |
アスペクト比 | 3.5:1 |
ブレード枚数 | 33枚 |
ブレード材質 | チタン合金 |
構造 | 鍛造 ソリッドタイプ |
バイパス比 | 4.89 |
全体圧力比 | 25 |
搭載機種 | Lockheed L-1011-1/-100 |
・1960年代、RRは世界初のターボファンとなった「コンウェイ」を大幅に改良した高バイパス比ターボファンの研究を行い、その実証エンジンとしてRB178-16(推力27,000 lbf級・BPR 2.3)の試験運転に成功した。
しかし、-16は低バイパス比であり将来的に高バイパス化が予想されたことから、幅広い推力に容易に変更可能・効率が良い・軽量という特徴を兼ね備えた3軸方式が検討された。これが、現代のTrent 1000やXWBにも採用されている3軸式の原点だといわれている。
このような研究の中で誕生した3軸式・高バイパス・ターボファン(RB178・RB207)を使って、ロッキードL-1011に搭載可能なRB211-06の開発がスタートし、1968年には試験運転が行われた。
しかし、目標値に達しない推力不足に加え、RB211-06の大きな特徴でもあった複合材製「ハイフィル」のファンブレードが異物突入の試験にパスできなかった。
複合材製のファンを使う大きなメリットは軽量化だった。もし成功していれば、他社の同推力エンジンのファン部より30%も軽く、エンジン全体では10%以上も軽いはずだった。
結局、ハイフィルは中止となりライバル社と同じチタン合金による鍛造ブレードがRB211-22に装備された。トライスターに装備された-22Bは、当時「最も静かで」「軽量で燃費が良く」「推力重量比が高い」エンジンとされていた。
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重くて巨大なファンブレード
・RB211-22Bのファンブレードは長さ79.7㎝・重さ7.4kgとなっており、JT9D(76㎝・重さ 3.6kg)やCF6-50(72㎝・重さ 4.2kg)と比べてもかなり重い。
その重いという欠点は、ブレードを保持するファン・ディスクにも遠心荷重として作用する。
離陸回転時(3,900 rpm)、その強大な遠心力はブレード1枚あたり60トンにも達するといわれており、ファンディスクはブレード33枚分の荷重に耐える頑丈さが必要。
欠点となるほど巨大で重い-22Bのファンだが、それは将来の推力増大を予測して設計されていた。
長距離型のL-1011(-200~-500)や、B747クラシックには50,000 lbf級の推力が必要とされたが、ファン径をほとんど変えることなく(僅か1インチ)、10,000 lbfの推力増大を短期間で達成。RB211-524シリーズとしてラインナップされた。
【航空ジャンク市の部品】あなたのファンブレードはRB211-22Bそれとも-524
RB211-22B ファンブレードの画像
ファンブレードのサイズ
・ファンブレードのサイズは下記のとおりです。
エンジン型式 | RB211-22B |
ブレードタイプ | スナバ―付 ソリッドタイプ ファンブレード |
材質 | チタン合金 |
全長 | 797 mm |
最大幅 | 250 mm |
重量 | 7.4 kg |