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B777-200/-300|Trent 800 エンジンのスペック解説 ③

ボーイング B777-200/-300用のエンジン、Rolls Royce Trent 800の概要とスペックについて紹介します。

 

Rolls Royce Trent 800 の概要

9V-SQI - c-n 28530 - 777-212ER - Singapore Airlines - Singapore - Changi (8392103750) (cropped)Edwin Leong, CC BY-SA 2.0, ウィキメディア・コモンズ

・20世紀最大の双発ジェット旅客機 トリプルセブン。その原動力となる3社のうちの1社がロールスロイス製エンジン。

1995年に型式承認された RR Trent 800の最大の特徴はその軽さにある。

GE90の重さが約7.5トン、PW4090が約7.4トンという中、Trent 800は約5.9トンという軽量化を達成。この差は、同じ機種でもペイロードや航続距離の違いとなる。

これほどまでに軽く作れた理由の一つが、3軸構造だったから。各シャフトが最適な回転数で運転できることから、圧縮機やタービンといった構成部品がライバル社(2軸構造)と比較して少なかった。

Trent 800シリーズ モデル

Trent 875:74,600 lbf(331.9 kN)
※1995年1月 EASA認証

Trent 877:77,200 lbf(343.4 kN)
※1995年1月 EASA認証

Trent 884:88,950 lbf(377.9 kN)
※1995年1月 EASA認証

Trent 892:91,600 lbf(407.5 kN)
※1996年11月 EASA認証

Trent 892B:91,600 lbf(407.5 kN)
※1997年4月 EASA認証

Trent 895:95,000 lbf(422.6 kN)
※1999年6月 EASA認証

Trent 884B:88,950 lbf(377.9 kN)
※1999年11月 EASA認証


Rolls Royce Trent 892 (777-200ER) (6098401787)Cory W. Watts from Madison, Wisconsin, United States of America, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons

ファン(FAN)

・26枚の中空ワイドコード・ファンブレード

超靭性加工と拡散接合による製造

中空内部はチタン製ハニカムコアからウォーレン・ガーダー構造に変更

従来のワイドコードと比較して約15%軽量化

ファン径が2.474m(Trent 700)から2.794m(110 in)に大型化

離陸時には 3,300rpmで回転するファンによって、吸入空気量は毎秒1.1トンを超える。

※ファン部の基本構造はTrent 700と同じ。

中圧圧縮機(IPC)

・軸流式圧縮機(8段)

可変インレットガイドベーン、1段・2段は可変静翼。

ファン圧力比とコア流入空気量の増大に伴い、中圧軸の最大回転数を増速。Trent700と比較して +500 rpm(Trent800:7,500rpm)

※IPCの基本構造はTrent 700と同じ。

高圧圧縮機(HPC)

・軸流式圧縮機(6段)

V2500のHPCがベース

コア空気流量 393 lb/s(最大出力時)

※HPCの基本構造はTrent 700と同じ。

燃焼室

・シングル アニュラ型

燃料ノズル24本

材質:ニッケル基耐熱合金

点火プラグ 2本

低NOx型 燃焼室

内壁セラミック遮熱コーティング、高温化に伴う耐久性の改善

高圧タービン(HPT)

・高圧タービンは単段タイプ

動翼は第二世代 単結晶(CMSX-4)

内部空冷構造翼

翼表面(腹側)の中央フィルム冷却孔を2列に変更

動翼シュラウドの冷却を強化

セラミック遮熱コーティング(TBC)

中圧タービン(IPT)

・単段、無冷却ブレード

第三世代 単結晶 CMSX-10(RR3000)

中圧圧縮機 高負荷化に伴うブレードの耐久性向上。

中圧軸タービン動翼を無冷却にすることで燃費は改善するが、耐熱性でみると高圧軸よりも厳しい。HPT動翼は第二世代に対して、IPT動翼には第三世代の新素材が使われている。

低圧タービン(LPT)

・5段構成、3次元空力設計翼

排気ノズル

・ディフューザー型ノズル

逆推力装置

・油圧式 カスケード タイプ

燃料制御

・FADEC

アクセサリー

・各種ポンプ、機体側(発電機、油圧ポンプ)駆動用ギアボックス、高圧軸と接続、ギアを介し 27,000rpmで入力、出力は2,000~22,000rpm、全補器類の駆動には約671馬力(500kw)必要。

競合エンジン

・P&W PW4000-112シリーズ

・GE GE90シリーズ

 

Rolls Royce Trent 800 スペック

Cathay Pacific Boeing 777-300; B-HNH@HKG;31.07.2011 614tz (6053499684)Aero Icarus from Zürich, Switzerland, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons

Rolls-Royce(ロールスロイス)
型式 Trent 800 Series
搭載機種 B777-200/-200ER/-300
形式 三軸式 ターボファン・エンジン
構成 1-8-6-1-1-5
(FAN-IPC-HPC-HPT-IPT-LPT)
離陸推力
最大推力 [875] : 74,600 lbf(33,868 kgf)
[877] : 77,200 lbf(35,049 kgf)
[884/884B] : 84,950 lbf(38,567 kgf)
[892/892B] : 91,600 lbf(41,586 kgf)
[895] : 95,000 lbf(43,130 kgf)
バイパス比 5.8~6.2
ファン圧力比(FPR) 1.81
全体圧力比(OPR) 34.5~41.6
ファン空気流入量 [875] : 2,467 lb/s (1,119 kg/s)
[895] : 2,664 lb/s (1,208 kg/s)
コア空気流入量 [892] : 388 lb/s (176 kg/s)
[895] : 393 lb/s (178 kg/s)
TSFC 燃料消費率
(lb/hr/lbf)
巡航推力
巡航推力 13,500 lbf
(6,129 kgf)
TSFC 燃料消費率
(lb/hr/lbf)
0.557
(35,000ft M0.82)
回転数(100% rpm)  
ファン(FAN) 3,300 rpm
中圧軸(IP) 7,500 rpm
高圧軸(HP) 10,611 rpm
ファン
ファン直径 2.79 m(110 in)
ファン枚数 26 枚
形状 中空(第二世代)
ワイドコード
材質 チタン合金
圧縮機
ファン 1段
中圧軸 8段
高圧軸 6段
燃焼室
燃焼器タイプ シングル アニュラ型
燃料ノズル 24本
燃料制御 FADEC
タービン
高圧段 1段
中圧段 1段
低圧段 5段
サイズ
型式 Trent 800 Series
全長 4.37 m
ファン直径 2.79 m(110.0 in)
重量 13,400 lb
 推力重量比  5.56~7.08
運用開始 1996年

※一部のデータはEASAから

※TSFCや材質は一般的に公開されている情報です。公開できない事項や調査中のものは[ー]で表記しています。


【旅客機】機体&エンジン のスペック集

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