大惨事は人間の犯す単純なミスで発生する場合が多い。操縦、整備、管制でも人間がかかわる限り事故は起きる。
本書では、50年間に起きた航空機事故を徹底分析。難解な事故報告書を一般の方でも理解しやすいよう丁寧に解説。
航空機事故の研究している方の入門書としておすすめです。
全10巻で構成されている『墜落シリーズ』、航空機事故を10種類のジャンルに分類。1巻につき4~6の事故事例について概要と原因を説明。著者自身からの論評はあえて控えたとのこと。
もくじ
墜落:第10巻 人間のミス
【本書の内容】
第一章:南極のホワイトアウト、雪の斜面へ
・1979年11月28日、エア・ニュージーランド901便 DC-10-30が南極観光飛行にて高度を下げた際に、ホワイトアウト現象に遭遇。視界不良のまま雪の斜面に激突した。
第二章:燃料が切れ、エンジン停止
・1983年7月23日、エア・カナダ143便 ボーイング767が巡航飛行中に両エンジンが燃料切れで停止した。機は滑空を続け、元・ギムリー空軍基地跡の滑走路へ着陸。奇跡的に乗員・乗客は全員無事だった。
原因は、燃料の単位換算ミスによるものだった。
第三章:進入手順の無視、オーバーラン
・1986年10月25日、ピードモント航空467便 B737-200がダラス国際空港で着陸に失敗。オーバーランし機体は大破した。
小雨で濡れた滑走路、機は不安定な進入を継続しながら速い速度で滑走路に接地。ブレーキ操作も遅れたことで停止できず。最終的にはハイドロプレーニングを起こし滑るようにオーバランした。
第四章:空中待機77分、尽きた燃料
・1990年1月25日、アビアンカ航空052便、ボーイング707がニューヨーク・ロングアイランドの住宅地に激突した。
空港周辺は天候により多くの機が空中待機し空は混雑していた。当該航空機も77分間の空中待機、燃料切れの寸前だったが着陸進入を開始。しかし、悪天候により着陸できずゴーアラウンド。その直後に燃料切れとなり墜落した。
第五章:窓が飛散、機長の上半身が機外へ
・1990年6月10日、ブリティッシュ航空5390便 BAC-111が離陸後上昇中に急減圧が発生した。その原因は機長側のコックピットの窓が吹き飛んだためだった。
窓が吹き飛んだことで、機長も上半身が機外に吸い出されてしまった。機は副操縦士によって緊急着陸に成功。窓が外れた原因はサイズの間違ったボルトを使用したためだった。
第六章:レバー誤操作、名古屋空港の墜落
・1994年4月26日、チャイナエアライン140便 エアバスA300-600Rが名古屋空港の滑走路に墜落した。
操縦していたのは副操縦士、オートパイロット操作の誤りに気付いた機長が交代し着陸を継続したが、オートパイロットは着陸復行モードになっていた。システムを誤って理解していた。
・この本は、事故事例を報告書に基づき紹介した内容です。
事故の概要や原因、管制官との無線交信、ボイスレコーダーの内容を時系列に紹介。
著者は自身の論評をあえて控え、一般の方が理解しやすい容易な文章(図)で事実を淡々と解説しています。
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