・航空ジャンク品で人気急上昇の部品が【ピトー管】と呼ばれるもので、飛行中の航空機の速度を計る重要なパーツ。一つの機体にわずか3~4本という大トロ的な希少性がマニアの間で話題となり人気アイテムとなっている。
過去の飛行機映画でも、バードストライクによるピトー管破損や氷結による速度の異常表示など、内容の鍵を握る重要パーツとして一躍有名になったこともある。
今回は、入手困難といわれている大型旅客機のピトー管の紹介や簡易的な見分け方についてまとめました。
過去にANAハンガーベイカフェに展示されていた B777のピトー管
もくじ
ピトー管の種類と形状
Boeing 747クラシック
・B747クラシックの胴体左側に装着されていた速度計測用のピトー管。B747-400はひし形の部分がもう少し長い。
B747クラシック ピトー管
Boeing 737 (エレベーターフィール用)
・このピトー管はコックピット付近にある速度計測用ではなく、垂直尾翼にあるエレベーターフィール(舵感装置)用の動圧測定用ピトー管。B737-400や-500の垂直尾翼下側に左右1本ずつ取り付けられている。
B737 エレベーターフィール用 ピトー管
MD-90/MD-81
・MD90・MD81シリーズ・DC9・B717の機体には、同一のピトー管がコックピットの前面に3本搭載されている。
MD-90 ピトー管
MD-81 ピトー管
先端付近に注目する
・飛行機が速度を測る場合、全圧から静圧を引いた差圧(動圧)をベルヌーイの式にあてはめると速度を求めることができます。
ピトー管にもいくつか種類があり、1本で全圧と静圧の両方を測定できるタイプ、全圧のみ(静圧は機体の静圧孔から)測定するタイプがあります。
B747やB777などボーイング系の飛行機は前者、MD-81やMD-90などは後者のタイプとなっています。
全圧のみを測定するタイプ
・全圧のみを測定するピトー管で、静圧は機体の静圧孔から測定するタイプ。MD-81やMD-90に使用されており、シンプルな形状となっています。
側面に静圧孔がなく先端部で全圧のみを測定するMD-90 ピトー管
全圧と静圧を同時に測定するタイプ
・ピトー管本体に複数の静圧孔があいているのが特徴。ピトー管の先端から全圧、側面から静圧を測定する。このタイプは、根元にそれぞれ P(動圧)・S1(静圧)・S2といった複数の接続配管がある。
B747 ピトー管:側面の小さな孔が静圧孔、先端部で全圧を測る。複数の配管が根元にあるのが特徴。
マニアックな見分けポイントはヒーター部分
・映画『ハッピーフライト』で一躍有名になったピトー管。そのヒーター回路が故障したために上空で氷結、速度計の表示が消えるというトラブルに見舞われた内容だったかと思います。
ピトー管には氷結防止のヒーターが内蔵されています。氷点下の場合や着氷の恐れがある場合には、上空はもちろん地上でもヒーターを動作させピトー管本体を加熱します。
このヒーターは、本体の大きさによって消費電力も変わってきます。ヒーター回路は機種によって消費電力や供給電圧に違いがあり、それを見分けるポイントとして活用することもできます。
消費電力に注目
・ピトー管の形状が大きくなるのと比例して、ヒーターの消費電力も大きくなる傾向があります。
例えば、MD-90だと220Wですが、B747用だと690Wにもなります。
供給電圧にも違いがある
・最新鋭の旅客機になるほど電圧は高くなる傾向にあります。例えば、B787やB777のピトーヒーターには AC 200V 400Hzが供給されていますが、B747やB737の場合は標準的なAC115V/400Hzの仕様となっています。
機体 | 供給電圧 | 消費電力 |
Boeing 787 | AC 200V/400Hz | 不明 |
Boeing 777 | AC 200V/400Hz | 不明 |
B747クラシック | AC 115V/400Hz | 690W |
B737(エレベーターフィール用) | AC 115V/400Hz | 300W |
MD-90 | DC 28V | 220W |
MD-81 | DC 28V | 220W |
まとめ:微妙な違いを見つけ出しお目当ての機種を探す
・遠くから眺める飛行機のピトー管は、大型機から小型機までどれも同じような小さなヒゲに見えます。しかし詳しく観察してみると意外と形状に違いがあるものです。
お目当ての機体のピトー管をジャンク市で見つけたい場合は、集中的に撮影してみたり専門書や月刊誌・ネット画像を利用して形状を把握しておくことをおススメします。
【7】コックピット関連
羽カフェ最高。俺らのコレクションはもしかして軍用機かもしれない。ここの物と違ってたんよ。