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タービンライン:軍用機と民間機では意味が違う赤い線の謎

タービンラインとは

・ひと昔前の古い軍用機のエンジンに描かれている赤い線。

通称:タービンラインと呼ばれるこの赤いラインは、エンジンの中で最も負荷のかかるタービンブレードの位置を示すものです。

一方、民間機のエンジンにも似たような赤いラインが描かれていますが、これはタービンラインではありません。

では何を意味するのか?その謎について紹介します。

軍用機の場合:タービンライン

E-3‗タービンライン

・F-4やC-1、E-3など少し古い飛行機に搭載されているエンジン(J79・JT3D・JT8D…)には赤い線(タービンライン)が描かれています。

このタービンラインは、何らかの不具合でタービンブレードが破損した際にケーシングカバーを破る可能性があり、破片が飛び出す危険性を警告しています。

エンジン運転中は、基本的にこのラインに近づくことは危険とされています。

 

JT3D‗タービンラインE-3:JT3Dエンジンのタービンライン(ブレード破断時に破片が突き抜ける危険性がある)

F-4ファントム:J79エンジンにも後方部分にタービンラインが描かれている

JASDF:T-4練習機のタービンライン

C-1輸送機:JT8Dエンジンのタービンライン

民間機の場合:ハザードエリア

・民間機のエンジンの場合は、ファンの近くに赤いラインが描かれていることがほとんどです。

軍用機のタービンラインと似ていますが、よく見るとエンジンのイラストと立入禁止がセットで描かれていると思います。

B787:RR Trent 1000エンジンのハザードライン(エンジン運転中にこの赤いラインよりファンに近づくことは危険とされている)

エンジンのイラストには、空気取り入れ口と排気口に赤色で塗りつぶされている領域があります。

これは、エンジン運転中に赤の領域に立ち入るとファンに吸い込まれる危険性、排気口に近づけば吹き飛ばされることを意味しています。

しかし、整備作業等でやむを得ず立ち入る必要がある場合には、この赤ラインを目印に白色のセーフティーゾーンから近づくことが可能。

運転中のエンジンに近づく際は、ペンやメモ帳など不要な物が吸い込まれないようポケットから取り出す必要があるそうです。

 

CF6エンジンの例:アイドリング中、インレット側(半径 2.1m・吸入口から 1.5m)及び排気口が立入禁止エリアとなっている。

 

意外と多いエンジン運転中の作業・エンジン運転中に真横で作業することは思っている以上に多いそうです。

一例をあげると、修理後にアイドリングで運転させながらオイルラインの確認、ひと昔前だとMECと呼ばれる機械式燃料制御装置の微調整など他にも色々あるようです。

記事最後に、CFM56のスターターバルブを手動で操作してエンジンを始動させる動画を紹介します。

各エンジンのハザードライン

737-800:CFM56-7BEエンジンのハザードライン

エンジンのファン径や出力よって立入禁止エリアの距離は変わる

A320ceo:IAE V2500 ハザードライン

A330:CF6-80E1のハザードライン

B777:P&W PW4090のハザードライン

動画:エンジン手動スタート(セーブティエリア内で作業する整備士)

・CFM56-3エンジンのマニュアルスタート動画。

スターターバルブが故障した際に、手動でスターターバルブを開閉しエンジンをスタートさせる方法。

エンジン始動後、誤ってハザードエリアに入らないよう慎重に行動する整備士の様子が収録されている貴重な動画です。

 

ファンブレードが破損してもケースを破ることはない(基本的に…)

・旅客機のエンジンは開発段階で様々な試験にパスする必要があります。

その一つに、最大出力回転数で運転中にファンブレード1枚を爆薬を使ってディスクから切り離します。

ブレード破断を想定したこの試験では、切り離されたファンブレードがケーシングを突き破ることなく正常に抑え込めることができるか。また、アンバランスな状態でも問題なく停止できるかなどを試験します。

 

 

ケーシングのない回転体が剥き出しになっているプロペラ機の場合は大丈夫なのか?

プロペラ機の場合は、このような事態も想定してプロペラの真横に位置する胴体の外板を二重三重に厚くする方法とっているので、万が一プロペラが破損しても胴体内に貫通することはないとされています。

 

「Inspiration~」の文字の部分の外板が他よりも厚く重ねられ強化されている

 

航空資料館

ファンブレードやタービンブレードが破断しても、設計上はケースを突き抜けることはないと試験で証明されています。しかし、一般工具(グラインダー)や産業機器でも回転体の真横は「絶対に近づくな」というのが基本中の基本。機械に絶対はありません。エンジン真横の座席、嫌いではありませんが積極的に座ろうとは思いません…

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Disassembly&assembly

航空エンジンの基本設計では、如何なる場合でも回転体等が如何なるアクシデントにおいてもコンテイメントできる強度を要求(安全係数)されています。
昨今のPW4000等のイベントは有ってはならない事です。
当方RRのRB211、GEのCF6-50、GE90、LM2500~LM6000をハンドリングした者としては40年以上経験しませんでした。

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