B747-8 エンジン GEnx-2B のスペックをディープに解説 ㉒

ボーイング 747-8/-8F用のエンジン、GEnx-2Bシリーズの概要とスペックについて紹介します。

747-400のストレッチタイプとして開発された747-8型機。

搭載されるエンジンには、燃費効率・運用効率を最大限に高め、整備コストを大幅に削減することが要求された。その要件に合致したのが、787で使われているGEnxだった。

GEnxの設計技術や内部構造は、信頼性の高いGE90をベースに先進の複合材や金属材料・燃焼器技術が使われている。

GEnx-2Bの概要

Boeing Dreamscape, CC BY 2.0, ウィキメディア・コモンズ経由で

GEnx-2Bシリーズ モデル

・GEnx-2B67
※2011年3月 EASA認証

・GEnx-2B67B
※2011年10月 EASA認証

・GEnx-2B67/P
※2014年1月 EASA認証

(P：Performance improvement package)

ファン（FAN）

・ファン直径104.7 in（2.66m）

ブレード枚数 18枚

CFRP製 フォワード・スウェプト翼 ワイドコード・ファンブレード、3次元空力設計技術を用いた翼型

最大出力時のブレード先端（チップ）速度は、従来型のCF6-80C2シリーズ（450m/s）と比較すると、421m/sに下がったことからファン騒音が低減された。

※ファン騒音は動翼の回転速度だけでなく、ファン静翼（ガイドベーン）の形状最適化や枚数の変更、吸音材の効果も含まれる。

低圧圧縮機（LPC）

・軸流式圧縮機（3段）

GE90の技術を使った高効率な翼型

高圧圧縮機（HPC）

・軸流式圧縮機（10段）

史上最も高い圧力比（23：1）を達成した高圧圧縮機（開発時）

一部ブリスク（HPC Stg 1・2・5）

三次元空力設計翼による高いストールマージン、ディスクに粉末冶金を採用したことでサイクル数や使用時間による寿命が向上

燃焼室

・デュアル アニュラ燃焼器

TAPS（Twin-Annular Premixing Swirler Combustor ）

低環境負荷タイプ

NOx排出量 56％削減（従来型と比べた場合）

高圧タービン（HPT）

・高圧タービン 2段タイプ

3次元空力設計翼、GE90からのスケールダウンタイプ

単結晶合金、セラミック遮熱コーティング、腹側全面にフィルム冷却孔

カウンターローテーション（エンジン後方から見て高圧軸は時計回り、ファン低圧軸は反時計回り）により、高圧2段目（HPT2）動翼を約10％削減

低圧タービン（LPT）

・6段構成

超高リフト化によるブレード枚数削減と空力性能の向上

燃料制御

・FADEC

アクセサリー

・ギアボックスには、エンジン用の各種ポンプ、スターター、機体側（発電機、油圧ポンプ）が装着されている。

競合エンジン

GEnx-2B seriesスペック

Olivier Cleynen, CC BY-SA 3.0, ウィキメディア・コモンズ

※一部のデータはEASAから

【旅客機】機体＆エンジン のスペック集