A340-200/-300用に開発されたエンジン、CFM56-5Cの概要とスペックについて紹介します。
1980年代後半のCFM56シリーズは、A320用に開発された -5A型が推力 25,000 lbf(11.3トン)とラインナップ中で最大だった。
エアバスは小型のA320に続き、長距離4発機のA340の開発をスタート。この機体には、推力 30,000~34,000 lbf(15トンクラス)のエンジンが必要とされたことから、-5Aをベースに様々な改良が加えられた。
CFM56-5Cは、現在でもCFM56シリーズの中では最大の推力を発生するエンジンとなっている。
CFM56-5C の概要
Anthony Noble (GFDL 1.2 または GFDL 1.2), ウィキメディア・コモンズ経由で
CFM56-5Cシリーズ モデル
・ベースとなったのは CFM56-5A型(推力 25,000 lbf)、この最大推力からさらに5,000~9,000 lbfも引き上げるために様々な改良が加えられた。
その一例として、ファン径を1.73m(-5A1)から1.84m(-5C)に大型化。LPCを1段追加、3次元設計によるHPC翼型、全体圧力比の高圧化(31.3→39.2)、単結晶の高圧タービンブレード、LPT段の1段追加などが行われた。
こうしてCFM56-5Cシリーズは、1991年にEASA認証されA340に搭載された。
また2003年には、パフォーマンス改善プログラム:PIPによってコアエンジン(高圧系)の改良が行われた。その効果は燃費にして1.1%の削減に成功。
2004年以降のA340-200/-300には、このプログラムが適用された-5C/Pシリーズが標準型となった。
・CFM56-5C2:31,200 lbf
※1991年12月 EASA認証
・CFM56-5C3:32,500 lbf
※1991年12月 EASA認証
・CFM56-5C4:34,000 lbf
※1994年10月 EASA認証
・CFM56-5C2/P,-5C3/P,-5C4/P
(31,200~34,000 lbf)
※2003年8月 EASA認証
ファン(FAN)
・36枚のスナバ―(ミッドスパン・シュラウド)付ファンブレード
材質:チタン合金(Ti-6Al-4V)
-5Aの空力効率を改善、騒音低減
最大出力時 1秒間に483kg/sの空気を吸い込む(-5C4)
低圧圧縮機(LPC)
・軸流式圧縮機(4段)、チタン合金
全体圧力比を上げるため3段(-5A)から4段に変更
高圧圧縮機(HPC)
・軸流式圧縮機(9段)
可変インレットガイドベーン
1段~3段は可変静翼
改良タイプの動翼
全体圧力比はCFM56シリーズ中 最大の39.2に達する。
-5C/Pシリーズは3次元翼
燃焼室
・シングル アニュラ型(SAC)
低NOxタイプ燃焼室
材質:ニッケル基耐熱合金
フィルムクーリング、TBC
高圧タービン(HPT)
・高圧タービンは単段タイプ
動翼は第二世代 単結晶(N5)
内部空冷構造翼
翼表面にはフィルム冷却孔及びTBCが施されている。
高負荷型、高効率な3次元翼、80枚のブレードでHPT段を構成
2003年のパフォーマンス改善プログラムによって、EGTを13℃低下させても同一の出力を得ることが可能となった。燃費にすると約1.1%の削減となる。
低圧タービン(LPT)
・5段構成、材質変更
シュラウド付き無冷却ブレード
アクティブ・クリアランス・コントロール(LPTケース)
燃料制御
・FADEC
アクセサリー
・各種ポンプ類、機体側(発電機、油圧ポンプ)駆動用のギアボックス。
ギアとドライブシャフトを介し高圧軸(HP)と接続、IDG(機体用発電機)の駆動には最大135kw必要。
競合エンジン
ー
CFM56-5C スペック
Laurent ERRERA from L’Union, France, CC BY-SA 2.0,
CFM International | |
型式 | CFM56-5C Series |
搭載機種 | Airbus A340-200/-300 |
形式 | 二軸式 ターボファン・エンジン |
構成 | 1-4-9-1-5 (Fan-LPC-HPC-HPT-LPT) |
離陸推力 | |
最大推力 | [-5C2] 31,200 lbf(14,645 kgf) [-5C3] 32,500 lbf(14,755 kgf) [-5C4] 34,000 lbf(15,436 kgf) [-5C2/P,-5C3/P,-5C4/P] 31,200 lbf~34,000 lbf (2004~ A340 All Model /P series) |
バイパス比 | [-5C2] 6.6 [-5C3] 6.5 [-5C4] 6.4 |
ファン圧力比(FPR) | ー |
全体圧力比(OPR) | 38.3~39.2 |
ファン空気流入量 | [-5C2] 465 kg/s [-5C3] 474 kg/s [-5C4] 483 kg/s |
コア空気流入量 | ー |
TSFC 燃料消費率 (lb/hr/lbf) |
ー |
巡航推力 | |
巡航推力 | 7,410 lbf |
TSFC 燃料消費率 (lb/hr/lbf) |
0.567 (35,000ft M0.82) |
回転数(最大出力時) | |
低圧軸(N1) | 4,985 rpm (104.2%) |
高圧軸(N2) | 15,183 rpm (105%) |
EGT | 975℃ |
ファン | |
ファン直径 | 1.83 m(72.3 in) |
ファン枚数 | 36 枚 |
形状 | ミッドスパン・シュラウド ファンブレード |
材質 | チタン合金 |
圧縮機 | |
ファン | 1段 |
低圧段 | 4段 |
高圧段 | 9段 |
燃焼室 | |
燃焼器タイプ | シングル・アニュラ型(SAC) |
燃料ノズル | ー |
燃料制御 | FADEC |
タービン | |
高圧段 | 1段 |
低圧段 | 5段 |
サイズ | |
型式 | CFM56-5C Series |
全長 | 2.61 m |
ファン直径 | 1.83 m(72.3 in) |
重量 | 5,670 lb |
推力重量比 | 5.50~ 6.00 |
運用開始 | 1991年 |
※一部のデータはEASAから