エアバス A320neo / A321neo 用のエンジン、LEAP-1Aの概要とスペックについて紹介します。
CFM LEAP-1A の概要
・LEAP(Leading Edge Aviation Propulsion)は、CFM56-5B/-7Bの後継として開発されたエンジン。
ファンの大口径化によってバイパス比は10以上、コアエンジンは大型機並みの高圧力比、燃焼効率やタービン部の改良や様々な新素材が使われた。また、高圧タービンも従来の単段タイプから2段式に変更され効率が改善された。
その結果、従来のCFM56シリーズとは全く違う進化型エンジンとなり、燃費は最大15%向上(比較:CFM56-7BE)
LEAPシリーズ
- LEAP-1A:エアバス A320neoファミリー
- LEAP-1B:ボーイング B737MAX
- LEAP-1C:COMAC C919
LEAP-1Aシリーズ モデル
・LEAP-1A35A:32,158 lbf
※2015年11月 EASA認証
・LEAP-1A23:24,010 lbf
・LEAP-1A24/-1A24E1:24,010 lbf
・LEAP-1A26/-1A26E1:27,120 lbf
・LEAP-1A29:29,290 lbf
・LEAP-1A30:32,158 lbf
・LEAP-1A32:32,158 lbf
・LEAP-1A33/-1A33B2:32,158 lbf
※2016年3月 EASA認証
【LEAP-1A 搭載モデル】
Gyrostat (Wikimedia, CC-BY-SA 4.0), CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
- A319-151N:LEAP-1A24
- A319-153N:LEAP-1A26
- A320neo Series:LEAP-1A23
- A320-251N:LEAP-1A26E1
- A320-252N:LEAP-1A24E1
- A320-253N:LEAP-1A29
- A321-251N:LEAP-1A32
- A321-251NX:LEAP-1A32
- A321-252N:LEAP-1A30
- A321-252NX:LEAP-1A30
- A321-253N:LEAP-1A33
- A321-253EX:LEAP-1A33B2
- A321 Series:LEAP-1A35A
ファン(FAN)
ファンは前縁が前に張り出したフォワード・スウェプト形状
CFRP(炭素繊維強化複合材)製
従来のGE90では炭素繊維を2次元状に編んで積層させる方式だったが、LEAPでは洋服を編むように3次元状に積層させる3-D/RTM(3次元 樹脂含浸成型)技術によって製造されている。
従来のスナバ―付細長ファン(チタン合金)と比べて、ワイドコード・ファンは翼幅が広くなり大型化されたが、材質を炭素繊維複合材(CFRP)にすることで大幅な軽量化が可能。
ファン径 71インチ(LEAP-1BとCFM56-5C)で重量を比べた場合
LEAP-1B:ファン枚数 18枚(全重量は76.2kg/1枚あたり約4.2kg)
CFM56-5C: チタン合金製ファン 36枚(全重量は150kg/1枚あたり約4.1kg)
低圧圧縮機(LPC)
・軸流式圧縮機(3段)、チタン合金、ファンと同軸で回転
高圧圧縮機(HPC)
・軸流式圧縮機(10段)
1段から5段まではブリスク(ブレードとディスクを一体化)
GEnxの技術や最新の空力解析を取り入れた翼形状
圧力比は40(CFM56:30前後、GE90/GEnx:40~50)
燃費効率を高めるため大型エンジン並みの高圧化を達成。
燃焼室
・TAPSⅡ(Twin Annular Premixing Swirler)燃焼器(GEnxに採用された第2世代の燃焼室)
窒素酸化物を50%削減、燃焼効率・耐久性の向上
燃料ノズルの一部の部品は3Dプリンティングによる成形。
高圧タービン(HPT)
・高圧タービンは2段タイプ
単結晶動翼
内部空冷構造
3次元空力設計翼
高圧タービン・シュラウド(覆い:ケーシング)にCMC(セラミックス・マトリックス・コンポジット)を採用。
※CMC:芯材(ニカロン)を、シリコン・カーバイド(セラミックス系)の母材で覆った複合材。
低圧タービン(LPT)
・7段構成
シュラウド付きブレード
Ti-Al(チタニウム・アルミナイド合金)製 低圧タービン動翼
燃料制御
・FADEC
アクセサリー
・各種ポンプ類、機体側(発電機、油圧ポンプ)駆動用のギアボックス。
ドライブシャフトを介し高圧軸(HP)と接続、IDG(機体用発電機)の駆動には最大129kw必要。
競合エンジン
LEAP-1A スペック
CFM International | |
型式 | LEAP-1A Series |
搭載機種 | A319neo/A320neo/A321neo |
形式 | 二軸式 ターボファン・エンジン |
構成 | 1-3-10-2-7 (Fan-LPC-HPC-HPT-LPT) |
離陸推力 | |
最大推力 | [-1A24] 24,010 lbf(10,900 kgf) [-1A26] 27,120 lbf(12,312 kgf) [-1A29] 29,290 lbf(13,297 kgf) [-1A30] 32,158 lbf(14,600 kgf) [-1A32] 32,158 lbf(14,600 kgf) [-1A33] 32,158 lbf(14,600 kgf) |
バイパス比 | 11 |
ファン圧力比(FPR) | ー |
全体圧力比(OPR) | 40 |
ファン空気流入量 | lb/s ( kg/s) |
コア空気流入量 | ー |
TSFC 燃料消費率 (lb/hr/lbf) |
ー |
巡航推力 | |
巡航推力 | lbf |
TSFC 燃料消費率 (lb/hr/lbf) |
0.51 (35,000ft M0.82) |
回転数 | |
低圧軸(N1) | 3,894 rpm (101%) 3,856 rpm (100%) |
高圧軸(N2) | 19,391 rpm (116.5%) 16,645 rpm (100.0%) |
EGT | 1,060℃ |
ファン | |
ファン直径 | 1.98 m(78 in) |
ファン枚数 | 18 枚 |
形状 | フォワード・スウェプト ワイドコードファン |
材質 | CFRP (積層方式 3-D/RTM) |
圧縮機 | |
ファン | 1段 |
低圧段 | 3段 |
高圧段 | 10段 |
燃焼室 | |
燃焼器タイプ | アニュラ型 |
TAPSⅡ (Second generation:Twin-Annular Premixing Swirler Combustor ) |
|
燃料ノズル | ー |
燃料制御 | FADEC |
タービン | |
高圧段 | 2段 |
低圧段 | 7段 |
サイズ | |
型式 | LEAP-1A Series |
全長 | 3.33 m |
ファン直径 | 1.98 m(78 in) |
重量 | 6,592 lb |
推力重量比 | 4.87 |
運用開始 | 2015年 |
※一部のデータはEASAから