ダグラス DC-10用に開発され、747クラシックやA300の原動力にもなった GE製 CF6-50エンジン。
C-5 (ギャラクシー)輸送機の TF39 エンジンから受け継がれた高性能なコアを使って、1972年に誕生した。
CF6-50の概要
Peter Bakema (GFDL 1.2 or GFDL 1.2), via Wikimedia Commons
CF6-50シリーズ (軍用 F103-GE-100/-101)
・CF6-50A
(DC-10-30/30F A300B1/B2 48,400 lbf)
※1972年3月 FAA認証
・CF6-50C
(DC-10-30/-30CF/-30F A300B2/B4 50,400 lbf)
※1973年11月 FAA認証
・CF6-50C1
(DC-10-30 A300B2/B4 51,800 lbf)
※1976年7月 FAA認証
・CF6-50C2
(DC-10-30 KC-10A A300B2/B4 51,800 lbf)
※1978年8月 FAA認証
・CF6-50C2B
(DC-10-30/-30ER 53,200 lbf)
※1979年8月 FAA認証
・CF6-50C2D
(51,800 lbf)
※1988年9月 FAA認証
・CF6-50D
(DC-10-10 50,400 lbf)
※1972年11月 FAA認証
・CF6-50E
(B747-200B 52,500 lbf)
※1973年11月 FAA認証
・CF6-50E1
(B747-200B 52,500 lbf)
※1975年8月 FAA認証
・CF6-50E2
(B747-200B/-200C/-200F/-300 E-4B 52,500 lbf)
※1978年12月 FAA認証
・CF6-50E2B
(B747-200B 53,200 lbf)
※1979年8月 FAA認証
・CF6-45A
(B747-100SR 45,600 lbf)
※1977年7月 FAA認証
・CF6-45A2
(B747-100SR 45,600 lbf)
※1978年12月 FAA認証
National Archives and Records Administration, Public domain, via Wikimedia Commons
ファン(FAN)
・ファン直径 86.4 in(2.19 m)、ブレード枚数 38枚、チタン合金製(Ti-6Al-4V)、ミッドスパンシュラウド付ブレード
空力効率の良い翼型、スナバ―形状の見直し、BPR 4.4の高バイパス設計
最大出力時のブレード先端(チップ)速度は470m/s、1秒間に673 kgの空気を一度に吸い込む。
低圧圧縮機(LPC)
・軸流式圧縮機(3段)
高圧圧縮機(HPC)
・軸流式圧縮機(14段)、可変式インレット・ガイドベーン、1~6段まで可変静翼、7~14は固定式静翼
動翼材質:チタン合金(1~7段)、ニッケル基耐熱合金(8~14段)
最大出力時のコアフローは125 kg/s、全体圧力比は30.4に達する。
燃焼室
・アニュラ型燃焼器、前モデルのCF6-6に比べて短縮された燃焼室。
材質はHS18-8に変更。
30本の燃料ノズル、点火装置は2.0Jの高エネルギータイプの高電圧イグナイター
全フェーズで黒煙や煙を最小限に抑える改良が施された燃焼室
高圧タービン(HPT)
DC-10に搭載されていたCF6-50C、初期タイプの高圧タービンブレード1段目
・高圧タービンは2段タイプ、前バージョン(CF6-6シリーズ)をベースにデザインが大幅に変更された。
初期型の材質はRene 80だったが、2000年以降の最終改良タイプでは単結晶 Rene N5が採用されたことで耐久性が格段に進化した。
高圧タービンノズル(NGV 1st Stage)
747-200B(CF6-50E2)高圧タービン・ノズルガイドベーン 材質はコバルト基(X-40)
・現代の大型ターボファン・エンジンでは、タービン動翼・静翼ともに同一の材料(例えば単結晶 N5)ということも増えてきたが、この時代はまだ別々の材質が使われていた。
CF6-50シリーズには、現在では数少ないコバルト基(X-40)耐熱合金が使われている。
低圧タービン(LPT)
・4段構成
材質はRene77、全段 無冷却ブレード
最大出力時は4,102 rpm(N1:119.5%)で回転。
定格出力時のガス温度は910℃、離陸出力時(5分間)945℃、最大出力時(レッドライン)960℃
燃料制御
・油圧機械式
アクセサリー
・ギアボックスには、エンジン用の各種ポンプ、スターター、機体側(発電機、油圧ポンプ)が装着されている。
機体用発電機(CSD:60 kVA)1台:定格出力時 250馬力の駆動力が必要
競合エンジン
JT9Dシリーズ
CF6-50 seriesスペック
Michael Barera, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
General Electric(GE Aviation) | |
型式 | CF6-50 series |
搭載機種 | 747 Classic、DC-10、A300 |
形式 | 二軸式 ターボファン・エンジン |
構成 | 1-3-9-1-4 (Fan-LPC-HPC-HPT-LPT) |
離陸推力 | |
最大推力 | [CF6-50A] 48,400 lbf(A300B1) [-50C] 50,400 lbf(DC-10-30) [-50D] 50,400 lbf(DC-10-10) [-45A2] 45,600 lbf(747-100SR) [-50E2] 52,500 lbf(747-200B,E-4B) |
バイパス比 | 4.4 |
ファン圧力比(FPR) | ー |
全体圧力比(OPR) | 27.1~30.9 |
ファン空気流入量 | 1,484 lb/s [-50E2]
(673 kg/s) |
コア空気流入量 | 276 lb/s [-50 series] (125 kg/s) |
TSFC 燃料消費率 (lb/hr/lbf) |
0.371 (T-O時:-50E2) |
巡航推力 | |
巡航推力 | 11,300 lbf |
TSFC 燃料消費率 (lb/hr/lbf) |
- |
回転数(最大) | CF6-50E2 |
低圧軸(LP) | 4,102 rpm (119.5%) |
高圧軸(HP) | 10,761 rpm (109.5%) |
EGT | 945℃ LPT NGV1(T5.4) |
ファン | |
ファン直径 | 2.195 m(86.4 in) |
ファン枚数 | 38 枚 |
形状 | ミッドスパン・シュラウド付 ファンブレード |
材質 | チタン合金 |
圧縮機 | |
ファン | 1段 |
低圧軸 | 3段 |
高圧軸 | 14段 |
燃焼室 | |
燃焼器タイプ | アニュラ型 |
燃料ノズル | ー本 |
燃料制御 | 油圧機械式 |
タービン | |
高圧段 | 2段 |
低圧段 | 4段 |
サイズ | |
型式 | CF6-50 series |
全長 | 4.64 m |
ファン直径 | 2.195 m (86.4 in) |
重量 | 4,104 kg (9,047 lb) |
推力重量比 | [-50E2] 5.8 |
運用開始 | 1972年 |
※一部のデータはEASAから
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