A320の初期型エンジン、CFM56-5Aの概要とスペックについて紹介します。
CFM56-5A の概要
・CFM56-2/-3をベースとして、1980年代後半に推力25,000 lbf級のエンジンとして開発された-5Aシリーズ。
新設計のファンは、同推力の-2(ファン:44枚)と比較して、翼幅の広いブレード形状や空力設計が見直され大型化された。その結果、ファンの枚数は36枚となった。
コアエンジンも大きく改良された。低圧圧縮機(LPC)動翼の再設計、高圧圧縮機ローターのクリアランス制御、新設計の高圧タービン翼、低圧タービンケースのアクティブ・クリアランス・コントロールの追加などがある。
また、A320の機体設計に合わせてエンジンの燃料制御をデジタル化した FADECが搭載された。
これらの改良により、CFM56-2と比較して約10%の燃費改善を達成。
CFM56-5A シリーズ モデル
・CFM56-5A1:25,000 lbf(A320)
※1987年8月 EASA認証
・CFM56-5A3:26,500 lbf(A320)
※1990年2月 EASA認証
・CFM56-5A4:20,000 lbf(A319)
※1996年2月 EASA認証
・CFM56-5A5:23,500 lbf(A319)
※1996年2月 EASA認証
ファン(FAN)
・36枚のミッドスパン・シュラウド付ファンブレード
材質:チタン合金(Ti-6Al-4V)
ブレード翼幅の大型化
枚数の削減(CFM56-2:44枚、CFM56-3:38枚)
翼型の改良
低圧圧縮機(LPC)
・軸流式圧縮機(3段)、チタン合金、3次元設計翼
高圧圧縮機(HPC)
・軸流式圧縮機(9段)
可変インレットガイドベーン、1段~3段は可変静翼
F101の技術を適用
材質:チタン合金(前段)~ニッケル合金(後段)
ローター・アクティブ・クリアランス・コントロール
燃焼室
・シングル アニュラ型(SAC)
材質:ニッケル基耐熱合金
低NOx型燃焼器
高圧タービン(HPT)
・単段タイプ、新設計の動翼
内部空冷構造翼、翼表面にはフィルム冷却孔
初期はメタルコート~後期はTBCに変更
高負荷型、ブレードの転向角は100°以上、80枚のブレードでHPT段を構成
低圧タービン(LPT)
・4段構成 シュラウド付きブレード
空力設計の見直し、新設計のLPT動翼
クティブ・クリアランス・コントロール(ケーシング)
燃料制御
・FADEC
アクセサリー
・各種ポンプ類、機体側(発電機、油圧ポンプ)駆動用のギアボックス。
ギアとドライブシャフトを介し高圧軸(HP)と接続
CFM56-5A Series:Generator(機体用発電機)の駆動には最大135kw必要。
競合エンジン
CFM56-5A スペック
Laurent ERRERA from L’Union, France, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons
CFM International | |
型式 | CFM56-5A Series |
搭載機種 | A320/A319 |
形式 | 二軸式 ターボファン・エンジン |
構成 | 1-3-9-1-4 (Fan-LPC-HPC-HPT-LPT) |
離陸推力 | |
最大推力 | [-5A1] 25,000 lbf (A320) [-5A3] 26,500 lbf (A320) [-5A4/-5A5] 20,000/23,500 lbf (A319) |
バイパス比 | 6.0~6.2 |
ファン圧力比(FPR) | ー |
全体圧力比(OPR) | 31.3 |
ファン空気流入量 | 382~397 kg/s |
コア空気流入量 | ー |
TSFC 燃料消費率 (lb/hr/lbf) |
ー |
巡航推力 | |
巡航推力 | [-5A All] 5,616 lbf |
TSFC 燃料消費率 (lb/hr/lbf) |
0.596 (35,000ft M0.82) |
最大回転数 | |
低圧軸(N1) | 5,100 rpm |
高圧軸(N2) | 15,183 rpm |
EGT | [-5A1] 890℃ [-5A3] 915℃ |
ファン | |
ファン直径 | 1.73 m(68.3 in) |
ファン枚数 | 36 枚 |
形状 | ミッドスパン・シュラウド付き ファンブレード |
材質 | チタン合金 |
圧縮機 | |
ファン | 1段 |
低圧段 | 3段 |
高圧段 | 9段 |
燃焼室 | |
燃焼器タイプ | シングル・アニュラ型(SAC) |
燃料ノズル | ー |
燃料制御 | FADEC |
タービン | |
高圧段 | 1段 |
低圧段 | 4段 |
サイズ | |
型式 | CFM56-5A Series |
全長 | 2.42 m |
ファン直径 | 1.73 m(68.3 in) |
重量 | 4,995 lb |
推力重量比 | 4.00~5.30 |
運用開始 | 1987 年 |
※一部のデータはEASAから