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【航空エンジンの歴史Ⅲ】超音速旅客機 コンコルド のタービンブレード

コンコルドは、乗客100人を乗せ音速の2倍という速さで飛行した超音速旅客機(2003年退役)。その原動力には客船タイタニック(46,000馬力)の1.6倍の出力を発生させるRR オリンパス593 エンジンが4基搭載されている。

1969年から2003年までの間、ニューヨーク・ロンドン間を約3時間で結んでいた超音速旅客機コンコルド。

ロールスロイス / スネクマ製 オリンパス593 MK610エンジンは、離陸時に75,000馬力(一基)を発生する。その原動力となる心臓部のタービンブレードはどのような形状なのか紹介します。

 

Concorde.planview.arp
Wiki:Arpingstone [Public domain]

ターボファンとターボジェットの違い

・飛行機のジェットエンジンは、大きく分けて4つ(ターボジェット・ターボファン・ターボプロップ・ターボシャフト)ありますが、ここではターボジェットとターボファンについて簡単に紹介します。

ターボファン

・現代の民間機エンジンは、低燃費で騒音が低くかつ効率的に高い推力を発生させることが求められることから、前面に巨大な扇風機のようなファンが取り付けられています。

このファンで、大量の空気を飛行速度より少し速い程度で排気することで高推力・低騒音・低燃費を実現している。

ターボジェット

・1950~1960年代に開発されたジェット機には、単純な構造で軽量なターボジェットエンジンが搭載されていた。排気ガスを高速で噴出し推力を発生させるため、超音速で飛行できる戦闘機なども開発されたが、欠点として燃費が悪く騒音が大きいという問題があった。

Turbojet operation- axial flow.png
By Emoscopes投稿者自身による作品, CC 表示 2.5, Link

オリンパス593エンジン

・コンコルドのエンジン開発で最優先されたのが、安全性は当然として、超音速飛行を達成させるための高い推力と軽量化だった。

超音速で巡航飛行するため排気速度の速いターボジェット方式を採用。そして、離陸と遷音速加速(M1.0~M1.7)の際、一時的に推力を増大させる戦闘機と同様のアフターバーナーが装備された。

他にも、軽量化のため部品点数を減らす必要があることから、タービンは高圧・低圧段とも全て1段で構成されている。

 

RR オリンパス593 Mk610 仕様
最大推力 38,050 lb(アフターバーナー使用時)、31,350 lb(未使用時)
サイズ 全長:7.11m、直径:1.21m
重量 3,175 kg
構成 圧縮機:低圧(N1)7段、高圧(N2)7段
タービン:低圧(N1)1段、高圧(N2)1段
総圧力比 15.5:1
推力重量比 5.4

高圧・低圧タービンブレード

高圧タービンブレード(HPT)

低圧タービンブレード(LPT)

まとめ:現代のエンジンにも引き継がれるコンコルドの技術

・最新のB787がニューヨーク・ロンドン間を最速 5時間13分で飛行した。しかし、コンコルドはパリ・ニューヨーク間を2時間59分で飛行していた。(Wiki:コンコルド)

コンコルドが巡航飛行するマッハ2という飛行速度は音の2倍、1分間に40kmの距離を移動したという。ライフルの弾より速いとさえいわれていた。

1969年に初飛行し2003年に退役したコンコルドは、生まれる時代を間違えたと一部で囁かれていた。機体だけでなく心臓部である高性能エンジンも、そのコア技術を使えばB777のエンジンと同クラスの推力を達成できるとさえいわれていた。

そのエンジンを開発したのが、ロールスロイスとスネクマというメーカー。RRといえばB787のTrent 1000が有名、スネクマもGEと合弁事業を立ち上げCFMインターナショナル(CFM56)で有名なエンジンを製造している。

これらの最新エンジンにも、一部にコンコルドの技術が活かされているのは間違いないだろう。

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