A321ceo用に開発され、後に全てのA320ceo ファミリーに搭載された CFM56-5Bエンジン。その概要とスペックについて紹介します。
CFM56-5Aの派生型として開発された-5Bエンジン。
CFM56シリーズ最大の推力を誇る-5Cシリーズのコアエンジンを使い、新設計のファンやコアの空力設計を最適化。
現在、A320ceoのCFM56エンジンといえば、ほとんど-5Bという時代になっている。
CFM56-5B の概要
A320ceo:CFM56-5B
CFM56-5Bシリーズ モデル
・1994年にEASA型式証明を取得したCFM56-5Bシリーズは、2022年現在までに多種多様なバリエーションが登場。
ベースモデルの派生型として、高温・高地対応型、パフォーマンス・パッケージ適用型などその数は36タイプにもなる。
ライバルのIAE V2500と比較すると、コアエンジン内部にある高圧タービン段の違い(V2500:2段の高圧タービン、-5B:単段)によりCFM56は効率が若干劣るとされているが、CFM56のコアはシンプル・軽量・部品数が少ないことから、整備コストを約35%削減できるという特徴もある。
大きく分類すると8タイプ
- CFM56-5B:基本モデル SAC(Single Annular combustor)タイプ
- CFM56-5B/Pシリーズ:PIP(コア改良型)+SACタイプ
- CFM56-5B/2シリーズ:DAC(Double Annular combustor)タイプ
- CFM56-5B/3シリーズ:Tech Insertion(コア改良・整備コスト・燃費改善型)
- CFM56-5B/3 PIP:2011年以降 CFM56-7BEで開発された性能アップグレードキットの適用
- CFM56-5B/2Pシリーズ:二世代目 DAC(Double Annular combustor)
- CFM56-5B/P1モデル:PIP+BUMP(推力を一時的に10%増強)機能
- CFM56-5B/2P1シリーズ:DAC+PIP+BUMP
- CFM56-5B/3B1シリーズ:Tech Insertion+BUMP
ファン(FAN)
・36枚のスナバ―(ミッドスパン・シュラウド)付ファンブレード
材質:チタン合金(Ti-6Al-4V)
-5A ファンブレードの空力効率を改善・ファン騒音の低減
・CFM56-5Bのファンブレードサイズ
- ブレード全長:23.8インチ(60.5 ㎝)
- 最大翼幅:8.0インチ(20.3 cm)
- 重量(1枚):3.4 kg
低圧圧縮機(LPC)
・軸流式圧縮機(4段)
チタン合金
全体圧力比を上げるため3段(-5A)から4段に変更
高圧圧縮機(HPC)
・軸流式圧縮機(9段)
可変インレットガイドベーン、1段~3段は可変静翼
改良された-5Cの技術を適用
-5Bエンジンは何度か大きくコアが改良されている
/以降の付帯文字で見分けられる
CFM56-5B4:ベースモデル
CFM56-5B4/P:PIP:Performance Improvement Package
(New 3Dテクノロジーによって再設計されたHPC・HPT・LPT)
CFM56-5B4/3:Tech Insertion
TECH56の技術をコア(HPC・HPT・LPT)に適用、効率の改善・耐久性・整備コストの削減
CFM56-5B4/P (2011年以降モデル)
CFM56-7BEで開発された性能アップグレードキットの適用
燃焼室
・シングル アニュラ型(SAC)
オプションのデュアル アニュラ型(DAC)の場合 NOxの排出を約45%削減できるとされている。
材質:ニッケル基耐熱合金
フィルムクーリング、セラミック遮熱コーティング
DACを搭載したモデルは、例えば下記のように /以降の付帯数字に2が付く。
・CFM56-5B1:ベースモデル(SAC)
・CFM56-5B1/2P:DAC搭載エンジン
高圧タービン(HPT)
・高圧タービンは単段タイプ
動翼・静翼は第二世代 単結晶(N5)
内部空冷構造翼
翼表面にはフィルム冷却孔及びTBCが施されている。
全体的に厚翼、高負荷型、3次元空力設計翼
ブレードの転向角は110°以上、80枚のブレードでHPT段を構成
低圧タービン(LPT)
・4段構成、1段目のみ単結晶合金
シュラウド付き無冷却ブレード
燃料制御
・FADEC 2、FADEC 3
アクセサリー
・各種ポンプ類、機体側(発電機、油圧ポンプ)駆動用のギアボックス。
ギアとドライブシャフトを介し高圧軸(HP)と接続、IDG(機体用発電機)の駆動には最大135kw必要。
競合エンジン
CFM56-5B スペック
Björn Strey, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons
CFM International | |
型式 | CFM56-5B Series |
搭載機種 | Airbus A320ceo family |
形式 | 二軸式 ターボファン・エンジン |
構成 | 1-4-9-1-4 (Fan-LPC-HPC-HPT-LPT) |
離陸推力 | |
最大推力 | [-5B1/P] 30,000 lbf(13,620 kgf) A321 [-5B2/P] 31,000 lbf(14,074 kgf) A321 [-5B3/P] 33,300 lbf(15,118 kgf) A321 [-5B4/P] 27,000 lbf(12,258 kgf) A320 [-5B5/P] 22,000 lbf(9,988 kgf) A319 [-5B6/P] 23,500 lbf(10,669 kgf) A319 [-5B7/P] 27,000 lbf(12,258 kgf) A318 |
バイパス比 | [-5B1/P] 5.5 [-5B4/P] 5.7 [-5B5/P] 6.0 [-5B7/P] 5.7 |
ファン圧力比(FPR) | ー |
全体圧力比(OPR) | 32.6~34.4 |
ファン空気流入量 | [-5B1/P] 427 kg/s [-5B4/P] 408 kg/s [-5B5/P] 371 kg/s [-5B7/P] 408 kg/s |
コア空気流入量 | ー |
TSFC 燃料消費率 (lb/hr/lbf) |
ー |
巡航推力 | |
巡航推力 | 5,840 lbf |
TSFC 燃料消費率 (lb/hr/lbf) |
0.600 (35,000ft M0.82) |
回転数 | |
低圧軸(N1) | 5,200 rpm (104%) |
高圧軸(N2) | 15,183 rpm (105%) |
EGT | 950℃ |
ファン | |
ファン直径 | 1.73 m(68.3 in) |
ファン枚数 | 36 枚 |
形状 | ミッドスパン・シュラウド ファンブレード |
材質 | チタン合金 |
圧縮機 | |
ファン | 1段 |
低圧段 | 4段 |
高圧段 | 9段 |
燃焼室 | |
燃焼器タイプ | シングル・アニュラ型(SAC) |
オプション | ダブル・アニュラ型(DAC) |
燃料ノズル | ー |
燃料制御 | FADEC 2・3 |
タービン | |
高圧段 | 1段 |
低圧段 | 4段 |
サイズ | |
型式 | CFM56-5B Series |
全長 | 2.60 m |
ファン直径 | 1.73 m(68.3 in) |
重量 | 5,250 lb |
推力重量比 | 4.19~6.34 |
運用開始 | 1994年 |
※一部のデータはEASAから