危機一髪という事態は驚くほど単純なミスで起こる。複雑化する航空管制、パイロットと管制官の間には何があったのか。
50年間に起きた航空機事故を徹底分析。難解な事故報告書を一般の方でも理解しやすいよう丁寧に解説。
航空機事故の研究している方の入門書としておすすめです。
全10巻で構成されている『墜落シリーズ』、航空機事故を10種類のジャンルに分類。1巻につき4~6の事故事例について概要と原因を説明。著者自身からの論評はあえて控えたとのこと。
もくじ
墜落:第7巻 衝突とニアミス
第一章:快晴、管制下の空中衝突
・1986年8月31日、エアロメキシコ498便 DC-9と自家用機のパイパーPA-28が、カルフォルニア州セリトス上空にて空中衝突した。
有視界飛行(VFR)で飛行していたパイパーP-28が制限空域へ無断進入。管制官もまたそれを見落としていた。
第二章:自家用機が着陸強行、地上衝突
・1986年11月6日、パンナム301便 B727と自家用機のパイパーP-23がフロリダ州タンパ空港の誘導路上で正面衝突した。
霧で視程が悪い状況の中、着陸態勢に入ったパイパーP-23が誤って誘導路に着陸。そこには滑走路に向けて地上走行中のB727がいた。
第三章:高度差30メートルのニアミス
・1987年7月8日、デルタ航空37便 L-1011トライスターとコンチネンタル航空25便 B747-200が大西洋上にて高度差30メートルでニアミスした。
原因はデルタ航空37便の自動操縦装置に入力する数値の誤りだった。慣性航法装置の精度が高い現代の旅客機は、驚くほど正確にニアミスしてしまう。また、両機のパイロットはニアミスの件を管制官へ報告しなかった。
第四章:病みあがりの機長、霧の空港で道に迷う
・1990年12月3日、ノースウエスト航空299便 B727と同じくノースウエスト1482便 DC-9が、デトロイト カウンティ―空港の滑走路上で衝突した。
NWA 299便 B727が離陸滑走を開始、病み上がりの復帰飛行となるNWA 1482便の機長は濃霧で視界不良の誘導路で道に迷い、誤って滑走路へ進入してしまった。
第五章:大混乱のロス空港、混乱する管制官
・1991年2月1日、UAエア1493便 B737-300とコミューター機 メトロがロサンゼルス空港の滑走路上で衝突した。
平行滑走路が4本ある大混雑した大空港。日没後という条件が重なる中、管制官は滑走路上で待機していたメトロを忘れ、USエア1493便に着陸許可を出した。
【どんな人におすすめ?】
・この本は、事故事例を報告書に基づき紹介した内容です。概要や事故原因、管制官との無線交信、ボイスレコーダーの内容を時系列に紹介。
著者は自身の論評をあえて控え、一般の方が理解しやすい容易な文章(図)で事実を淡々と解説しています。
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