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ロールスロイス ジェットエンジンの歴史書|THE HISTORY OF THE RB211(飛行機の本 #82)

ジェットエンジンRB211の本

世界で最も効率的な大型航空機エンジン】とされているロールス・ロイス製のTrent XWB エンジン。独自の3軸設計と最新のファンシステムにより、初期のトレントシリーズと比べて15%も燃費が向上している。

そんな最新鋭・大型ターボファンエンジンも、技術的な歴史背景はRB211エンジンまで遡る。(RB211シリーズは、トライスターやB747に搭載されていたエンジン。)

今回紹介するこの本は、RB211の誕生秘話(ハイフィル:CFRP複合材ファンブレード、目標推力値 42,000lbを下回る34,200lbからどのように改良を重ねたのか)など、様々な困難の末に誕生したRB211エンジンの技術物語を、335枚にも及ぶ当時の貴重な写真(ブループリント等を含む)やイラストを用いて解説した洋書です。

近年稀に見るとても贅沢な技術歴史書を紹介します。

 

航空資料館

純粋にRB211-22や-524シリーズの話なので、トレントシリーズを勉強したい方には物足りないと思います。しかし、Trentのルーツでもあるので個人的には読む価値のある本だと思います。

最新のTrent XWBエンジンも技術的歴史は53年前に開発されたRB211までさかのぼる

THE HISTORY OF THE ROLLS-ROYCE RB211 TURBOFAN ENGINE

・ロッキード L-1011(トライスター)用のエンジンとして、1967年から開発がスタートしたRB211エンジン。

その時代、大型ターボファンエンジンの分野はまだまだ手探りの状態だった。アメリカ P&WがB747用に前代未聞の45,000lb級のエンジン開発に挑戦、GEが大型輸送機C-5用のTF39エンジンの製造に着手していた。

その2社に対抗する画期的なエンジンを目標にRRは、独自の3軸設計、ハイフィルと呼ばれるCFRP製ファンブレードなどを盛り込んだ高効率・軽量・低燃費なエンジン開発に着手。

しかし、鳥や雹などの異物突入試験にクリアできなかったハイフィル製ファンブレード、効率65%という計画の85%に達しない高圧タービン、目標推力の42,000lbに対して最大34,200lbと大きく下回るエンジン。

その苦境の中、1970年に退職したスタンレイ・フッカー博士が呼び戻され状況は改善されていく。計画値に満たないノズルガイドベーンやタービンブレードの形状や材質を変更することで、推力は向上し計画推力の43,000lbを超える推力が得られた。

このエンジンの潜在能力は高く、ファン径はそのままで中圧段の改造のみでB747クラシックやB767用にも通用する50,000lb級まで引き上げることが可能とわかり開発に着手。

この3軸構造を採用したエンジンコアの性能は大変すばらしく、後のトレントシリーズにまで継承され今に至る。

今から53年前に設計されたRB211のDNAは、2020年 Trent XWBのコアにも引き継がれ飛躍的な進化を遂げている。

 

RB211 Trent XWB
最大推力 42,000lb(19トン) 95,000lb(43トン)
ファン バイパス比 5.0 9.6
圧力比 27 50
高圧タービン入口温度 1,215℃ 1,627℃
巡航中燃費比率 0(基準) -20%(RB211に対して)
エンジン構成 3軸式 3軸式
搭載航空機 ロッキード L-1011 トライスター Airbus A350

 

内容

第1章 Historical Background

第2章 Launch of the RB211

第3章 Evolution of the RB211 design and the technical

第4章 Challenge and finamcial

第5章 RB211-06 and RB211-22 design

第6章 RB211-22 -22C and -22B design

第7章 RB211-06 and -22 development

第8章 RB211-22 -22C and -22B development

第9章 Performance

第10章 Lockeed programme

第11章 RB211-22C and -22B service

第12章 RB211-22C and -22B problems

第13章 RB211-524 and -535 derivatives

第14章 The Trent family

第15章 The RB211 legacy

 

本について

THE HISTORY OF THE ROLLS-ROYCE RB211 TURBOFAN ENGINE
・著者:Philip C Ruffles CBE,FRS,FREng 
・価格:£30(日本円 約4,000円前後)
・Size:29.5X21.0X2.0cm
・ページ: 326

 

この本について紹介している動画がこちら

・YouTubeでジェットエンジンの解説をされているAgent jayZさんが、この本について紹介しています。

 

購入方法

・購入方法は少しだけ複雑です。簡単便利なamazonでは販売していないようです(2020/10 現在)

当サイトでは、ロールスロイスの公式サイトにて注文し、日本へ発送してもらいました。

オーダー方法

・注文用紙を手紙で発送

・電子メール

・電話

支払い方法

・Paypalによる支払

送料

・送料は無料でしたが、日本まで25日とかなり時間がかかりました。

その他

・会員価格(Rolls-Royce Heritage Trust メンバー)と一般価格があり、£10の差があります。

 

航空資料館

現代のTrent 1000やXWBなどのベースとなったRB211エンジン。その貴重な写真や図面・イラストが掲載されている歴史技術資料です。RB211エンジンに興味がある方は満足できる内容だと思います。手軽に買えるamazonでも取り扱ってほしいアイテムです。

 

この本のまとめ
読みやすさ(初心者向き)
(5.0)
メカ的な面白さ
(5.0)
写真・図面の豊富さ
(5.0)
値段
(5.0)
入手性
(2.0)
買うべきか
(5.0)
4+

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