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航空ジャンク市で購入した外気温センサー(TAT)の仕組み|遊び編

メカマニアの探求心

・航空ジャンク市で飛行機の廃棄部品を買う目的は、大空を飛行するロマンを直接肌で感じたい・デザインがカッコイイ・飾りたいなど様々です。

しかし、メカマニアにはもう一つの欲求 ”分解して仕組みが知りたい” という探求心もあります。

内部構造を深く知ることで新たな疑問がわき、さらに詳しく調べることで飛行機がもっと好きになるといった具合です。

今回は、外気温を測定するTATセンサーの回路構成を調べる内容です。
(構造的に分解できなかったので、テスターやメガーで内部の回路構成や故障原因を調査しました。)

 

Boeing 767-300ER TATセンサー(左)

 

装置の分解や電気回路の診断は、手順を誤ると怪我や感電・故障の原因となりますので真似される場合は自己責任でお願いします。

航空用と一般機器で違う点

一般的な装置の場合、センサー類は必要最小限で壊れたら取り換えればよいという考えです。しかし、航空機用や産業機器・医療機器といった人命に関わる装置には、故障の際のバックアップとして同じものが2つ以上装備されている場合がほとんどです。

特に航空機は飛行中に故障しても空の上で交換は不可能なことから、ほとんどの装置やセンサー類が2つ以上装備されています。

このTATセンサーも内部に温度センサーが2つ入っています。

例えば、No1のシステムがダメになってもNo2へ自動的に切り替える、Ch AとCh Bは常に互いを自動的に監視し合い故障の前兆を検知すると切り離すといった感じです。

ピンアサインを調べる(全部で7ピン)

・普通、電気回路の修理には配線図がありますがジャンク部品にはもちろんありません。しかし、7ピン程度のピンアサインならテスターで簡単に内部を調べることができます。

(使用するのは導通確認・抵抗測定モードの2つです)

 

ケースグランドを探す

・まずは手っ取り早く簡単に探せるケースグランドです。7ピンのうち1つのピンがケース本体と接続されています。

テスターを導通モードにしリード棒の一つを本体に当て、もう一方を7ピンすべてに順序よく当てると導通がとれるピンでテスターのブザーがなります。

残り6ピンはヒーター回路と2つの温度センサー

・TATセンサーやピトー管には氷結防止ヒーターが必ず組み込まれています。テスターを抵抗測定モードにしてピンを探し出します。

コツは6ピンの内、一つのピンは当てたまま固定し、もう一方のリード棒で残り5ピンを順序よく当てるとどれかで抵抗値が表示されるはずです。(表示されなければ別のピンを固定して繰り返します)

この方法で見つけたピンアサインがこちら。

 

適当に書いた図なので正当性は不明ですがほぼマニュアルに近い回路図だと思います。

ピンアサイン抵抗値回路
1-2ピン20Ω氷結防止ヒーター
3-4ピン547Ω温度センサー A
5-6ピン547Ω温度センサー B
7ピンー本体0Ω(導通)ケースグランド

※実際のマニュアルとピンアサインの番号は違う可能性があります。

正当性を検証

・どのようにしてヒーター回路や温度センサーと判断したのか?

まず、ヒーター回路 20Ω。

このTATセンサーにはAC 115Vが供給されているので、単純に計算すると約660Wのヒータが内蔵されていることになります。

B747クラシックのピトー管にも690Wの氷結防止ヒーターが内蔵されていることから、TATのヒーターも妥当な数値だと判断。

・2つの温度センサーは547Ω

これは、AとBどちらも同じ値です。温度センサーは温度の変化によって抵抗値が変化するのでドライヤーで少し温風を当てるだけで数値が変わるはずです。

試しに温風を当てるとすぐに580Ωを超えました。A、Bどちらも同一の値で変化することから、このセンサーは正常に動作していると判断。

 

故障原因は何だったのか?

記事のTATセンサーと同一物ですが、画像のエアラインとは関係ありません。

これは絶縁抵抗計(メガー)で調べることができます。ヒーター回路の1、2ピンどちらか一つと、本体の金属部分にテスト棒を当てて診断します。

ケースとヒーターは完全に絶縁されているので、何も問題なければ表示は無限大を示します。

今回のTATセンサーの場合、乾燥している状態では無限大でしたが本体に少し水分が入ると急激に抵抗値が減少、0に近づくことからヒーターの絶縁不良と判断できます。

イメージとしては、晴れている日は問題なく動作しているが、雨の日や水分を含む大気中を飛行するとサーキットブレーカーが落ちてエラーになる。温度センサーは問題なく動作しているので、コックピットの画面上では”TAT HEATER”というニュアンスのエラーが表示されたと予想。交換して廃棄処分されたのが今回のTATセンサーと考えられます。

あくまでイメージですが、このような遊びができるのも航空ジャンク品の醍醐味の一つです。

入門用としては、今回のようなヒーター回路のあるピトー管・AOAセンサー・TATなどがおススメです。

計器類はピンアサインが多いので実験には不向きです。上級者の中には、実際にマイコンでADCと同じシグナルを作り出して速度計や高度計・VSIを作動させるという人もいます。

電気や飛行機の知識を教科書で学ぶことも大切ですが、好きな物で遊ぶことも力になるので興味のある方はジャンク市等で手に入れてチャレンジしてみてください。

 

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