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【ファンブレードピンって何?】ファンやコンプレッサーブレードの取付方式

一見、無機質に見えるジェットエンジンの部品にも色々な表情がある。

今ではもう古い、B727やB737-200のエンジンに使用されていた「ファンブレード」や「コンプレッサーブレード」

この2枚をじっくり観察すると、まるで仲の良い親子のようにも見えます。

 

ここまで似ているのは珍しいB727/737(JT8D)のブレード。上はファンブレード(2段目)下は高圧圧縮機1段目

ジェットエンジンは、1枚のディスクに数十枚の羽根が取り付けられており、これを何層(段)にも重ねて空気を圧縮しています。

この羽根をディスクに取り付ける方式には色々あり、その一つにファンブレードピンを使う固定方法があります。

 

圧縮機ブレードの取り付け方式

ピン・ジョイント方式(ファンブレードピン)

まずは、先ほどのJT8Dエンジンのブレード。

今ではあまり使われていないピン・ジョイントと呼ばれる方式。ディスクとブレードをピンによって結合する。

例えばファンの場合、ファンブレードピンは数トン規模の大きな荷重に何万時間も耐えると同時に、限度を超える異常な力が加わった場合にはあえて破断(小さな損傷で大きな被害を防ぐ)というヒューズピンの役目もある。

その相反する設計は極めて難しく、エンジン構造も複雑になるため最近のエンジンではあまり使われていない。

もう一つのメリットとしては、ブレードの共振防止に大きな効果があるとされている。

 


ファンや圧縮機の動翼は、全長が20㎝を超えてくるとその細長形状の特性からブレードが振動を起こす場合がある。

フラッターと呼ばれるその振動は、ブレードを急速に破断させるほどの力がある。

一般的な対策としては、ブレードの中央あたりに突起を付けることで、隣り合うブレード同士が支えあう形状にして振動を防止している。

 

B737_ファンブレード右と中央は振動防止のスナバーが付いている細長のファンブレード、左はワイドコード・ファンと呼ばれ翼幅が広く剛性も高くなったことからスナバーは不要となった。

・このようなスナバーやワイドコードはブレードの振動防止に効果的だが、サイズ的な制約で十分なワイドコード化ができない場合もある。(共振が抑えられない)

また、翼表面に突起を付けることは数%だが空力効率も悪くなる。これらの対策として、昔ながらのピンジョイント方式が有効され採用されている例もある。

例えば、トップ画像にあるB727や737オリジナル・C-1で使用されている JT8D-7~17シリーズのファンブレード(2段目)と、高圧圧縮機(1段目)にはピンジョイントが採用されている他、CRJ-200やE170のエンジン(CF34-3~8)のファンブレード固定方式にもファンブレードピンが使われています。

(CF34-10からは、ダブテール方式に変更されました。)

 

ダブテール方式

断面が鳩の尾(ダブテール)に似ていることから、ダブテール・ロック方式と呼ばれています。

ディスクにダブテール形の溝(凹)を切り、ブレードの根元はダブテール状に加工(凸)してブレードをディスクに取り付ける方法。

ピンジョイントと違って力を受ける面が広いので、遠心力が60トンを超える巨大なファンブレードの固定方法にも使われている。

小指程度の小さなブレードから、1.2mを超える巨大なファンまで対応できることから、一般的にほとんどこの方式が使われている。

 

JT8D-7~17シリーズのファン(-200シリーズとは形状が違う)

 

B777用のGE90-94B(全長 1.2m、重さ15.4㎏)のファンブレードもダブテール方式となっている

ファーツリー方式

・先ほどの鳩の尾(ダブテール)に対して、こちらはモミの木(クリスマスツリー)に見えることからそう呼ばれている固定方式。

一般的にはタービンブレードの固定に使われており、ファンや圧縮機にはあまり使われていない。

※過去にはRB211のファンブレード、コンコルド(オリンパス593)の圧縮機など、ごく一部のエンジンの固定に使われていたことがある。

 

B747(CF6-50) 高圧タービンブレード 1段目

 

トライスター RB211のファンブレードはファーツリー方式

今回は、ファンブレードやコンプレッサー・ブレードの取付け方法について紹介しました。

 


最近は航空ジャンク品も人気となり、エアライン公式やオークションなど入手できる機会が増えてきました。

ぜひ、みなさんも手にした際はじっくり観察してみてください。

一見、無機質に見えるその部品にも様々な表情があり、新たな発見があるかもしれません。

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