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【B737の歴史】世代と共に進化するエンジン|ファンブレードの変遷

飛行機ファンブレード

B737の進化はエンジンの歴史でもある

1960年代に開発された737(第一世代)、737クラシック(第二世代)ではエンジン換装によって約20%の燃費を改善した。

B737は世代と共に、機体だけでなくエンジンも大きく進化している。

今回は、その進化が一目でわかる前面のファンブレードを直接比較。第1世代~第3世代に渡る変遷を紹介します。

 

B737_ファンブレード

737のエンジン

B737に搭載されているエンジンは、メーカーが一本化されており非常にシンプルとなっています。

  • 第一世代(737-100/-200型):P&W JT8Dシリーズ
  • 第二世代(-300/-400-/500):CFM56-3シリーズ
  • 第三世代(-600/-700/-800/-900):CFM56-7シリーズ
  • 第四世代 (MAX -7/-8/-9/-10):CFM LEAP-1B

第一世代から第二世代のエンジンに換装されただけで、燃費は単純に20%向上した。

 

737 ファンブレードの変遷

・ファンブレードの進化の過程は、文字で表現するよりも画像で見比べた方が一目瞭然で理解しやすい。前半は画像で比較し、後半ではエンジンごとに紹介します。

 

第一世代(737 オリジナル)

第一世代 JT8D-17(全長35㎝)

第二世代(737 クラシック)

第二世代 CFM56-3(全長50㎝)

第三世代(737NG)

第三世代 CFM56-7(全長56㎝)

 

左から第三世代(CFM56-7シリーズ)、第二世代(CFM56-3シリーズ)、第一世代(JT8D)

エンジンの世代 第三世代 第二世代 第一世代
搭載機種 737 Next Generation
(-600/-700/-800/-900)
737 クラシック
(-300/-400/-500)
737 オリジナル
(-100/-200)
エンジン型式 CFM56-7シリーズ CFM56-3シリーズ P&W JT8D-17
推力 8,400~12,000 kgf 8,400~10,670 kgf 6,200~7,200 kgf
ファン直径 1.55 m 1.52 m 1.01 m
バイパス比 5.3:1 5:1 1:1
ブレード枚数 24枚 38枚 27枚
燃料消費率
TSFC lb/hr/lb
0.627 0.667 0.825
開発年 1997年 1984年 1964年

 

737 エンジンの歴史

第一世代:P&W JT8Dシリーズ

JT8D-9A-071207Alan Radecki Akradecki [CC BY-SA 4.0 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0)]

P&W JT8Dは、軍用エンジンのJ52コアを流用(2段ファン・4段 低圧圧縮機・低圧タービンを追加)した民間型エンジン。1964年にB727に搭載され運用に入った。

JT8Dエンジンが採用された背景には、B727で十分な実績があったことや、メンテナンスの共通性などがある。

当時は、ブレードの素材となるチタン合金の製造技術が発展途上段階だったことから、ファンの大口径が難しく直径の小さな低バイパス比ターボファン・エンジンが主流だった。

JT8Dは頑丈で信頼性が高く、最も完成度の高いエンジン(当時)とされていたが、ターボジェットのように騒音が酷く、燃費が悪いという欠点もあった。

1980年代に入ると、低燃費・低騒音のエンジンが求められるようになり、このベストセラーエンジンも旧型の部類に入るようになった。

それに伴い、第二世代の737の開発においてはエンジン換装が優先項目の一つとなり、静かで燃費の良い次世代機の開発へと進んだ。

 

P&W JT8D-17:スナバ―付ファン 全長350㎜ 幅110㎜

搭載機種 第一世代 737-100/-200
(オリジナル)
エンジン型式 Pratt and Whitney JT8D-17
ブレードタイプ スナバー付き・ファンブレード
材質 チタン合金(Ti-6Al-4V)
全長 350 mm
全幅 110 mm
重量 800 g

第二世代:CFM56-3シリーズ

第二世代の737が検討され始めた1980年代。

JT8Dは主力エンジンとして様々な機体に搭載されていたが、燃費の悪さや騒音・環境問題が指摘され「旧型」エンジンになり始めていた。

そうした中、JT3DやJT8Dの代替需要を狙った CFM56エンジンが「100席クラスの新世代エンジン」として誕生。最初に開発されたCFM56-2型が、DC-8の換装用エンジンとして運用を開始した。

その実績を基に開発されたのが、-2型の推力低減タイプ「-3型」エンジン。当初からB737に搭載することを目的に開発されたこのエンジンは、-2型のコアに再設計したファンを装備。

JT8Dと比較して燃費で20%削減、頑丈で扱いやすくメンテナンスコストも低いCFM56-3型エンジンによって、第二世代737は大きく進化した。

 

CFM56-3シリーズ:スナバ―付ファン 全長500㎜ 幅170㎜

搭載機種 第二世代 737-300/-400/-500型
(クラシック)
エンジン型式 CFMI:CFM56-3C1
最大推力 10,600 kgf (10.6t)
ブレードタイプ スナバー付 ファンブレード
材質 チタン合金(Ti-6Al-4V)
全長 500 mm
全幅 170 mm
1枚の重量 1,800 g

第三世代:CFM56-7シリーズ

1980年代半ばに登場したエアバス A320は、第二世代737にとって強力なライバルとなった。

操縦系統やアビオニクスの面で大幅に進化したA320に対抗するために、737NGシリーズ(-600/-700/-800/-900)の開発が進められた。

その内容としては、コックピットのアビオニクス・主翼の再設計・ウイングレットの装備など空力性能の向上の他、燃費や整備コストの低いエンジンが求められた。

エンジンの改良点としては、これまでのスナバ―付ファンブレードからワイドコード・ファンブレードに変更したことが大きい。この改良によって空力性能が向上、ブレードの枚数も38枚から24枚となった。

ファンだけでなくエンジンコアも改良されたことで、燃費はCFM56-3と比較して7%、JT8D-17と比較すると27%も向上した。

 

CFM56-7シリーズ:ワイドコード・ファン 全長560㎜ 幅260㎜

搭載機種 第三世代 737
(-600/-700/-800/-900型)
エンジン型式 CFMI:CFM56-7B
ブレードタイプ ワイドコード・ファンブレード
材質 チタン合金(Ti-6Al-4V)
全長 560 mm
全幅 260 mm
重量 5,000 g

これからも進化し続ける737

今回は、737の歴史をエンジン開発の視点で紹介しました。

エンジンの進化過程については、ファンだけでなくコアエンジン(圧縮機・燃焼室・タービン)の改良も含めてトータルで話を進めるのが普通ですが、一般的によく目にするエンジンの顔 ”ファンブレード”を比較した方が一目瞭然であることから、内部のタービン系には触れずファンだけをテーマにしました。

燃費に大きく関わる高圧タービンだけを取り上げても、その数は数十種類もあることから別の機会を設けてマニアックに解説したいと考えています。

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