航空機を襲う火災・爆発事故の猛威。火災対策を施しても航空貨物には危険物が含まれる。
50年間に起きた航空機事故を徹底分析。難解な事故報告書を一般の方でも理解しやすいよう丁寧に解説。
航空機事故の研究している方の入門書としておすすめです。
全10巻で構成されている『墜落シリーズ』、航空機事故を10種類のジャンルに分類。1巻につき4~6の事故事例について概要と原因を説明。著者自身からの論評はあえて控えたとのこと。
もくじ
墜落:第4巻 火災と爆破
第一章:離陸時にエンジンが破損、燃料タンクに引火
・1985年8月22日、BAのボーイング 737-200(G-BGJL)がマンチェスター空港を離陸滑走中、左エンジンが破損し燃料タンクに引火した。
機体は滑走路から離脱し誘導路上で停止したが、機体の向きと風向きが悪く脱出の妨げとなった。
第二章:手投げ弾が爆発、緊急降下
・1986年10月26日、タイ国際航空 620便 エアバス A300-600Rが大阪国際空港へ向けて巡航飛行中、化粧室で手投げ弾が爆発し急減圧が発生した。
機体は後部圧力隔壁の一部が損傷する大きな損壊を受けたが、3系統ある油圧のうち1系統だけが奇跡的に作動したことで、無事着陸できた。手投げ弾はマニラ国際空港から持ち込まれたものだった。
第三章:ジャンボ機が空中分解
・1988年12月21日、パンナム航空103便 ボーイング747-100がロンドン ヒースロー空港からニューヨークへ向かって巡航飛行中に突然空中分解した。
コンテナに入っていた時限式の爆弾による爆発が原因ではないかとされている。
この事故は諸説あり、一部の本ではセクション41と呼ばれる機首部分の金属疲労による亀裂が原因で墜落したという有名な話がある。また、15号機から686号機まで旧ソ連製の粗悪なアルミニウム合金が使われていた。気になる方は【ボーイング747はこうして空中分解する】を参考にしてみてください。
第四章:積み荷の酸素発生器が発火
・1996年5月11日、バリュージェット592便 ダグラス DC-9-32がマイアミ空港を離陸し10分後、貨物室の火災によりコックピットに煙が充満、操縦不能となり墜落した。
火災は固定されずに貨物室に搭載された酸素発生器が原因だった。
第五章:鎮火まで四時間、貨物火災
・1996年9月5日、フェデックス1406便 DC-10-10CFがボストンへ向けて飛行中、貨物室の煙感知器が作動した。煙が充満した機内では緊急着陸を決断。
最寄りのスチュワート空港へ着陸成功した機体は後方が燃え始めていた。乗員3名+乗客2名は直ちに脱出。
消防隊により消火活動が行われたが鎮火まで4時間を要した。その後の調査によると申告されていない可燃性危険物が多数搭載されていた。それは意図的なものではなく梱包者・運送者など関係者も知らないかった。
【どんな人におすすめ?】
・この本は、事故事例を報告書に基づき紹介した内容です。概要や事故原因、管制官との無線交信、ボイスレコーダーの内容を時系列に紹介。
著者は自身の論評をあえて控え、一般の方が理解しやすい容易な文章(図)で事実を淡々と解説しています。理解しやすいようたとを加えています。
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